初代グランドセイコーが黒漆と高蒔絵で蘇る。セイコー腕時計110周年記念モデル

時は開国後の文明開化華やかなりし明治14(1881)年、創業者である服部金太郎が輸入時計の修繕・販売から事業を興した服部時計店(現・セイコー)。激動する時代の中で掛時計、懐中時計の開発製造へと事業の軸足を移し、ついに1913年に念願の国産腕時計“ローレル”を完成させます。

この“ローレル”は国産初の腕時計であるばかりでなく、開発・製造のプロセスにおいても、その後の日本の機械技術と産業の発展に大きく寄与。その功績が認められ、2014年には日本機械学会より「機械遺産」の認定を授与されています。

そんな“ローレル”の誕生以来今日まで、数々の革新的な製品と技術を世に送り出してきたセイコー。110年間にわたる歴史を讃えて生まれたのが、今回の特別モデルです。

心臓部として抱くのは機械式手巻きムーブメント“キャリバー9S64”。耐久性に優れた独自素材・スプロンを動力ぜんまいとひげぜんまいに採用。

また、脱進機にはMEMS(微小電気機械システム)により製造された高精細なパーツを使用。クラシカルな機構のムーブメントに、最先端技術を駆使した素材とパーツが使用されていることにも、どこか感慨深いものを感じさせます。

デザイン面においては1960年、海外ブランドと肩を並べる最高峰の時計づくりを目指して誕生した“初代グランドセイコー”を復刻。艶やかなブラックダイヤルには日本の伝統工芸である漆芸の技を採用しています。

セイコーの高級モデルではたびたび採用される漆塗りダイヤルですが、特にこのモデルでは美しい艶と発色をより長く楽しめるようにと、耐久性と耐光性に優れた希少な純国産の漆を厳選。さらに本製品のために独自調合して製作されているとのこと。塗りと磨きを繰り返してつややかに仕上げられたダイヤルの表面には、金沢の漆芸家・田村 一舟氏の手により、高蒔絵の技術を用いたインデックスとロゴマークが設えられています。

ケースにはこれもセイコーが独自に開発した金属素材・ブリリアントハードチタンを採用。一般的なチタン同等の軽さながら標準的なステンレススチールの2倍もの硬度を持つこの素材をザラツ研磨の技術で磨き上げることで、本来の白さをいっそう強調。漆や蒔絵のしっとりと重厚な質感と好対照をなしています。

さらにストラップには、グランドセイコーとしては初めて“鎧織(よろいおり)”と呼ばれる伝統的な手法で編み上げられたストラップを採用。見た目の美しさはもとより、細く裁断した牛革を糸と平織にすることで耐久性を向上させるなど実用性の高さにも注目したいところ。付け替え用としてもう一本、柔らかな質感のレザーストラップも同梱します。

多彩な技法と厳選の素材を組み合わせた荘厳な表情は記念モデルにふさわしいもの。時計好きなら一度は目にしたい至高の逸品です。

>> グランドセイコー

<文/&GP>

 

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