今回のモデルの大きな特徴は、内釜にかまどと同じ「羽釜形状」を採用している点にある。お釜の中央部が羽根のように外側にせり出した羽釜形状がどのように味に寄与するのかを研究したところ、羽釜の上部と下部では役割が違うことがわかったという。羽釜の下部は大火力で連続沸騰させる一方、羽釜の上部の空間で温度を下げることによって吹きこぼれを抑制する効果があるとのことだ。
最近は羽釜形状を採用した炊飯器が各メーカーから出ており、三菱電機は後発となる。しかし他社の炊飯器では最大炊飯量(5.5合炊きモデルなら5.5合)を炊飯した場合に、お米が羽根のラインを超えてしまい、上部の空間が確保できていないと三菱電機ホーム機器 取締役社長の田代正登氏は語る。田代氏は「かまどの羽釜本来の構造をしているのは当社だけ」と自信を見せていた。
お米を連続沸騰させるために、断熱構造も見直した。従来は3mmの断熱材を利用していたが、今回のモデルでは3mmの断熱材に加えて10mm厚の新断熱材を追加。熱密封リングと羽釜の羽根の部分で密封することで、土かまどのような高断熱構造を実現した。これによって2014年6月発売の「本炭釜 NJ-VW105」に比べて28%もの電力アップ、つまり火力強化を実現できた。
発表会で実際に試食してみたが、しっかりとした粒感と弾力があり、お米の甘みをしっかりと引き出していた。筆者は土鍋で炊飯することが多いのだが、土鍋で炊いたようなハリのある歯ごたえは、圧力IH炊飯器のもちもちとやわらかい食感とは明らかに一線を画していると感じた。
最近はやりの圧力IHを選ぶのか。それとも三菱電機のような“孤高の非・圧力IH”を選ぶのか。このあたりは好みかもしれないが、本炭釜 かまどは従来モデルと同様に「もちもち」から「しゃっきり」まで「食感」3段階、「かため」から「やわらか」まで「硬さ」5段階、全部で15種類の炊き分けができる「炊分わけ名人」も搭載している。全国23銘柄のお米の特性に合わせて最高の味に仕上げる「銘柄芳潤炊き」も搭載している。お米の味を徹底的に追求したいという人も十分に楽しめるだろう。
(文/安蔵靖志)
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