先日、友人から相談を受けた。どうやら上司に身だしなみを注意されたらしく、悩んでいるとのこと。確かにあいつはファッションに疎いしな。おれはアパレル関連で仕事することも多いので、アドバイスはいくらでもできる。というわけで、どこから直したものだろうと考えてみたら、やはり社会人に求められる清潔感は時計だなという結論に至った。
使える予算は3万円前後。まあ安月給だろうし仕方ないとは思うが、もう少し頑張れよ…。でも大丈夫! 自信を持って勧められる時計があるのだ。それがクラウドファンディングで話題になった気鋭のブランド「カル・レイモン」。あいつのオーダー通り“リーズナブルで高級感もあり、長く使える”腕時計なんだよね。
■勧めた理由①「クラシカルさこそ長く愛用できるファクター」
そもそも長く使えるモノって、シンプルなだけじゃなく、どこか“品”がないと愛着は湧かない。例えばビジネス用の革靴も、気に入った一足はリペアしてでも使うけど、なんでもいいわけじゃない。フォルムや色に、どこかノスタルジックな伝統を感じている気がする。これがカル・レイモンから登場したファーストモデル「Classic Pioneer」(3万3500円)をすすめるひとつ目の理由にもなってくるけど、クラシカルさは大人のファッションにとって大事なファクターなんだ。
だって社会人の付き合いは居酒屋だけじゃないからね。高級レストランに行くとき、あまりにチープな腕時計をつけるのは避けたいでしょ。その点、カル・レイモンは「クラシカルへの回帰」を標榜するほど、デザインにはこだわってる。
■勧めた理由②「高級時計にしかない機構が採用されている」
友人に勧めた結果、無事に購入して「すごく満足してる!」と言ってたけど、きっとあいつは完全に価値を理解してないだろうな。だって「この時計、ムーンフェイズ機能もついてて、本当にオシャレなんだよ」と教えたのにキョトンとしてた。絶対知らないはずだ、あれは。わかったような顔をしてたけどね。
そもそも「ムーンフェイズ」は、月齢を教えてくれる男心をくすぐる機能。芸術的な美しさで時計の知性を象徴する機構だけど、高級時計のブランドにしか採用されていない。長い伝統を持つ機構だけに、”今どき”じゃないかもしれない。世の中はミニマリズムばかりで、無駄なものは省くというトレンドだしね。でも、何度でも読み返したくなる名著みたいに、味があるんだよなあ。ずっと眺めていられるというか…。まあ、友人にはこんな高尚な趣向は分からないだろうけど(笑)。
■勧めた理由③「腕につけたくなるストーリーがある」
今回、友人が購入したのはホワイトの文字盤だったみたい。でも実は、おれはブラックを買ったんだよね。これはどちらがどう、という問題じゃないし好みでいいと思う。確かにホワイトのスタイリッシュさも好きだけど、単純に黒の重厚感が気に入ったんだ。
重厚感を求めたのは、この時計の成り立ちにも関わっている。カル・レイモンはふたりの若者が日本に移住してきて、「メイド・イン・ジャパン」の良さを持った腕時計を世に送り出そうとしたストーリーがある。自ら工場を探し、営業のためにほうぼうを駆け巡り、情熱の結晶を生み出す。そんな姿を思い描くだけで、胸が熱くなるんだ。
まだまだ自分も駆け出しの社会人だし、この時計をつけると「よし、頑張ろう!」って気分になれるんだよね。
■誰かと語り合いたくなる魅力にあふれてる!
仕事の相棒として、ファッションのアクセントとして欠かせない一本になったけど、友人に勧めたのは間違ってなかったと思う。「すごくインスタ映えするんだよ」とか喜んでたし、上司からもウケが良かった様子。着脱時にストラップへのダメージを最小限に抑えることを目的とした「Dバックル」を採用してるとか、そのバックルの先端にさりげなくロゴが入ってるとか、意匠の高さに気がついてないのが面白いけど、時計の楽しみ方は千差万別。気に入ったんなら何でもいいと思うんだ。
今度、ふたりでちょっと高級なお店に飲みにでも行って、時計について語り合おう。どうせあいつのことだから、別の話で悩んでるかもしれないけどね。
>> カル・レイモン
>> 勧められた友人のストーリーはこちら
(取材・文/津田昌宏 写真/湯浅立志)