通常の3原色4Kパネルと新モデルの4原色4Kパネルを比較してみると、その解像感には歴然とした違いを感じた。新開発のテレビエンジン「X8-Master Engine PRO」に搭載した「超解像・8Kアップコンバート」機能と、8K相当の解像感を実現した液晶パネルによって、細かい文字などがつぶれずに読めるのをはっきりと確認できた。
今回発表したのは80V型で予想実勢価格168万円の超フラッグシップ機だが、そのコンセプトとそれを実現した技術には大きな意味がある。“夢のまた夢”にも思える8Kテレビが、我々庶民にとって身近に得られるものとして提示されたからだ。
「スーパーハイビジョン」とも呼ばれる8K放送は2030年までに本放送を目指すというロードマップだった時代もあったが、最近では2016年に試験放送を開始し、2018年にはBSなどで実用放送をスタートするという形でかなりの前倒しとなっている。
その背景にはもちろん、2020年に東京で開催されることが決まったオリンピックまでに実用化したいという狙いがある。しかしようやく4Kテレビが値ごろになったことを考えると、2018年はおろか2020年でも庶民に手が届く価格で8Kテレビが登場するとは考えにくい。恐らく、当初は70~80インチの8Kパネルを搭載するテレビが500万~600万円で買えれば御の字という感じなのではないだろうか(筆者の予想が外れることを大いに期待したいが)。
2011年12月に東芝が世界初の4Kテレビ「55X3」を発売してからまだたったの3年半。ようやく普及し始めたころには、8K放送が控えているというのが今の状況だ。筆者は「4Kテレビはいつが買いなのか、8Kテレビが出るまで待った方がいいのか」と聞かれることがたまにあるが、8Kテレビが値ごろになるまでには恐らく10年ほどかかるだろう。
今の技術でできる最高の画質、最高の解像感を提示したAQUOS 4K NEXTは、“ポスト4Kテレビ”戦線に向けて早くもスタートダッシュを決めたといってもいいのかもしれない。70インチ、60インチといったサイズ展開にも期待したいところだ。
(文/安蔵靖志)
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