日本が近代化への歩みを邁進し始めた1881年に輸入時計の修理・販売から事業を興した服部時計店(現セイコーホールディングス)は、'92年の掛け時計の量産製造をきっかけに他社をリード。'95年には懐中時計、'99年には目覚まし置き時計を立て続けに発売し、創業10年を経たずして、掛け・置き・懐中時計の3部門を持つ国内唯一のメーカーへと成長。
やがて1913年には、初めての国産腕時計「ローレル」を完成させました。当時の技術レベルや製造設備を考えると、ここまでのダウンサイジングには相当な困難が伴ったはず。この果敢な挑戦は、設計技術や微細加工技術、工作機械の開発が進むきっかけとなりました。
腕時計が普及するきっかけとなった1914年の第一次世界大戦直前に誕生した「ローレル」は、セイコーのみならず、日本の近代化の過程においてもマイルストーン的な存在に。こうした背景によって、2014年には日本機械学会より国内の機械技術や産業の発展に寄与した“機械遺産”として認定されました。
そんな伝説的な腕時計を現代の時計製造技術と素材を用いて再現したのが、こちらの限定モデル。
丸みを帯びた独特の形状とプロポーションは、古き良き時代の懐中時計を思わせます。レトロなボックス型の風防は耐傷性の高いサファイアガラスで再現。大ぶりなクラウン型のりゅうずも特徴です。
ストラップとの接続は、当時のままの可動式構造を採用。ストラップは表地にしっとりしなやかな質感の鹿皮革を使用し、裏材にはカーフレザーを採用して耐久性アップを図っています。
圧倒的な個性を放っている琺瑯製ダイヤルは、琺瑯職人・横澤満氏監修の下で一枚一枚焼き上げられたもの。インデックスの特徴的なアラビア数字や時分針の繊細なデザインは、当時のものを忠実に再現しています。
当時のデザインと大きく異なっているのが、秒針の位置。オリジナルでは6時位置におかれていた秒針表示ですが、新モデルでは秒針をセンターに移し、6時位置には日付表示をレイアウト。また、実用性を考えて、9時位置にはパワーリザーブ表示を配置しています。
「ローレル」の名前は知っていても、実際にその目で見たことがある人は少ないはず。腕時計の原点に立ち返る伝説的なタイムピースのデザインを手元で楽しめるのは、世界でたった2500人。日本国内ではわずか750人。気になる人はチェックしてみては。来年1月13日発売です。
>> セイコー プレザージュ
<文/&GP>
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