まず、駆動系ですが、前後にモーターを搭載して4輪を駆動するデュアルモーターを採用。モーターの出力は、標準グレードの「60D」「75D」「90D」は前後とも263馬力で、システム出力はバッテリーの制限があるため422馬力となります。
そして、上位グレードの「P90D」と「P100D」では、フロントモーターこそ263馬力のままですが、リアモーターの出力が510馬力に大きくアップ。システム出力は「P90D」が471馬力、「P100D」では539馬力にも足します!
航続距離は、バッテリー容量が最も小さい「60D」でも355km(NEDC値)で、最大容量を誇る「P100D」では524kmに達します。
車体に目を向けると、スタイルこそSUVですが、空力性能には優れており、ドラッグ係数は世のSUVの中で最も低い0.24(アクティブスポイラー装着モデル)。バッテリーはフロアに組み込まれているので重心は低く、横転のリスクが小さいだけでなく、ロールも小さいので、安定したコーナーリングが可能です。
注目の“ファルコンウイング”ドアはダブルヒンジ式で、一般的なミニバンのスライドドアよりも、狭いスペースで開閉できるとのこと。
面白いのは、スペースによって開き方が変わることで、ドアに設けられたセンサーでスペースを計測し、狭い場所では上方に一度持ち上げてから、左右に開くような動き方をします。この仕組みのおかげで、30cm程度の狭いスペースでもドアの開閉が可能に。また、ドアが上方に大きく開くため、前後のどちらからも乗り込め、子どもをチャイルドシートに座らせるような場合でも、頭をぶつけにくいというメリットがあります。
ドライバーズシートからの視界も、なかなか革新的です。頭上までガラス張りとされているので、視界の広さはオープンカー以上! SUVでありながら、オープンカーのような開放感が味わえるなんて、まさにスーパーカーです。
さらにすごいのは、車内の空気を浄化する“生物兵器防衛モード”を備えていること。医療用のHEPAフィルターを搭載し、PM2.5などの汚染物質をはじめ、花粉やバクテリアなどを取り除き、車内の空気を病院の手術室と同レベルのクリーンさに保ってくれるのです。
まるでボンドカーのような機能ですが、大気汚染で命を落とす人の数は、世界で毎年300万人を超えるとのデータも! 今や交通事故以上のリスクになっていることから、今後のクルマには欠かせない機能になるかもしれません。
テスラといえば、自動運転も忘れてはいけない機能。もちろん、こちらも従来の「7.0」から「8.0」にアップグレードしています。
これまでは、前方をセンシングするのにカメラを主に使っていましたが、新しいバージョンでは、より検知能力の高いミリ波レーダーを主体とするシステムに進化。また、自動運転中にハンドルから手を離していると、従来モデルでも警告が表示されていましたが、今後は1時間に3回アラートが出ると自動運転がキャンセルされるように。より安全に自動運転機能を利用できるよう配慮されています。
まさに“21世紀のスーパーカー”と呼ぶにふさわしい性能を持つモデルX。スーパーカーには憧れていたけれど、家族もいるし2シーターのクルマには乗れない…という人には待望の1台といえそうです。
価格はバッテリー容量の最も小さい「60D」で895万円〜。決してリーズナブルとはいえませんが、スーパーカーとしては十分お買い得ではないでしょうか?
(文・写真/増谷茂樹)
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