近年、自然に触れられるアウトドアレジャーの人気が右肩上がり。中でも、気軽に楽しめるとあって、キャンプ愛好家たちが増えている。
キャンプが一過性のブームから定番のアクティビティへとシフトするに連れて、そのスタイルにも変化が。人気のファミリーキャンプはもちろん、ひとりで楽しめるソロキャンプや、友人やパートナーと出掛けるデュオキャンプといった、よりパーソナルなキャンプスタイルにも注目が集まっている。
そんなキャンプの“相棒”として人気のカー・カテゴリーといえば、やはりSUVだ。とはいえ、SUVならなんでもアリ、というわけではない。ラージサイズのモデルは、確かに多くのキャンプ道具を積み込めるものの、ショッピングや街乗りといった日常使いを考えると、自ずとユーザーにとって“ちょうどいいボディサイズ”というものが見えてくる。
そうした視点から、今回は街にも山にもジャストサイズなLEXUS「UX」をセレクト。街とアウトドア、それぞれのシーンにおける実力をふたりのプロがチェックした。
■おもてなしの心と“らしさ”の追求が所有欲を高める
まず始めに、街乗りを中心とした日常シーンでの実力を検証してくれたのは、モータージャーナリストの岡崎五朗さん。岡崎さんはUXと対面するなり、「なぜ今、SUVが人気なのか?」について解説してくれた。
「今や、北米マーケットで販売される乗用車の約6割がSUVという時代です。『便利そう』とか『使えそう』という思いを抱かせてくれる、遊び心やワクワク感がSUV人気を後押しするひとつの要因といえますが、今ではさらに、『SUVを選んでおけば間違いなし』というトレンドにもなっています。そうした状況を受け、世界の自動車ブランドはSUVのラインナップを強化中。SUVという一種の“コスメ”が、ヒットモデルに欠かせない要素となっているのです」
とはいえ「SUVならすべて同じではない」と岡崎さん。では、今回採り上げるUXならではの個性とは、どこにあるのだろうか?
「UXの開発コンセプトは、“Creative Urban Explorer”。アーバン=都会というワードからも明らかなように、このクルマのメインステージはあくまで都市なんです。全長4495mm、全幅1840mm、全高1540mmというジャストサイズのボディは、都市部の大型商業施設などで見掛ける多くの機械式立体駐車場にも収まる大きさ。そこに、快適で上質な仕立てのインテリアが相まって、普段使いから休日のドライブまで、ストレスフリーに対応してくれるのが最大のポイントといえるでしょう。
とはいえ、SUVならではの力強さを感じさせる点も、UXのもうひとつの個性。LEXUSは、相反するものを掛け合わせることで、それまでにない価値を生み出す“二律双生”の考え方をクルマ作りの基本哲学としていますが、凝縮感のあるボディと、大径タイヤに向かってフェンダーが張り出したSUVらしいフォルムの組み合わせは、まさにその象徴といえるでしょう」
ストレスフリーな走りを実現するために、UXはあらゆるメカニズムを厳選。その上で、“LEXUSクオリティ”を追求するために、しっかりとコストをかけて作られていると岡崎さんは指摘する。
「UXは、“クルマ作りの新たな指針”である“TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)”に基づいて開発された“GA-Cプラットフォーム”を、LEXUSのモデルとして初めて採用しました。とはいえ、高級車ブランドであるLEXUSのクオリティを満たすために、“レーザースクリューウェルディング”と呼ばれる特殊な溶接方法や環状骨格構造など、独自技術をプラスすることで、ボディをさらに強化しています。また、フロントフェンダーやボンネットフード、ドアパネルなどにアルミ材を採用し、軽量化も追求。高級車ブランドらしく贅沢にコストを投じることで、強固で軽量な車体を作り込んだのです。
その上、2リッターの自然吸気ガソリンと、そのハイブリッド仕様という2種類のパワーユニットは、いずれも量産車最高レベルの熱効率を誇る“高速燃焼エンジン”で、キビキビと軽快な走りを楽しめます。また、TNGAの思想から生まれたトランスミッション“ダイレクトシフトCVT”は、従来型のCVTで見られた発進時のルーズな印象をほとんど解消していて、とてもダイレクトに加速してくれるんです。
それらによる恩恵は、走り始めてすぐに感じられます。例えばハンドルを切ると、ドライバーの意思に対して遅れることなくクルマの向きが変わりますし、アクセルペダルを踏み込んだ際の加速も力強くてスムーズ。その上、静粛性も上々です。走りの完成度は、LEXUSの名に恥じない出来栄えといえますね」
最後に岡崎さんは、UXのラゲッジスペースを目にして「LEXUSらしいな」とつぶやいた。実は最新仕様のUXは、ローデッキタイプの荷室とすることで、最大容量を310Lへと拡大しているのだ。
「ユーザーの声を真摯に受け止め、早急に改良を施してきましたね。まさに、日本で生まれたプレミアムブランドならではの、“おもてなしの心”が感じられます」
■必要な道具は積みっぱなしにしておいて即“ソロキャン”へ!
