レジャーを楽しむ秘訣は“道具”にあり!
キャンプやアウトドアでレジャーを最大限楽しむうえで、重要なのは「よい道具」を揃えることだ。例えば、トレッキングならシューズやサポートタイツを使うことで、足への負担が軽減される。レインウエアや防寒着を準備すれば、急な天候の変化にも対応できる。こうした下準備がレジャーの質を左右する。
さらに、地図や高度計、コンパスなどがあると、より一層トレッキングに没入できるだろう。しかし、幅広いアウトドアレジャーを楽しみたいライト層にとって、こういったギアを細々と用意するのは面倒なものだ。
コンパスや気圧計などのギアは腕にまとめて装着!
そこで注目したいのが、3月25日に発売されるカシオ製スマートウォッチ「Smart Outdoor Watch WSD-F10」だ。その魅力は従来のアウトドアウオッチとはひと味もふた味も違う、Android Wearを搭載したスマートウォッチなのだ。アウトドアのみならず、普段使いから週末のレジャーにも活躍しそうな、新しいギアだ。
ボディのサイズは、横56.4×縦61.7×厚さ15.7 mm程度。バンドを含めた質量は約93g。ゴツめのアウトドアウォッチを想起させるサイズ感だ。充電はマグネット圧着式の専用端子で行う。カラーはオレンジ、ブラック、グリーン、レッドの4色で展開。価格は7万円(税抜)となっている。
他のスマートウオッチと何が違うのか?
トレッキング、サイクリング、フィッシングで使えるオリジナルアプリも搭載。スマホと連動することで、例えば山頂までの残り高度を知らせるなど、カスタマイズした通知を行える。つまり、WSD-F10は、高度計、コンパスなどに相当するアウトドア向け機能がギュッと濃縮した便利アイテムなのだ。
特にオススメしたいポイントは次の3つ。
- Android Wearを搭載し、スマホ連動で便利なアプリを活用できる
- グローブをしたアウトドアでも操作しやすいボタン
- カラー、モノクロの液晶を用意し見やすさとロングライフを実現
1.スマホを取り出さずに通知を確認できる
同機はOSにAndroid Wearを搭載しており、Android 4.3以上を搭載したスマホ、およびiOS 8.2以上を搭載したiPhone 5以降のモデルとペアリングして使用する(※iOS接続時には、使用できる機能が制限される)。スマホの通知はウォッチ側へ自動転送されるため、カバンやポケットからスマホを取り出さずに、腕時計を見る感覚で素早く通知をチェックできる。
もちろんAndroid Wear対応のアプリをインストールして使うことも可能だ。なお、アウトドア向けアプリについては、最初から以下のアプリが標準搭載されている。
- YAMAP:登山経路を表示できる
- Go雨! 探知機:周辺の天候情報を表示できる
- Runkeeper:ランニングやサイクリングのルートを記録できる
- ViewRanger:次の地点までの距離やルート情報などを確認できる
中でも「YAMAP」「Go雨!探知器」をスマートウォッチで使えるのは、WSD-F10だけだ。
ウォッチ本体の6時側にはマイクが付いているので、「OK Google」の合図で起動する音声操作も行える。こうしたAndroid Wearとしての基本性能は、一般的なスマートウォッチと同様だ。
2.特筆すべきは野外での使いやすさ
WSD-F10が他のスマートウォッチと一線を画す理由は、アウトドアシーンでの使いやすさにある。まず、ハードウエア面におけるポイントはふたつ。
- MIL規格準拠、5気圧防水に対応する堅牢性の高さ
- 物理ボタンを使った操作に対応
まず、米国の国防総省が規定するMIL規格に準拠した耐久試験をクリアしていること。同機は、落下/振動/湿度/太陽光照射/低圧保管/低圧動作/高温保管/低温保管/温度衝撃/氷結の10項目に準拠。要するに、過酷な環境下で使用してもスマートウォッチとしての機能を維持できるわけだ。また、5気圧防水に対応しているので、雨が降っている際に使っても全く問題ない。釣りなどの際に、腕を水中に浸しても大丈夫だ。
次に、物理ボタンを使った操作ができるということもポイントだ。タッチパネルは雨などで濡れてしまうと、正確な操作ができなくなる。また、アウトドアシーンではグローブを着用しているケースもあるので、そもそもタッチ操作ができないこともある。しかし、同機は右側面に「TOOLボタン/電源ボタン/APPボタン」という3つの物理ボタンを搭載しているので、こうした場合でも操作が可能だ。またAPPボタンは、ショートカット起動する機能を割り当てられるため、必要な機能を瞬時に使える。
3.時刻表示が見やすく、バッテリー消費が少ないモノクロ液晶
そして、ユニークなのが2層構造の液晶を採用している点。カラー液晶の上にモノクロ液晶が重ねて配置されている。これが活きるのは、太陽光が強い屋外で使うときだ。強い日差しの元では、カラー液晶の表示は見にくくなってしまうが、バックライト非搭載のモノクロ液晶なら背景が電子ペーパー並みに白く反射し、くっきりと視認できる。カラー液晶をオフに切り替えるには、電源ボタンを短く押せばよい。
