1972年に発売されて以来、世界中のDJから支持され、累計350万台という脅威の販売数を誇ったターンテーブル「SL-1200」シリーズ。2010年に生産終了した「SL-1200 MK6」まで、40年近く作られ続けたこの名機が、いよいよ本格復活を遂げることになった。
今年6月発売の限定モデル「SL-1200GAE」に続いて、9月9日に発売されるのが「SL-1200G」だ。いったいこのターンテーブルの何が人々を魅了するのだろうか。
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■DJ、Hi-Fiを問わずアナログレコードを楽しめる新生SL-1200!
「SL-1200」を語る上で欠かせないのが“頑丈さ”と“ダイレクトドライブ”だ。
どれだけヘビーな使われ方をしても故障しないタフさ。さらに、近年数多く出回っているベルトドライブ式ではなく、ダイレクトドライブ式だからこその低ノイズと高い回転精度。これらがあるからこそ安定したプレーを楽しめる。プロからアマチュアまで、世界中のDJプレーヤーがこぞって買い求めたのも当然の話だ。
そして、これらの特長を引き継ぎつつも、新生テクニクスを象徴するマシンとして登場するのが「SL-1200G」だ。
質感が高く頑丈な筐体に、美しい曲線を描くトーンアーム。従来機種に慣れ親しんだ人でも違和感なく使えるレイアウト。しかしこれらはすべて、新たに金型から作りなおしたブランニューモデルなのだ。
完成形と思えた従来の「SL-1200」をさらに進化させ、コギング(回転ムラ)の発生を排除。DJプレーはもちろん、レコードが持つアナログの音を楽しみたいリスナーも満足できる高い完成度となっている。
8月31日のイベントで装着されていたカートリッジはナガオカの「MP-500」。同社の最高級カートリッジであり、ジャンルを問わず使える名品だ。
トーンアームはかつてテクニクスを支えたOBに依頼し、ひとつ一つ組み上げ調整している。
こだわれる部分には徹底的にこだわり、レコードに慣れ親しんだ長年のアナログファンだけでなく、近年のレコード文化の盛り上がりとともにその魅力に惹かれた新たなアナログファンまで、誰もが納得できる名機の誕生だ。
今回「SL-1200G」発売に先立って、アナログレコードでの音楽鑑賞の魅力を発信するイベント「Record Rediscover Project」による発表会が行われた。このプロジェクトは、テクニクス、ナガオカ、そして現在日本で唯一レコード盤の製造を行っている東洋化成の3社によって推進されているものだ。
この発表会にて、テクニクスを担当するパナソニックの志波正之氏は「外観はMark6ですが、各部をHi-Fi用にブラッシュアップしたブランニューな設計です」と発表した。
ナガオカの技術アドバイザーである寺村博氏も「自分の欲しい音を追求すると、CDよりアナログにたどり着きます。今回、このプロジェクトで使われているカートリッジは、我が社の最高機種 MP500。これで存分にアナログの音を楽しんでほしいですね」と話す。
会場となった東洋化成のレコード事業部長・石丸仁氏によると「国内ではここでしかレコードを製造していませんが、近年オーダーが増えてきていますね」と、レコードが再評価され盛り上がりを見せていることを現場の声として伝えた。
ゲストとして登場した歌手の土岐麻子さんも、東洋化成でカッティングしたという、新譜『Bittersweet』収録の『Beautiful Day』アナログ盤を手に「私の世代にとってレコードを聴くことは永遠のあこがれ的な部分でもある」と話した。
ある世代には「日常」であり、ある世代には「あこがれ」であり、ある世代には「新たな音」であるレコード。テクニクスの「SL-1200G」は、それらの世代を超えて支持される現代の名機になる可能性を秘めている。
「SL-1200G」に先立ち今年6月に発売された限定モデル「SL-1200GAE」は、4月の予約開始直後に完売という逸話を残した。
そして気になる「SL-1200G」は9月9日発売。現在、テクニクス オリジナルレコードがもらえる予約購入キャンペーン(http://jp.technics.com/campaign/)を実施中だ。
テクニクス「SL-1200G」>> http://jp.technics.com/products/1200g/
(文・写真/&GP編集部)