続いて、非日常のキャンプシーンでUXの実力を検証してくれたのは、アウトドア関連の仕事も多いというフリーランスのエディター&ライター・松井直之さん。愛車のラゲッジスペースには常時キャンプ道具を積み込んでいて、ソロキャンプならいつでも出掛けられる状態にしているという、根っからのキャンプ愛好家だ。
結婚してお子さんが生まれた現在も、家族や友人とのキャンプが最も楽しいオフタイムの過ごし方だと語る松井さん。そのためクルマ選びでカギとなるのは、やはり「キャンプ道具をいかに積み込めるか」に尽きるという。しかし、たくさんのギアを積めると分かっていながらも、ボディサイズが大きなクルマにはなかなか手を伸ばせないという。
「普段は東京都内に暮らしていることもあって、駐車場事情などを考えると、なかなか大きなクルマは選べません。なので、街乗りでもストレスを感じないボディサイズで、なおかつキャンプ道具を“それなり”に積めるクルマを選んでいます。その分、テントやチェアなどの、かさばるギアは、小さく収納できるものに買い替えたり、ルーフキャリアを付けたりしてやりくりしていますね」
かつてキャンプといえば、家族や大勢の仲間と楽しむもの、というイメージが強かった。しかし最近、様相が変わってきたと松井さんは分析する。
「最近、ひとりで出掛けるソロキャンパーや、パートナーとテントを張っているデュオキャンパーが増えているんです。僕も、シーンや“誰と出掛けるか”によって、さまざまなスタイルのキャンプを楽しんでいるのですが、そうしたスタイルの変化が、キャンパーたちのクルマ選びにも影響しているように感じます」
では今回、初めて“使って”みたUXは、キャンプ愛好家の目にどのように映ったのだろう?
「ラゲッジスペースは決して広大ではありませんが、思った以上に『使えるな』というのが正直な感想です。僕にとってキャンプは“工夫を楽しむもの”。限られた荷室にさまざまなギアをどのように収納するか。あれこれ考えながら積んでいくのも、テトリスみたいで楽しいんですよ。
あと、足を出し入れすると開閉できるUXの“ハンズフリーパワーバックドア”は、両手が荷物でふさがっていても荷室にアクセスでき、荷物の多いキャンプではとても重宝しますね」
とはいえ、クルマはキャンプ道具を積めればなんでもいい、というわけではない。ちょっとした休日には、自宅から150km圏内のオートキャンプ場へと頻繁に出掛けている松井さんだけに、走りには妥協したくないという。
「オートキャンプ場までのルートって、都内の狭い路地に始まり、ハイスピードで走る高速道路、そして、くねくねと曲がりくねった山道まで、いろんな道を走るんです。なので、運転していて不安を覚えるクルマはイヤですね。
その点、このUXは、どんなシーンでもドライバーを不安にさせないクルマでした。狭い路地でも取り回しに苦労することはありませんでしたし、高速道路を走ってもほとんど疲れ知らず。キャンプ場近くの山道でもドライブを楽しめました。
それと、オートキャンプ場の敷地内は、舗装されていない施設が多いですし、キャンプ場にアクセスするルートの途中には、未舗装の道も結構あります。それだけに、ロードクリアランスに余裕のあるUXは、走っていて頼もしく感じましたね」
■こちらも要チェック!特別仕様車「UX200 Blue Edition」
今回、街でも山でも高いポテンシャルを見せつけたUX。そのラインナップに先頃追加されたのが、特別仕様車「UX200 Blue Edition」だ。
これは、2リッターの自然吸気ガソリンエンジンを搭載する「UX200」をベースに、専用のインテリアカラー“コバルト&ブラック”を採用したスペシャルな1台。
さらに、ルーフレールやハンズフリーパワーバックドア、パーキングサポートブレーキなども標準設定しており、ユーザーの多彩なライフシーンをカバーしてくれる。
もちろん、ローデッキタイプの荷室は、最大容量310L(アンダーデッキ含む)を確保しているから、日常のショッピングから非日常のアウトドアシーンまで幅広く対応する。
特別仕立てのUX200 Blue Editionが、UXとLEXUSの新たな可能性を見せてくれそうだ。
(文/上村浩紀<アップ・ヴィレッジ> 写真/下城英吾)