ちなみに、通常使用した場合の電池持ちは約1日程度だ。しかし、Android Wearを完全にオフにして、時刻情報のみをモノクロ液晶に表示させる「タイムピースモード」を使えば、電池寿命は1か月以上に伸ばせる。例えば、1泊2日の富士登山なら、基本はタイムピースモードで時計として使用しておき、ここぞというタイミングでAndroid Wearをオンにすることで、効率良く使用できるだろう。
アウトドアウオッチとしても優れた機能「TOOL」と「ACTIVITY」
続いて、本機ならではの、ユニークかつ役立つアウトドア向けの機能について紹介しよう。これらを把握するには、物理ボタンが担っている役割を見ていくと分かりやすい。
- 右上のTOOLボタン:ウォッチ本体が内蔵するセンサーで計測したデータなどを表示するTOOL機能が起動
- 右下のAPPボタン:Androidスマートフォンの「CASIO MOMENT SETTER+」アプリを利用して、カシオオリジナルの「ACTIVITY」アプリやユーザー自身で好きなアプリを割り当てることが可能。
1.TOOLボタン
WSD-F10は、圧力(気圧/高度)、 加速度、 ジャイロ、 方位(磁気)の4つのセンサーを搭載している。「TOOL」は、これらのセンサーで計測したデータをアウトドアレジャーに役立つ視点で表示してくれる機能だ。具体的には、方位を示してくれるコンパスや、高度の変化を表示してくれる高度計測機能、そして1日の行動履歴を表示する活動グラフなどがある。
例えば、釣りにTOOLを活用する場合、スマホで指定した港の潮位をグラフで表示できる。また、気圧の変化などの情報に基づいて、魚が活発に動く時間や、釣れやすさ度合いが分かるという具合だ。
ACTIVITYボタン
一方、APPボタンからは、アプリが起動するようになっている。標準設定では「ACTIVITY」アプリが起動する。こちらはTOOLの表示とは少し異なり、スポーツ別に必要な情報をまとめて表示してくれる。
具体的にACTIVITYを使う流れはこうだ。
同アプリを起動すると、トレッキング/サイクリング/フィッシングという3つのスポーツが表示される。ここでは、例としてトレッキングを選択する。中央に表示される「スタート」をタップすると、データの測定および表示が開始される。
すると、ウォッチの画面には「現在時刻/経過時間/移動速度/ゴールまでの残り高度」が表示される。なお、一度スタートすると、ホーム画面に戻しても、同アプリから「測定終了」を指示するまでバックグラウンドでの測定が続いている。
フル活用するには専用アプリが必須
さらに、Android向けの専用アプリ「CASIO MOMENT SETTER+」を使うと、ACTIVITYの通知機能をカスタマイズできる。スマホ側であらかじめ条件を設定しておくと、それが満たされた瞬間に指定の通知がウォッチに送信されるという具合だ。例えば、「1時間が経過」するごとに「休憩しましょう」という指示を表示するように設定できる。
MOMENT SETTERのタブで「登山・トレッキング」を選択する。すると、「標高3000mまでのこり200mになったら残り高度を表示」などカスタマイズできる条件が一覧表示される。条件文の白い箇所はカスタマイズできないが、青い箇所については数値やテキストなどを自由に変更できる。
ちなみに、TOOLアプリの設定や、APPボタンへのショートカット割り付けについても、同アプリから設定を行える。
まだある「Smart Outdoor Watch」の魅力
ウォッチフェイスのカスタマイズも可能
盤面をカスタマイズできるのもスマートウォッチならではの魅力だ。「CASIO MOMENT SETTER+」からは、表示させるウォッチフェイスも選択できる。
7種類あるカシオのオリジナルフェイスには、メーター内の情報をカスタマイズできるものもある。
このメーターに表示させる項目は自由に選べる。「電池残量/スマホの電池残量/歩数計」などを表示させることで、より機能性がアップするだろう。
カシオのカメラとも連携する
同社が販売しているEXILIMシリーズのアウトドアレコーダー 「EX-FR100」を持っている場合には、WSD-F10をリモコンシャッターとして利用できる。両手のひらを自由にして、撮影できるのはアウトドアシーンではありがたい。
操作は「EXILIM Controller」アプリ経由で行う。写真のシャッターとムービー録画のスタート/ストップ操作が可能。インターバル撮影や高速連写にも対応する。撮影した写真はウォッチの画面で確認できる。
WSD-F10は、多彩な機能を搭載しつつも、目的がアウトドアに絞られているため、基本的な使い方はシンプルだと言える。山登りや釣り以外にも、週末にキャンプにいったり、フェスに行ったりするときにも、充分活用できる点も嬉しい。
アウトドアシーズンはもう間近に迫っている。WSD-F10のようなワクワクするギアを持っていれば、春の休日がぐっと楽しくなるに違いない。
(文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。