それなのにパッとしませんでした。人気はソコソコあるのですが、その俊敏なパフォーマンスを考えるに、もっとブレイクしていいはずなのにと常々思っていたわけです。
もっとも、いまひとつ伸び悩んでいたのには思い当たる節があります。憶測でモノを言います。 主観で言わせていただきます。
お顔がファニーフェイスだったのです(涙)。
とっても尖った立ち位置なのに、お顔がファニーだったのです。なにゆえファニーなのか。さらに推測でモノを言わせていただきます。
コンパクトにしてFR。これって走行性能を考えたとき、BMWのアイデンティティのド真ん中で貫くことになるのです。超絶コーナリングマシンです。BMWの中核モデルである3シリーズの顧客さえも1シリーズが食ってしまわないかと怖くなってくるほどです。他ならぬBMWも恐れたことでしょう。
その恐れを緩和するために取った手法が、1シリーズのファニーフェイス。クールなのがお好きなら3シリーズを。少し、親近感を感じるくらい愛らしいのがお好きなら1シリーズを、というわけです。
「違いますか? 永島譲二さん!」
この100%憶測について、BMWに在籍する日本人デザイナーの永島さんに東京モーターショーのBMWブースで直撃しました。その反応は……。
苦笑い(肯定も否定もせず)。
事実関係を一度は確かめようとしたことに免じて、引き続き憶測でモノを言わせてください。
ところがファニーフェイスで余裕をぶっかましている場合ではなくなってきました。それがメルセデスベンツAクラスの世界的な大ヒットです。新生Aクラスのデカくて押し出しの強いフェイスに対抗するには、あまりにも人の良さそうな1シリーズのお顔立ち……。走りはいいのに、これでは太刀打ちできません。
そこでLCI(BMWはマイナーチェンジのことをライフ・サイクル・インパクトと呼んでいます)を機会に大英断。1シリーズにもBMWらいしいクールフェイスが与えられたのです。
お見事(拍手!)。
いやぁ、カッコイイ。走りもよくてルックスも良くなった1シリーズはほとんど無敵です。しかも、エントリーグレードとなる118iはアンダー300万円! エントリーとはいいましても、絶賛されてきたツインパワーターボエンジンに8速ATの組み合わせは感動のキープ。これに 298万円の戦略的なプライスタグが付けられたのですよ。
最後に憶測だけでもう一度モノを言わせてください。
1シリーズ、大ブレイク確定です。
【BMW 118i】
ボディサイズ:L4340×W1765×H1440mm
車重:1430kg
駆動方式:FR
エンジン:直列4気筒DOHC1598cc
トランスミッション:8速AT
最高出力:100kW(136PS)/4400回転
最大トルク:220Nm(22.4kgm)/1350回転
価格:298万円
(文/ブンタ)
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