寺尾氏によると、スマホの持ちやすさを追求すると、理想的な画面サイズは4.8インチという結論に導かれたとのこと。実際には少し大きい4.9インチになったのは、当初は4Gモデルとして開発していたのが、ソフトバンクからの助言もあり、発売を延期して5Gモデルに作り直したという経緯があったそう。
背面が丸みを帯びていて、正面から見ても、微かに丸く見えるフォルムもBALMUDA Phoneのこだわり。発表会では「どこにも直線はなく、曲線だけ」という説明を受けましたが、実機に触れたところ、ディスプレイはほぼフラットで、曲面ディスプレイではなかったです。徹底的に曲線にこだわったのは、人の身体には直線はなく、人が使う物もそうあるべきという、寺尾氏のデザイン哲学によるそうです。
■石ころのようなフォルムは、使い込むほどに風合いが…
BALMUDA Phoneを持つと、手のひらにすっぽりと収まり、138gと軽いこともあり一般的なスマホとは異なる感触。写真ではずんぐりとした印象を受けるかもしれませんが、コンパクトで厚さは13.7mmに抑えられています。触れているだけで落ち着くストレス解消グッズを握っているかのようなサイズ感です。左手で持って、人差し指を当てやすい位置に指紋センサーを配置するなど、人間工学を重視したデザインになっています。
河原にある石ころをイメージしてデザインしたという背面パネルは、ポリカーボネート製でシボ加工を施し、ザラザラとしてマットな手触り。塗装に使う材料にもこだわり、長く使い続けるほどに “風合い” が出てくるとのこと。どんな風合いになるのかは、実際に使い続けてみないとわかりませんが、裸で2か月ほど使った製品を見せていただくと、新品同様にキレイなままだったので、汚れは付着しにくそうです。
■スマホを使う時間を短くする基本アプリ
寺尾氏は、スマホの開発にあたって、「いかにスマホを使う時間を短くするか」を重視したそうです。そのために、基本アプリにもこだわり、快適かつスピーディーに操作できるオリジナルアプリもインストールされています。
例えば、「スケジューラ」は365日を横罫で並べて、ピンチ操作で1日表示から1年表示までを切り替えられる仕組み。「メモ」はタイル状に配置でき、大事なメモを上に動かすなどの操作も自由自在。「計算機」も、日本円がわかりやすい「億万」表示に切り替えられるなど、使ってみたくなるデザインになっていました。「カメラ」はスワイプするだけで「料理モード」に切り替わる仕様。なお、これらの基本アプリはBALMUDA Phone専用で、アプリ単体での提供は予定していないそうです。
ホーム画面はユーザーの好みに合わせてカスタマイズできます。大きな特徴となっているのが2本のストライプ。単なるデザイン的なアクセントではなく、ストライプをなぞってよく使うアプリを起動するというショートカット機能も兼ね備えています。
■スペックだけを見ると10万円超は高いが…
OSはAndroid 11で、Android 12へのアップデートにも対応予定。ハードウェアの基本仕様は、CPUがSnapdragon 765(最大2.3GHz)で、RAMが6GB、ROM(ストレージ)が128GB。バッテリーは2500mAhで、ワイヤレス充電に対応。カメラは背面が4800万画素、前面が約800万画素。FeliCaを搭載し、おサイフケータイも使えます。機能が控えめのミドルハイモデルといった印象です。
製品写真とスペックだけを見ると10万円超は高いと思うかもしれませんが、バルミューダって、新しい体験を売るブランドなんですよね。そのバルミューダらしさは、実際に手にして、基本アプリを使ってみたりしないとわからないはず。いち早く触れた筆者も「おっ、フツーのスマホとは違うね!」と思いました。同時に「バルミューダのトースターとコーヒーメーカーの両方を買うよりも高いのか」と驚きもしました。
バルミューダ オンラインストアでも注文できますが、気になる人は、11月19日に東京・青山にオープンする「BALMUDA The Store Aoyama」や、最寄りのソフトバンクショップなどで実機に触れてみることをおすすめします。
>> バルミューダ
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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