足元に取り入れるだけで、アメリカ西海岸の香りが漂う「Vans(ヴァンズ)」のシューズは、1966年にカリフォルニア州アナハイムで生まれた。
創業モデルは、今もなお人気が高いヴァンズ「オーセンティック」。これがスケーターたちの間で話題となり、1976年になると、オーセンティックをベースにプロスケーターのアドバイスを盛り込んだ「エラ」が登場する。“OFF THE WALL(風変わりな)”の文字とスケートデッキが描かれたロゴが誕生したのもこの頃だ。パッド入りで履きやすくモディファイされた「エラ」もまた、ヴァンズを象徴するモデルとして愛され続けることになる。
そんな「エラ」の誕生から40年以上経ち、さらなる快適性を求めた「コンフィクッシュ エラ」が登場した。ここでは、新しくなったポイントと、おしゃれに履きこなすためのヒントを探求していく。
【進化ポイント1】発泡生ゴム採用で履き心地UP
定番モデルのヴァンズ「エラ」と、新しく誕生した「コンフィクッシュ エラ」を外見だけで識別するのは難しい。大事なポイントは見えない場所に隠されているからだ。
「ComfyCush(コンフィクッシュ)」と名付けられた最新技術のポイントはソールの素材にある。従来品は生ゴムを使用しているが、こちらは生ゴムを泡立て凝固させたフォームラバーを採用。ゆえに、圧倒的なクッション性と軽量さを実現。ソールが柔らかくなったことで歩きやすくなり、見た目はそのままに、ハイテクスニーカーに勝るとも劣らない快適な履き心地が得られるようになった。
【進化ポイント2】アーチサポートで快適性UP
発泡させた生ゴムをソールに採用しただけでなく、シューズ内部にカップインソール(立体的な中敷)を備えることで、アーチサポート機能を追加。これにより、足裏が開きすぎてしまったり、かかとが倒れ込むことを抑え、快適な歩行へと導いてくれる。また、土踏まずがフィットすることで、滑り止めに似た効果を発揮し、シューズ内で足がズレることも軽減。カップインソールは通気性も備えているので蒸れも減っている。それらすべての機能により、快適で安定した使用感になった。つまり、長時間履いても疲れにくいのだ。
【進化ポイント3】シュータン一体構造でフィット感UP
泥除けの役割りを果たすシュータンだが、履くたびにこの部分がズレてしまいストレスを感じる人は多い。「エラ」においては、シュータン部分に紐を通す穴がないのでなおのことだ。そこで、「コンフィクッシュ エラ」では、シュータンとアッパーが一体構造になるような工夫が施されている。それが低反発素材を使用したカップインソールと組み合わさることで、フィット感が大幅に向上。クラシックなデザインはそのままに、現代のニーズにマッチしたまったく新しい履き心地を実現させている。
コーディネートの秘訣 3つのポイント
快適な履き心地が新しい「コンフィクッシュ エラ」だが、デザインは従来通りシンプルでクラシック。それゆえに、どうコーディネートすればいいのか悩んでしまう人も多いはず。ここでは、スタイリストの宇田川雄一さんに、『&GP』世代にとってためになるコーディネートの秘訣を教わった。
「『コンフィクッシュ エラ』は、デザインの完成度が高いため、どんなスタイルにもマッチしてしてくれます。それだけに、トレンドを意識して履かないと、おじさんっぽさが漂ってしまう危険性もある。今回は、90年代をリアルタイムで過ごした人たちに向け、オシャレ&大人っぽく『コンフィクッシュ エラ』を履くコツを伝授したいと思います」
大学を卒業後、2008年にアシスタントを経て独立。ファッションを幅広く多くの人たちに楽しんで欲しいという思いがあり、モノ誌など実用系のメディアでわかりやすくトレンドを提案することが増えている。現在は、Web、雑誌、広告、PV、ショートフィルム等、幅広い分野で活躍中。
■トレンドカラーのブラウンには黒が欠かせない
昨年から引き続き人気が高いのが、アースカラーの代表格であるブラウンの色味。これをうまく取り入れるだけで、旬なスタイリングが完成してしまう。
「同色系でまとめるワントーンコーデが人気ですが、ちょっぴりおしゃれ上級者向け。そんなときは黒と合わせることで、全体が締まって見えて取り入れやすいんです。また、『コンフィクッシュ エラ』はシンプルなのでコーディネートしやすく、きれい目なスタイルに合わせやすい。コートと合わせると、程よく少年感が出ていい感じのハズしになります」(宇田川さん)
ブラウンと黒でまとめたスタイリングの足元に、「コンフィクッシュ エラ」の黒を合わせればすべてがうまくいく!
