高い防水性、独自の機構を持つ耐衝撃性、磁気の影響をシャットダウンする強力な耐磁性、自発光ダイヤルを備えた視認性ーー。時計に求められる堅牢性を高次元にまとめたアメリカ発の高級腕時計ブランド、ボール ウォッチからテクノロジーの粋を集めた最新モデルが登場した。
“スイスCOSC認定クロノメーター”の称号を持つ、確かな実力を備えたモデルの名は「エンジニア ハイドロカーボン オリジナル」(28万円/税別)。このフラッグシップモデルを手に入れた、ある男性のライフスタイルを追っていこう。
■ようやく掴み取った仕事での成功を祝って自分へのご褒美!
今の仕事に就いて10数年、ガムシャラに働き続けてきたおかげもあってか会社から評価されて、ついに先日、管理職に昇進することが決まった。こういう節目には、必ず自分に対して成果を形として残すことにしている。それが時計のコレクションだ。
今までも数本、高級腕時計といわれるものを購入したけど、何本でも所有したくなるのが時計好きの性。先日も銀座をぶらぶらして時計を物色してきた。そこで目をつけたのがアメリカ発の「ボール ウォッチ」というブランド。
この最新モデルを試着したら、即欲しくなったので調べてみたところ、そのハイコスパぶりに驚いた。
■機械式時計における驚異の耐衝撃性能
いま目をつけているのは「エンジニア ハイドロカーボン オリジナル」という、ボール ウォッチの最新フラッグシップモデル。最大の特徴は、とにかく頑強であるということ。機械式時計では最高レベルとされる7500Gsの耐衝撃性を誇るらしい。まあ正直、その数値の大きさは実感できないけど、約1.5mの高さから時計を落下させても壊れないほど強いらしい。
外的ダメージを原因とする精度不良を防ぐため、緩急針を特殊なプレートで抑えて固定する新機構「スプリングシール」や、ムーブメント保護のための「アモータイザー衝撃吸収リング」を搭載するなど、衝撃に対するこだわりぶりが徹底している。
さらにヒューマンエラーによるリューズからの浸水を防ぐ「セーフティロック・クラウンシステム」も備えていて、時計内部をばっちり保護。これによって、ダイバーズウォッチ基準の200m防水を実現しているから、とにかく信頼性が高いんだ。
何より、頑丈さだけでなくエレガントなデザインが気に入ったポイント。秒針の部分とリューズガードの側面に入った「RR」ロゴは創業当時から変わってなくて、時計に上品さをプラスしていると思う。
■アクティビティとの相性もいい
仕事の合間に趣味として始めたのが“魚釣り”なんだけど、ボール ウォッチの頑強さがあれば気にせず連れていけるのも、購入しようと思った理由のひとつ。反射防止処理されたサファイヤガラスだから視認性が高いのは当然で、ステンレススチールのケースとベルトは汚れても簡単に洗い流せる。岩場などで傷がつくのも勲章だし使い込めば唯一無二の相棒になりそう。遊び心のある大人って感じがして、なんかいいよね。
視認性でいえば夜光についても面白い仕組みを持っている。なんとインデックスに蓄光するタイプの一般夜光塗料を使っておらず「自発光」するらしい。発光部分(ベゼルは除く)は、実はガラスチューブになっていて、ここに蛍光塗料を塗布してトリチウムと呼ばれるガスで満たすことにより、「マイクロ・ガスライト」が自発光する。蛍光灯と同じ原理で、つまり太陽の光などで蓄光せずとも夜に自ら光るのだ。これって釣り人にとってすごいありがたい。まあ釣りだけじゃないけどね(笑)。
■アメリカの発展と共に歩んできたボール ウォッチの歴史
そもそもボール・ウォッチは由緒正しきアメリカ発の機械式時計。1891年にウェブスター・クレイ・ボール氏が創業し、もともとは当時の鉄道員たちのために高い精度を持つ時計が必要だったことに端を発している。なぜなら当時、鉄道運行における時間管理の曖昧さが「キプトンの悲劇」と呼ばれる列車事故を起こし、8名もの死者を出したからだ。
時計師のボール氏は事故調査を委任され、原因が時刻管理のずさんさにあったことを突き止める。その実状を改善するためボール ウォッチは誕生し、その後の鉄道産業の発展に大きく寄与した。つまり当時のアメリカを支えた鉄道の歴史と共に、歩みを進めてきたブランドなのだ。
■趣味性の高いレッドモデルも登場
重さは約211gでケース径は40mm。この前に試着したときは“ちょうどいいサイズ感”だと感じたんだよね。いつも思うけど、腕時計は装着感が大事。重さ、バランス、質感、着脱のしやすさ、とにかくフィーリングが合うのか試してみること。あとはカラーだけど、「エンジニア ハイドロカーボン オリジナル」に新色も出てた。
ベゼル部分がレッドのモデルでこれまた魅力的。スペックは完全に同じだから、あとは好みの問題だな。本当に悩ましいけど、もう一度お店に行って身に着けてみよう。そうすれば自ずと結論に至るはずだから。
>> ボール ウォッチ「エンジニア ハイドロカーボン オリジナル」
(文・三宅隆<&GP>/写真・ボール ウォッチ提供、PIXTA)