現在、大阪の観光人気が急上昇。特に外国人観光客の激増ぶりは目覚ましく、昨年観光庁が発表した“もっとも外国人観光客が訪れた観光地”のデータによれば、現在外国人観光客がもっとも多く訪れるエリアは、東京でも京都でもなく、大阪なのだとか。
観光客の増加に伴い、長らく落ち込み気味だった大阪経済は復活。街がますます活気づいていく反面、観光客の増加は大阪のホテル不足を浮き彫りにしました。京都や東京に比べればホテルや宿泊施設の数は圧倒的に少なく、また、フルサービスの快適なホテルも多くはなかったのです。
今回、満を持してオープンするのは、大阪のまち文化のシンボルであり、多くの人の思い出を作ってきた新歌舞伎座跡地に立つ「ホテルロイヤルクラシック大阪」。
“時を、人を、まちをつなぐホテル”をキャッチコピーに、日本の伝統を残しつつも、利便性と快適性に富んだ、大阪の新たなランドマークとなり得るホテルです。
■ホテル低層部に新歌舞伎座を復元し、伝統と革新が調和
「ホテルロイヤルクラシック大阪」が立つのは、大阪メトロ御堂筋線「なんば」駅目の前の「新歌舞伎座」跡地。新幹線の到着する「新大阪」駅からも、大阪の中心地である梅田エリアからもアクセスしやすく、観光客にはありがたい好立地です。
もともと大阪・千日前にあった大阪・歌舞伎座の後継として誕生した「新歌舞伎座」は、50年以上に渡りさまざまな芸能文化の発信地として大阪の人々に愛されてきましたが、建物の老朽化の影響もあり2009年に惜しまれつつ閉館。
しかしその唐破風(からはふ)の連なる華麗な佇まいは、2010年に上本町へ移転された後も人々を魅了し、閉館してもなお大阪のシンボルとしてあり続けました。
伝統的な意匠を引き継ぐべく、同ホテルでは新歌舞伎座をホテル低層部に復元。高層部にはアルミフィンを重ねた繊細でダイナミックなデザインを採用することで、伝統と革新が合わさったモダンな外観が造り上げられました。
外国人観光客のみならず、日本人でもひと目その姿を見れば、美しさに圧倒されるはずです。
■世界的建築家であり“和の大家”隈研吾氏が設計
今回、同ホテルの設計を担当したのは、隈 研吾(くま けんご)氏。1990年に個人事務所を設立して以降、20ヶ国以上の国で設計を担当してきた世界的建築家です。国内でも東京の「根津美術館」や、青山の「サニーヒルズ青山」をはじめ数多くの建築物の設計を担当しており、木材と“和”の風合いを大切にしたデザインを主流としていることから、“和の大家”とも呼ばれています。
同ホテルのデザインは日本ならではの味わいを残しつつ、モダンなデザインに落とし込む隈氏のスタイルに見事にマッチし、“現代の日本”を表す美しさを実現させました。
隈 研吾/1954年生まれ。東京大学建築学科大学院修了。1990年隈研吾建築都市設計事務所設立。現在、東京大学教授。これまで国内外でさまざな賞を受けている。その土地の環境、文化に溶け込む建築を目指し、ヒューマンスケールのやさしく、やわらかなデザインを提案。コンクリートや鉄に代わる新しい素材の探求を通じて、工業化社会の後の建築のあり方を追求している。
■もう一度泊まりたくなる質や目利きを重視したミュージアムホテル
もちろん外観だけが魅力ではありません。
12~19階に全150室ある客室は、雑踏から隔絶された静かで過ごしやすい空間。ホテルの一室というと閉塞感のあるものが多いですが、天井の高さに変化を持たせ、屋根を感じられるデザインを採用しているため、家の中にいるかのようなくつろぎ感を味わえます。
また、すべての部屋に客室タブレットが導入されており、照明・空調・アラームなどを一括でコントロール可能。感覚的に操作できるので、操作の煩わしさは感じません。
ほかにも、御堂筋に面したオープンカフェや、ブッフェスタイルの食事が楽しめるレストランも魅力的。特別な夜を過ごしたいなら、地上100mから宝石のような夜景を楽しめるバーラウンジの利用もおすすめです。
日本らしい美しさと伝統を残しながらも、ハイテクで快適な空間を実現させたホテルロイヤルクラシック大阪。宴会場やチャペルも備え、旅行やビジネスだけでなく、普段使いのハレの場に使ってもらうことを想定し、あらゆるところに質や目利きを重視したミュージアムのようなホテルになります。
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2020年3月以降は、なんば駅出口から直結となり、さらに利便性に富んだホテルとなる予定。ますます発展する大阪の、新しいランドマークとなる日もそう遠くはないはずです。
(文/藤間紗花)