GLM G4を開発したのは京都に居を構えるGLM。「京都大学の電気自動車プロジェクトから産まれた、日本において最も新しい自動車メーカー」と社長・小間裕康氏が語るように、GLMは2010年に設立された、EVの小規模生産に特化した自動車メーカーです。現在は1990年代後半に登場しクルマ好きを沸かせた2シーターライトウエイトスポーツカー「トミーカイラZZ」の名を受けたEVスポーツカーの開発・量産を行っています。
EV版トミーカイラZZと言えるGLM G4は、外観こそオリジナルの面影を残していますが、プラットフォームや車体、パーツについてはGLMが新たに開発し国交省の量産車国内認証を得たという注目株です。
そんなGLMが新たに発表したEVスーパーカー・GLM G4のどこがスーパーカーなのか。大海原を駈け抜けるヨットをコンセプトにしたというGLM G4について、小間社長は次のように語っています。
「日本の技術と感性を詰め込み、細部まで洗練されたGLM-G4は、走る、曲がる、止まるというクルマ本来の楽しさに加え、最高に贅沢で快適な時間を提供するスーパーカーです。GLM G4は従来のスーパーカーとは違うまったく新しいセグメントで、(大排気量で高出力のエンジンを搭載する)従来のスーパーカーの延長線上で作られてはいません」
そう、GLM G4は大排気量・大出力エンジンを積んだランボルギーニ・カウンタック、フェラーリ512BBとは違うベクトルで作られた新世代のEVスーパーカーだと小間社長は言います。
GLM G4が新世代スーパーカーであることはエンジンを搭載せずモーターで駆動するEVであること。また、スーパーカー特有の低いルーフラインのワイド・アンド・ロー・スタイルにもかかわらず4ドア・4シーターを採用したことでもわかります。
とくに、EVの大きなメリットである静粛性を活かし、風を受けて優雅に進むヨットのように乗員に快適な移動とラグジュアリーな室内空間を体感できることにこだわっています。
スーパーカーと名乗るGLM G4は、動力性能についても“普通”のクルマではありません。
現在までに公開されているデータでは2基のモーターで最高出力400kW──馬力でいうと540ps相当のパワーを4輪で駆動し、0ー100km/h加速は3.7秒、最高速度は250km/hを誇ります。 大出力をエンジンの排気量を気にせずモーターで手に入れたGLM G4は、風光明媚で優雅な場所でもエンジン音を発することなく静かに、力強く、クリーンに疾走できることが大きな特徴になりそうですね。
GLM-G4はまだプロトタイプが完成したばかりで量産開始は2019年、販売価格は4000万円を予定。販売台数は1000台を目指す(GLM G4だけで400億円程度の売り上げが目標)と会見で語った小間社長はライバルについてはっきりと名言しています。
「よく私たちは和製テスラと言われますが、彼らと見ている世界が違います。GLM G4は例えるならEV版フェラーリです」
i-MiEVやリーフといったリチウム電池を搭載する新世代の量産EVをいち早く販売した日本ですが、次世代EVスポーツカーについての研究や対応は進んでいない、と話すエンジニアや専門家は少なくありません。モーターのパワーで力強く駈け抜ける姿はまだ見ることはできませんが、トヨタをはじめ大手自動車メーカーやサプライヤーからエンジニアが続々と集い開発が進められているGLM G4の今後に大きな期待がもてますね。
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(取材・文/手束毅 構成/BRIDGE-MAN)
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