■−2度の秘密は「蓄冷材料」にアリ
今回発表された日本酒専用の保冷バッグには、シャープが液晶材料の研究で培った技術をベースに開発した「蓄冷材料」が使われています。
この蓄冷材料には「−24度から+28度の温度領域の特定温度で蓄冷する」という特長があるのです。まだ試作段階ですが、上記の写真のような蓄冷材料を保冷バッグに入れるそうです。
通常、-18度程度の冷凍庫で約6時間入れておけば、蓄冷材料は凍ります。保冷バッグに蓄冷材料をセットしたら、あとは冷蔵庫で冷やした日本酒を入れましょう。すると約30分程度で氷点下になり、周囲温度が23度の環境だと約2時間その効果を発揮します。テーブルに出しっぱなしでもOKです。さらにそのまま注げるので、グラスに注ぐ瞬間まで-2度をキープできます。
開発したのはシャープの社内ベンチャー「テキオンラボ」。今回発表されたのは日本酒専用の保冷バッグですが、今後はワインなど別のジャンルでもこの技術を応用していくそうです。
■−2度のおいしさを実際に体験してみた!
−2度というのは、これまでの日本酒にはない飲み方です。今回は、石井酒造の「純米酒 豊明」の新酒と「純米酒 権現桜」の2種類を常温と−2度で飲み比べてみました。
豊明を常温でいただくと、新酒ならではの爽やかさのなかに、お米の甘みが感じられます。口当たりの良い日本酒といった感じです。続いて、−2度にしたものをいただいてみると…。味がまったく違います! 口に入れたときのひんやりした温度はもちろんのこと、とにかくキリッと引き締まっていて、新酒の良さがさらに引き立っていました。
ピンク色の濁り酒の権現桜も同様で、最初は少しまったりした甘みと酸味を感じるお酒だったのが、−2度のものは別の日本酒のような味わいに。口の中に少し置いておくと、徐々にお米の甘みが感じられるようになり、これこそが「雪どけ」のネーミングの由来であることを実感できました。