ロボット掃除機「ルンバ」「ブラーバ」の頭脳がまたひとつ人間に近づいた!
ロボット掃除機の進化は、第2ステージに移った。
かつては、“きちんと掃除できるか”がロボット掃除機の課題だった。ゴミやホコリを確実に捕獲するブラシや吸引力、部屋をもれなく走り回りキレイにできる能力が求められてきたのだ。これを第1ステージとすれば、ほとんどの人が満足できるレベルに達したといえよう。
吸引力は黎明期に比べればはるかに高まったし、カメラやセンサーを用いて部屋の間取りを認識・記憶し、効率よく掃除を完了させられるにまで至っている。
しかし、それが当たり前になってくると、人間とは欲深いもので、他の不満や要望が出てくるのだ。
たとえば、仕事に出かけている間に掃除させようとスケジュール機能を設定させていたとしよう。昨今、在宅勤務など生活のパターンにも変化が生じた人も多いだろう。自宅で仕事中、以前に設定したスケジュールでルンバが動き出せば、「うるさいなぁ」と、手動で止めることになる。人間にとっては、ロボットをホームベースに戻す手間がかかるし、ロボットにとってもミッションが中断されたことで学習効果が下が
ってしまう問題が生じる。
そこでアイロボットは、ロボット掃除機のプラットフォームを大幅に進化させた。「iRobot Genius™(アイロボット・ジーニアス=天才、の意)」と名付けられた新プラットフォームでは、ルンバやブラーバの機能はもちろん、アプリやクラウドをスマート化させている。
特にユーザーが直接見たり操作するアイロボットHOMEアプリは大幅にリニューアル。新たに追加された機能の詳細はのちほど解説するが、一番驚きなのは、「物体認識」の機能だ。ルンバ(s9+、i7、i7+)やブラーバ(ジェットm6)が光学センサーで捉えたテーブルやソファーといった家具などを認識し、新たな掃除エリアとして提案してくれる。これにより、これまで部屋単位で指定していた掃除するエリアを、より細かく指定できるようになる。
たとえば、食事をするダイニングテーブルやリビングのソファー、寝室のベッドなど、掃除するエリアを限定すればそのぶん掃除時間も短縮できる。ソファーで食べていたお菓子をこぼしても、シャワーを浴びている間にルンバやブラーバに掃除してもらうなんてことも気軽にこなせる。こうした“ちょい掃除”が可能になれば、さらに使用頻度も高まるのではないだろうか。
これまでは、ちょっとした汚れなら、時間がかかるという理由で、掃除機やウェットティッシュで手掃除していた人も、今後はルンバとブラーバにおまかせだ。
また、すでに対応しているAmazonやGoogleのスマートスピーカーを使えば、声だけでピンポイントで掃除できる。「ちょっとテーブルのまわり拭いておいて」と家族に頼むような、気軽な感じだ(家族は必ずしも応えてくれませんよね)。
さらに「お気に入り」の機能では複数のエリアを指定して、掃除させることが可能だ。その際、ダイニングテーブル→リビングのテーブル→玄関、というように順番も指定できる。
さらに進化したのは、スマートフォンやスマートロックなどのIoT家電との自動連携機能だ。ユーザーが家を出ると、自動的にロボット掃除機が動き出す。これなら、在宅勤務をはじめ、日々生活のスケジュールが異なる家庭でも、煩わされることなく清潔な部屋を維持できるだろう。
また、花粉といった季節による環境から、掃除を提案してくれる「おすすめ通知」も備わった。これなどまさにプロのお手伝いさんの目線である。
ルンバやブラーバは、単純に掃除をラクしたい、あるいはしっかり掃除できるというレベルを超え、まるでそこにいる人に頼むかのような掃除を実現しつつある。また、日常で意識することなく役に立ってくれるパートナーへと進化しているのだ。
■アップデートでアプリ画面はこう変わる!
新しいアプリでは、縦スクロールや横方向へのスワイプであらゆる操作や情報の確認が可能になった。Welcome画面はユーザーに合わせてカスタマイズされるため、使い勝手も大幅に向上している。
●シンプルな色使いで一新されているデザイン
●コネクトされているロボットが大きな画像でひと目で分かる
●すべての機能がひとつの画面に集約。スクロールして直感的に操作できる
●ロボットに対して、どこをいつ、どのようにキレイにするかに焦点をあてたデザイン
●リモコンとしての役割を超え、ユーザーに合わせた体験とコントロールを提供
進化①「家具を認識してピンポイントで清掃可能に!」
ロボット掃除機が家の間取りを認識してマップを作ってくれていたImprint®スマートマップの機能がさらに進化。テーブルやイス、ソファー、カウンター、キャビネットといった家具などをアイテムとして認識し、部分清掃エリアとして提案してくれるようになった。提案されたエリアに「リビングのソファー」などと名前を付けておけば、アプリやスマートスピーカーから指定することでピンポイントの掃除が可能になる。
▼製品担当者からひと言
部分清掃エリアは、認識された物体より広めに提案されますが、エリアの大きさは自由に設定することが可能です。
進化②「重点的に掃除したいエリアを設定できる」
これまでも、掃除したくない場所を「進入禁止エリア」として設定することができた。今回はその逆、重点的に掃除させたい場所も「部分清掃エリア」として設定できるようになった。物体認識により提案された場所はもちろん、玄関や子どもの遊ぶ場所など、汚れやすい場所を指定しておくと、すぐにそこだけ掃除させられて便利だ。
▼製品担当者からひと言
掃除したい場所としたくない場所がアプリの同じ画面から管理できるようになりました。
進化③「お気に入り登録でよく行う掃除をワンタップでスタート!」
複数の部屋や部分清掃エリアを組み合わせて「お気に入り」に保存して、アプリからワンタップ、もしくはスマートスピーカーに話しかけることで、掃除させることができるようになった。その際、掃除するエリアの順番も指定が可能だ。もちろん、ルンバとブラーバの自動連携にも対応している。
▼製品担当者からひと言
以前はスケジュールでしか設定できなかった複数エリアの清掃が、いつでも簡単に開始できるようになりました。
進化④「家を離れたら自動的に掃除がスタート」
曜日や時間を設定してロボットを動かすスケジュール機能に、スマートフォンの位置情報やIoT家電と連携させる「スマートアクション」が加わった。たとえば、ユーザーが家を出ると自動的に清掃を始めさせることができる。あらかじめ時間を決める必要がないので、外出時間が日々異なるライフスタイルでも便利に使える。
▼製品担当者からひと言
生活のパターンが異なっても便利に使える機能です。もちろん、ルンバとブラーバの自動連携にも対応しています。
進化⑤「さまざまなシーンでアプリがオススメを提案!」
ユーザーの使用履歴や季節に合わせて、「おすすめ」の掃除設定をアプリの通知エリアに表示するようになった。提案されたおすすめが良いと思えば、お気に入りやスケジュール、部分清掃エリアなどに登録。どの部屋をどの時間に掃除させるか頭を悩ませなくても、最適な方策をAIが考えてくれるようになった。
▼製品担当者からひと言
おすすめ機能は今後もさらに進化。それぞれのユーザーに合わせた提案を行うパートナー的な存在を目指しています。
<取材・文/小口 覺>