安蔵:まずはバルミューダから。「Hello Kitchen!」シリーズの第2弾がついに出ましたね。パンを絶妙に焼き上げる「バルミューダ ザ・トースター」の次は、何と「電気ケトル」でした。
奈津子:初めてザ・トースターで焼いたパンを食べたときの衝撃は今でも忘れられませんけど、「次は電気ケトル?」って驚きました。
安蔵:今回のモデルは「コーヒーをおいしくドリップできること」と、「素早くカップヌードルを作れること」の2つにこだわったそうですね。何の変哲もないというか、シンプルにデザインのいい電気ケトルというイメージでしたが、実際に試してみると「お湯の細かいコントロールのしやすさ」と「お湯を注ぐ速さ」を両立しているのはなかなかハイレベルでしたね。
奈津子:社長のプレゼンにはとても引き込まれました。歩くよりもバイクに乗っている時間の方が長い高校時代、明け方に自販機で買って食べたカップヌードルのおいしさ……。
安蔵:ああいうシズル感(おいしそうに思わせること)は、みごとです。
奈津子:寺尾社長、イケメンですよね。
安蔵:……そっち?
奈津子:あ……いや、それだけじゃないんですよ。以前、『アメトーーク!』に出演していた家電芸人さんの出待ちをして、バルミューダの扇風機をその場でプレゼンしたらしいんです。それで実際に番組で紹介してもらって、大ヒットになったそうで。その行動力が素敵なんですよ。
安蔵:私はプレス向け体験会のとき、寺尾社長に「トースターのときのようなイノベーション(革新性)がないのでは?」って意地悪な質問をしちゃいました。
奈津子:でも寺尾社長は「モノではなく体験を売ることが大切」と話していましたね。ザ・トースターの大成功から、さらにそれを強く感じたそうです。ロボット掃除機「ルンバ」のアイロボットもそうですし、ダイソンなどもまさにそうです。最近はそういう企業、そういう売り方がすごく増えてきたように感じます。
安蔵:確かに、パナソニックのドラム式洗濯機「Cuble(キューブル)」なんかもそうです。単純に「デザイン性を追求しただけ」と思われるかもしれませんが、洗濯という作業が楽しくなるような、新しいライフスタイルの提案がありますよね。
奈津子:製品は注ぎ口とハンドルの形状、大きさ、質感などのデザイン性が素晴らしいですね。曲線のカーブがまるで芸術品のようですし、ネオン管のインジケーターもほんのり揺れる感じでとても情緒的です。
安蔵:ただ一つ残念なのは、お湯を100℃まで沸かす機能しかないこと。例えばコーヒーを入れる際の適正な温度は90℃~96℃程度などと言われたりするのですが(諸説あり)、そこはいったん沸かしてから冷ますしかありません。保温ができる電気ポットではないので難しいかもしれませんが、もうプラスαが欲しかった気がします。
奈津子:ザ・トースターがとても魅力的だっただけに、期待感は強すぎたかもしれませんね。私は、個人的には若干コンパクト過ぎる(容量600ml)気がしました。大家族には向かないかもしれませんが、「特別感のある電気ケトル」って今までにはなかったように思います。
安蔵:これがヒットしたら、「高級トースター」みたいに「高級電気ケトル」という新たなカテゴリーができるかもしれません。
奈津子:そうしたら、さらなるイノベーションが巻き起こる可能性もあります。今以上に動向に注目していきたいですね。
■空気清浄機は「空気を見える化」する時代に!