ドクターマーチン(Dr.Martens)といえば、誰もが思い浮かべる“8ホール”。ブラックのスムースレザーにゴツいソール。そして黄色いステッチにブランド名が入ったヒールループ。正式名称を「1460」といい、これは1960年4月1日にイギリスはノーサンプトンの工場で製造ラインが稼働した日にちなんだ名前です。
そう! なんと今から60年も前に誕生したブーツなんです。通称から今や正式な商品名としても使われるようになった“8ホール”は、シューレースホールが8つ付けられていることから呼ばれるようになったものです。
シンプルだけどタフ、そして快適な履き心地のワークブーツは、当初イギリスの労働者の間で広まっていきました。その後、1960年代後半には、若者たちがこぞって履くように。ロックバンド、ザ・フーのギタリスト、ピート・タウンゼントもそのひとりです。多くのミュージシャンや当時のイギリスを象徴するムーブメントだった“スキンヘッズ”たちに愛用され、サブカルチャーのアイコン的存在として一躍その名を轟かせました。
以来半世紀、8ホールは定番ファッションアイテムとして世界中の人々から愛され続けています。
そんなヒストリーをたどってしまうと、ドクターマーチンは伝統的なワークブーツを作り続けるブリティッシュブランドだと思ってしまいますよね。
それも間違いではありません。誰もが一度は憧れる、そしてシューズコレクションに常にラインナップしている人がたくさんいる8ホールこそドクターマーチンです。でも僕らの“マーチン”は、それだけじゃないんです。
■冬のフィールドで活躍するタフでオシャレな新モデル
URBAN PROTECTION(アーバンプロテクション)シリーズの新作となる「1460 COLLAR 8ホール ブーツ」(3万800円)は、まさに冬に履きたいマーチンです。
パッと見は8ホールに見えますが、あらゆる部分で冬の厳しい環境に合わせてアップデートされています。
ソールは高性能PVCとラバーのハイブリッド。滑り止めの機能と優れた耐摩耗性により、地面をしっかりグリップしてくれます。
さらに履き口には、見るからに暖かそうなフェイクシープスキンのようなフリースが付けられ、カラー(襟)ブーツ仕様に。
フリースは実はインナー全体にも! 足全体をフリースで包んでくれるからつま先から足首までしっかり温かい。これはうれしい!
レザーも撥水性のあるモノを使い、雨や雪だけでなく、寒い地方の冬の風物詩である滑り止めのためにまかれる砂や塩からも守ってくれます。しかも最初から自然な風合いのアンティーク加工が施されているので、新品のおろしたて感がなく、いつものファッションにもすんなり馴染んでくれます。
そして、もう気付いた人もいるかもしれませんが、いわゆる円形のシューレースホールではなく、Dリングと丸紐が使われているんです。トレッキングシューズで使われるこれらのディテールを使うことで、クラシックな革製登山靴のような雰囲気と実用性を持たせています。
もちろん、黄色いステッチ(ウェルトステッチ)や、共同設立者であるビル・グリッグスによる手書きの文字が刺繍されたヒールループなど、ドクターマーチンらしさは健在。
カラーはBLACKとCOCOAの2色展開。サイズは1cm刻みで22~30cmが用意されています。足元には厳しい冬でも、かっこいい靴を履いていたい。そんな希望を叶えてくれる一足です。
(文/河西まさあき)