ムーヴ キャンバスのプラットフォームは、ムーヴやタントと共通。全長3395mm、全幅1475mmという数値は、軽自動車規格いっぱい数値で、2台と全くの共通。差が見られるのは全高で、1630mmのムーヴと1750mmのタントの中間、1655mmを採用しています。
個人的には、ムーヴ キャンバスのこの車高が、ルックスにおける絶妙なバランスを生み出していると感じます。軽自動車はあまり全高が高いと、どうしてもバランスが悪く見えてしまうがち。その点、1655mmという数値は、全長とのバランスが良く、過去の名車“ワーゲンバス”を想起させる、絶妙なバランスを実現しています。
ルーフだけでなく、ボンネットやボディの上半分などもホワイトとした“ストライプカラー”も、そのイメージをうまく盛り上げます。ストライプカラーで8種類、通常のモノトーンカラーで9種類という、多彩な計17色のカラーバリエーションも特筆モノです。
デザイン的なまとまりの良さだけでなく、実用性が高いのもムーヴ キャンバスのポイント。全高1700mm以下の軽自動車としては初となる、両側スライドドアの採用で、乗り降りしやすく、荷物の積み下ろしもしやすくなっています。特に、ちょっとした荷物をリアシートへ積み、そのまま運転席に乗り込む、といった、日常的によくある一連の動作が、とてもしやすいように設計されています。
その工夫のひとつが、“置きラクボックス”と呼ばれる、シート下に設けられたボックスです。
床には置きたくない、でもシートの上に置くと落ちそうで心配…という荷物を、気軽に入れておけるボックスで、シート下から引き出してバスケットを立ち上げるようにすると、買い物袋を立てたまま入れることもできます。運転席からちょっと手を伸ばすだけで届くポジションに配置されるなど、レイアウトも絶妙です。
イマドキのクルマらしく、安全装備にも抜かりはありません。ステアリングを切った方向にヘッドランプが向くステアリング連動ヘッドランプ“AFS”を、軽自動車では初めて採用。夜間、カーブを走る時などの視認性を高めています。
また、搭載した4つのカメラで撮影した映像を合成し、自分のクルマを真上から見下ろしているかのような映像を見られる“パノラマモニター”を、ダイハツ車として初採用。駐車時に重宝するだけでなく、見通しの悪い交差点でも周囲から近づいてくる車両などが分かるので、付いていると安心感の高い装備です。
カメラとレーザーレーダー、ソナーセンサーを組み合わせ、前方車両との衝突の危険が高まった際に作動する緊急ブレーキも装備。車線の逸脱や歩行者との接近を警報で知らせる機能や、アクセルとブレーキの踏み間違いによる飛び出しを抑制する機能と合わせ、“スマートアシストⅡ”という名で主要なグレードに標準装備されています。
ターゲット層は「自身のライフスタイルを楽しむ女性」とのことですが、親との同居世帯の女性も視野に入れているとのこと。ということは、ある程度の年齢の男性が乗っても満足できるモデルに仕上がっている、ということでもあります。
かわいすぎないバランスの良いデザインと、高い実用性と安全性。そして多くのクラス“初”、ダイハツ“初”の機能を盛り込んだ意欲的な仕上がりは、家族で共用するクルマを探していた男性にも魅力的に映るのではないでしょうか?
車両価格は118万8000円〜166万8600円。燃費は2WDモデルが28.6km/Lで、4WDモデルが27.4km/Lです。
(文/増谷茂樹)
<関連記事>
【ダイハツ キャスト試乗】差別化するのが楽しくなる!軽自動車のマルチプレイヤー誕生
【試乗】スズキの新アルト ラパンは、全国のオジサンを敵に回した!?
【スズキ イグニス試乗】新しいのにどこか懐かしい!?デザインも安全性も◎
- 1
- 2