■デニムと合わせるなら、靴下にこだわって上品に
カジュアルスタイルの王道といえばデニム。しかし、年齢を重ねてきたことで「あれっ、デニムが似合わなくなっている?」と感じてしまうことも多い。鏡の前で不安になるのは、かつて腰ばきではいていたような太めのシルエットだったりする。
「『&GP』世代が取り入れるなら、テーパードのシルエットやクロップド丈の細身デニムを選ぶのがいいと思います。そのときに、スポーティなソックスではなく上品なものを選ぶのがポイント。薄手でモードな雰囲気のあるソックスがちらりと見えるだけで、デニム × ヴァンズのスニーカーという王道のスタイルが崩れ、ニットやシャツなど大人なアイテムと合わせやすくなります」
靴下を変えるだけという目から鱗な提案。これで「コンフィクッシュ エラ」が上品なアイテムに格上げされる!
■オーバーシルエットを楽しむなら、黒スキニーと合わせる
90年代リバイバルの流れで、だぼっと余裕のあるトップスを合わせるオーバーサイズ・コーディネートが人気。しかし、90年代をリアルタイムで知っている世代にとっては気恥ずかしさもあり、また、若作りをしていると思われるのも癪だ。
「オーバーサイズのシルエットを生かすために、黒のスキニーパンツ人気が再燃しています。その足元に『コンフィクッシュ エラ』の黒を合わせれば、いい感じに溶け込みつつも、程よく存在感を主張してくれて一石二鳥。定番スニーカーの底力を感じることができると思います」
若者は黒スキニーにハイテクスニーカーを合わせるが、大人はローテクスニーカーでスマートに。それでいて、「コンフィクッシュ エラ」ならハイテクのような履き心地が味わえる!
■快適な履き心地を実現する「コンフィクッシュ」シリーズ
ヴァンズ「コンフィクッシュ エラ」(8250円/税込)
1976年から続くクラシックなデザインはそのままに、快適な履き心地をプラスした「ComfyCush(コンフィクッシュ)」。アーチサポートやフィット感を向上させる低反発のフォームをはじめ、クッション性とグリップ力を組み合わせた一体構造ソールが優しく足にフィットする。
ヴァンズ「コンフィクッシュ エラ ホリデーシーズン限定カラー」(各9350円/税込)
現在発売中の「ホリデーシーズン限定カラー」は、ボルドー、ブラック、オリーブの3色展開。カラーだけでなく、つま先やかかとにあしらったスウェードと、リップストップナイロンを採用したボディとの異素材組み合わせが表情を豊かに演出。また、ヒール部分のワンポイントロゴが、ホワイトで統一されているのもポイントとなっている。
(左)ヴァンズ「コンフィクッシュ オーセンティック」(8250円/税込)
(右)ヴァンズ「 コンフィクッシュ オールドスクール」(9900円/税込)
(中)ヴァンズ「 コンフィクッシュ スリッポン」(8250円/税込)
ブランドの創業モデルである「オーセンティック」(左)。1978年にBMXライダー向けに生まれた、側面のサーフラインが特徴的な「オールドスクール」(右)。そして、1979年の発売後すぐに南カリフォルニアで大ブレイクした「スリッポン」(中)。いずれもヴァンズの人気定番モデルだが、見た目は変わず履き心地アップのコンフィクッシュ搭載バージョンが発売中!
>>ABCマート
(取材・文/富山英三郎、写真/恩田拓治、スタイリング/宇田川雄一)