スポーツカーとその文化づくりはオールジャパンで!
--なんと、トヨタの多田さんもマツダの発表会にいらっしゃってたんですね!
「スポーツカー同士、そして、スポーツカーを作っているメーカー同士、ある意味、みんな“仲間”だと思っているんですよ。スポーツカー文化を築くためには、オールジャパン体制を築くことが第一だと思うので。クルマづくりで協力できるところがあるし、スポーツカーファンとして一緒に楽しむ! そうやっていかないと、スポーツカーというジャンルそのものが生き残らないですからね」
--これまで国産スポーツカーでは、86の孤軍奮闘が続いていました。
「やっとホンダも『S660』を発売したし、マツダのロードスターもこうやっていいクルマになった。2015年はもっともっとスポーツカーが盛り上がる、いい年になると思いますよ」
--実際に新型ロードスターをご覧になってのご感想は?
「いやー、よくできている! 以前から、新型ロードスターの開発主査である山本修弘さんとは頻繁にコミュニケーションをとっていて、去年、広島へお邪魔した時もいろいろと話をしました。その時、山本さんから、新型ロードスターに対する自信のほどを、ずいぶんと聞かされて(笑)。山本さんの自信のとおり、本当によくできている。それと同時に、苦労の跡も見て取れますね」
小さくなればなるほどスポーツカー開発は難しい
--苦労の跡とは?
「スポーツカーというのは、小さくつくろうとすればするほど難しいものなんです。逆に、大きなスーパーカーは簡単に、とまではいわないけれど、普通にやっていけばできるものなんです」
--馬力上げて、タイヤを太くして…。
「そのとおり! 皆さんが思われている以上に、スポーツカーって小さくつくろうとすればするほど、リスクや課題が増えて開発が難しくなるんです。トヨタの86にしても、あの大きさに収めるのには相当苦労したんですよ。『最低でも大人4人がきちんと乗れる』という条件の中、やっとあのボディサイズに収められたんです」
「ロードスターには、小型軽量な上にオープン2シーターという制約がある。だから、現在の技術でこれ以上(普通乗用車として)コンパクトに仕上げるのは、正直、難しいと思いますよ。いわば、現時点における小型化の限界。その証拠に、軽量化のための工夫を始め、さまざまな苦労の跡があちこち見えますからね。これは凄いと思います」
--ありがとうございました。
多田さんはロードスターをライバルとして認めながら、敵対視することなく、スポーツカーを盛り上げるための同志として位置づけられていました。トヨタの86、ホンダのS660、そして、マツダのロードスター。2015年はスポーツカーのビンテージイヤーになるともいわれていますが、大切なのは一過性で終わらせないこと。新型ロードスター発表会での山本さんのプレゼンテーション、そして、多田さんのコメントの端々から、スポーツカーづくりに情熱を燃やす開発陣の、強い意気込みを感じることができました。
(文・写真/ブンタ)
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