注目はクラシック×ブルー&グリーン
ここ数年のトラッド傾向は今季もまだ継続。レンズシェイプはボストン、ラウンド、フォックスという定番的なものが多かったが、そのスタイルはブランドによってさまざまだった。
プラスチックフレームは、細身で上品に仕上げているブランドもあれば、一方でボリュームを持たせたものも。色はより明るくカラフルになり、脱黒ブチ・茶ブチの最右翼となりそうな注目カラーは、ブルーとグリーンだ。多くのブランドがカラーバリエーションにこの2色を含めており、発色の良いクリア系カラーから顔馴染みの良いアーシーなカラーまで多様なものが登場していた。
また、昨今人気のコンビネーションフレームは、今季も豊富。レンズとそれを囲むメタルのリムの間にプラスチックパーツをはめ込んだ“インナーセル”や、メタルのリムにプラスチックを巻いた“巻きセル”など、高い技術力が映える繊細なディテールを採用したモデルが目立っていた。
機能性に定評のあるブランドが続々スポサンに参入
そうしたなか、サングラスについて注目すべき動向があった。それは、ジョギングや自転車など昨今のスポーツ、アウトドアブームを受け、機能性に定評のあるアイウエアブランドがスポーツサングラスを手掛け始めたという点だ。
まず紹介したいのが、フォーナインズ・フィールサンのスポーツライン。スポーツラインは昨年からスタートしているが、この春登場した「F-10SP」は、初の本格アスリート仕様。元全日本ロードレースチャンピオンである宮澤崇史氏がアドバイザーとして参加し、開発されたものだ。展示会場には宮澤氏も訪れ、実際の使用感などを説明する場面も見られた。
フレームには、プロアスリートの使用を想定し、新たに開発した構造のテンプルを採用。眼鏡フレームで培った技術を応用し、フォーナインズが得意とする頭を包み込む形状を保ったままテンプルに可動域を持たせた設計で、柔らかな掛け心地ながら激しい動きでも掛け位置がズレにくくなっている。
また、軽量化を図るために金属パーツを一切使わず、フレームにはナイロン素材を使用。長時間に及ぶレースで掛けていても疲れにくい軽さを実現した。
レンズは光学性能や耐衝撃性に優れるナイロン素材の8カーブレンズを採用しており、異なる形状で2種類が付属。自分で工具を使わずに簡単に交換することができ、スポーツ種目や目的に応じて付け替えられるのも魅力だ。
実際に掛けてみると、予想以上の軽さに驚かされる。加えて適度なホールド感により、ヘルメットをかぶってもストレスのない掛け心地だった。フォーナインズが誇る掛け心地をスポーツシーンでも味わえるというのは、ファンならずとも嬉しいことだと言えるだろう。
タウンユースもOK!なゴルフ用サングラス
ドイツ発シートメタルの雄、ic! berlinからは、ゴルフ用のサングラス「The Green Collection」が登場した。
同ブランドといえば、薄さ0.5ミリのステンレスシートで構成され、ネジやロウ付けを排した耐久性の高い独自構造でおなじみ。ステンレスの柔軟さや軽さを生かしたフレームは20g未満と軽量で、さらに今作ではフェアウェイでより良いパフォーマンスをサポートするための特別な調光レンズを採用。
このレンズはic! berlinと世界的なレンズメーカーであるCarl ZeissグループのOptiSwissのコラボにより生まれたもの。非常に軽量で耐衝撃性に優れるトライベックス素材のレンズで、フェアウェイ上での光のコンディションにも適応してレンズの色が変わるように設計されている。
レンズカラーは緑と白のコントラストを強調する特別仕様で、より正確な距離を判断しやすく、芝の剥がれも見えやすいため、最適なバッティングラインをサポートしてくれるというわけだ。加えて、クッション性の高いシリコン製のノーズパッドとモダンが採用されているというのも気が利いている。
と、レンズやディテールはゴルフ仕様ながら、そのスタイルは通常のサングラスコレクションの人気モデルを採用しているとあって、スタイリッシュ。スポーツ然としないルックスなのでウエアとのコーディネートも楽しく、ゴルフに限らずタウンユースできるのも魅力のひとつだ。
とにかく軽くしなやかなランニング用サングラス
そして眼鏡産地・鯖江に本拠地を置く眼鏡メーカー・シャルマンからは、独自素材“エクセレンスチタン”を使ったランニング用サングラスがデビューした。
エクセレンスチタンとは、「眼鏡に最適な素材を」と、8年もの歳月をかけて研究開発された独自素材。従来のチタン合金を超えるバネ性としなやかさを誇り、頭を包み込むようなソフトな掛け心地と、型崩れしないホールド感を両立している。
この素材を使用した眼鏡はすでに高い人気を誇っているが、今回スポーツサングラスに初めて採用された。たしかに掛けてみると、側頭部への圧迫感がほとんどないのに、首を激しく振ってもズリ落ちにくい。また、ミニマルな作りゆえとても軽量なので、ストレスを感じさせない。
さらにテンプルの先端は縦方向に2段階折り曲げて調節が可能なので耳の後ろにフィットし、ノーズパッドも自分で調整することができる。レンズは広い視界を得られる1枚レンズだが、インナーフレーム(別売)を内側に取り付ければ、度付きにも対応可能だ。これだけの機能を備え、1万円台という価格も嬉しい。
いずれのブランドも、スポーツサングラスには新規参入とはいえ、眼鏡での実績はお墨付き。とくに掛け心地に満足できるサングラスに出会っていなかった人にはお勧めだ。しかもまだデビューしたばかりなので、人とかぶりにくいというメリットもある。
これまでスポーツサングラスというとある程度ブランドが限られていたが、好みの掛け心地やスタイルに合わせ選択肢が広がるのはユーザーにとって嬉しいこと。これからの季節、スポーツサングラスをお探しなら、ぜひこれらのブランドも候補に入れてみてはいかがだろう。
(文/伊藤美玲)
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