そもそも「格安SIM」と呼ばれる通信サービスは、大手通信キャリア(MNO:移動体通信事業者)から通信回線の一部を借りて提供されています。サービスを提供する会社(MVNO:仮想移動体通信事業者)は、通信設備のごく一部しか所有していません。
つまり、一言で「格安SIM」と表現しても、サービスによってどの通信キャリアから回線を借りているかという点に違いがあるわけです。
現在、MVNOの大部分は、NTTドコモ回線で提供されていると思って良いでしょう。au回線で提供するサービスも徐々に存在感を出していますが、取り扱う会社は限定的です。
■ソフトバンクはMVNOではなく「Y!mobile」を展開してきた
格安SIMが登場した当初、ソフトバンク回線を利用する消費者向けのMVNOサービスはまだありませんでした。その代わり、ソフトバンクは自社で格安SIMに相当する割安な通信サービスを展開。これがテレビCMでもよく見かける「Y!mobile(以下、ワイモバイル)」です。
しかし、ワイモバイルは「独自の通信回線を所有している」「大手キャリアが提供している」といった点で、ほかの格安SIMとは立場が異なります。大手キャリア自身が提供している「サブブランド」という扱いになります。
ちなみに、UQ コミュニケーションズが提供する格安SIM「UQ mobile」は、auのサブブランドとして認識されています。こちらについては、元々KDDIの関連会社(KDDIバリューイネーブラー)が提供していたサービス。2015年10月に同社がUQコミュニケーションズに吸収合併されたという経緯があるためです。
■ソフトバンク回線を借りるMVNOは元々あったが…
さて、今回はソフトバンク回線を使用したMVNOが登場すると話題になっています。しかし、こうしたサービスがこれまでまったく無かったのかというと、実はそういうわけでもありません。ソフトバンク回線の格安SIMも既にいくつか存在しています。
ただし、これらのサービスは、SIMフリースマホで運用するのが前提。ソフトバンクで購入したスマホをそのまま流用することはできませんでした。