ブレードまでフルブラックのマルチツールで野営感ある男前キャンプ!

自分の好きな道具に囲まれ、好きなことをして楽しむソロキャンプは最高の癒やしを与えてくれます。おしゃれな道具に囲まれるのも、便利アイテムを徹底的に活用するのも自由ですが、注目したいのは無骨な男前キャンプ。

魚を釣り、野営感のあるテントで眠る。道具は最小限に抑えて自分の生きるチカラを試すひとときは、日常生活とは真逆。不便だけれどそれでいて高揚する不思議な時間です。

さて、この無骨なソロキャンプを支えてくれるのが、アウトドアで力を発揮する“マルチツール”です。

▲「レンジャーグリップ 55 オニキス ブラック(上)」(1万7600円)と「シグネチャーライト オニキス ブラック(下)」(8800円)

「レンジャーグリップ 55 オニキス ブラック」は全長13cmの握りやすいハンドルにノコギリやリーマー、ブレードといったキャンプに必要な12の機能を詰め込んだマルチツールで、抜群の切れ味と操作性、優れた耐久性で2014年に登場して以降、キャンパーの評価が高いレンジャーグリップシリーズの最新作。

一方、「シグネチャーライト オニキス ブラック」はLEDライトとハサミ、ボールペンを装備した一品になっています。どちらもブレードまでブラックのモノクローム仕上げで、ふたつを揃えるとキャンプの“困った”を8割解決してくれるありがたいギアとなるはず。そんな目論見で、男前キャンプに出かけてみました。

■テント用のポールとペグを自作してみる

キャンプ場に到着したら、最初にサイト作りに取り掛かります。用意したのは、ソロキャンパーに人気の“パップテント”。今どきの快適便利な機能などなく、製品によってはポールが付属していないにも関わらず、ひたすら重い…。フロアレスなので虫だって入り放題とはいえ、それを根性とテクニックで乗り越える。これぞ男前キャンプ、設営だけでテンションが上がります。

まずは周辺の木を拾ってきて跳ね上げ用のポールとペグを仕立てます。「レンジャーグリップ 55オニキス ブラック」はハンドルが長く、しっかり力を込められるから硬めの木を加工しやすいことに驚き。枝分かれを利用しようか、それとも枝を取り払ってなめらかにしようか……そんな風に考えながら作業を進めます。

▲ノコギリもあるので、小さい薪なら焚き火台に合わせてカットしましょう

自作ポールとペグでテント設営完了。アルミポールも便利ですが、自然な木の曲がり具合を生かした佇まいに思わずうっとり…。お手軽に自作感が味わえてステキです。

素材が豊富なキャンプ場なら、ランタンハンガーやチェア、焚き火用風防などを作ってもよさそう。キャンプを楽しんでいると、そんな風に次回の課題が生まれるのも醍醐味ではあります。

■いざ夕食用の食材を確保に釣りへチャレンジ!

テント設営が一段落したら、持ってきた竿を片手に沢へ向かう準備を。釣れる前の瞬間が一番ドキドキするのは、いくつ歳を重ねても同じ。大物への期待感が高まります。夕食は自分の手で釣り上げた魚をメイン料理にする予定なので、必ず釣らなければなりません(笑)

正直、釣りはキャンプ以上に未熟でライントラブルが多いのが悩みのタネ。結びコブができるのはしょっちゅうで、そんなときは「シグネチャーライト オニキス ブラック」で素早く解決できました。

仕掛けをこまめに変えるようなときには、小型のハサミでスパッと切断。もちろんサビにくいので水辺でも安心して使えるし、思わぬ大物が釣れたら、その場でおおよその大きさを図ってメモしておくのも、ペン付きなのでお手の物。

ファイトの結果、元気なニジマスやヤマメが釣れたので、持ってきた水槽でしばし鑑賞タイム。暗くなってもライトを使えばよく見えます。ヘッドライトを忘れた場合など、手元を明るく照らせる機能も備えているのは、本当に便利ですね。

■魚を捌いたりワインのコルク栓を抜いたりと大活躍

釣りを楽しむこと2時間、ビギナーズラックなのか、夕食には十分な量の魚が釣れました! 釣った魚はなるべく早く締めて鮮度をキープ。「レンジャーグリップ 55 オニキス ブラック」のラージブレードは刃長が10cmほどあるので、手を添えてトントン……というわけにはいきませんが、魚も肉も切りやすくて調理にもいい感じ。クレソンなどの野草が手に入ったら、細かく刻んでお腹に詰めてもいいかも。

魚に串を刺し、じっくり焚き火であぶれば皮がぱりっと焼き上がります。焚き火の香りをまとった魚はこの上ないうまさ。なによりも自給自足な雰囲気を味わえるからたまりません。

そして「レンジャーグリップ 55 オニキス ブラック」には缶切りもあるので、持ってきた缶詰を焚き火で温めておつまみに。缶を直火にかけると有害ともいわれるため、あくまで温める程度。焼くだけ、温めるだけという夕食は、決して“料理した”と胸を張って言えない稚拙なものですが、都会では味わえないとっておきの味で大満足!

ここまでツマミがおいしいと…お酒も飲みたくなりますよね。

焚き火の前でお気に入りのビールとワインを開けるのは食後の一大イベントですが、栓抜きとコルク栓抜きを用意した記憶がない!ってこと、よくありませんか。スプーンを使って栓をこじ開けようか、ワインの底をやさしくたたいて無理やり栓を抜こうか……そう考えたところでひらめいたのがマルチツール。

無理に栓をあけると炭酸が抜けたりワインの澱が舞い上がったりしてせっかくのうまい酒が台無しになるところでしたが、意識しなくてもマルチツールとともに栓抜きとコルク栓抜きを持ち運べていて、上質なお酒を最高の状態で楽しめました。

そんなうまい魚とお酒に舌鼓を打ち、静かな夜を過ごそうと思っていたらテーブルが緩んでいることに気が付きました。そのままま使っていると少し力を加えたときに崩壊する危険大。定期的に増し締めすればいいのですが、そうもいかずキャンプ場で使っていて不具合に気づくのが常です。

しかし、「レンジャーグリップ 55 オニキス ブラック」のドライバーは小さくてもしっかり力を入れられるし、リーマー付きだから革製品の補修も思いのまま。キャンプの夜は長いので、気づいたらその場でちゃちゃっと調整しましょう。

*  *  *

“ポケットに入る工具箱”と言われているビクトリノックスのマルチツールは、釣った魚を食べる男前なソロキャンプに最高のパフォーマンスを発揮してくれました。スタンダードなステンレスブレードもいいけれど、ブラック モノクローム仕上げだと狩猟にも使えそう。

また、このオニキスブラックコレクションは、世界的に著名な「レッド・ドット・デザイン賞」のプロダクトデザイン部門を2021年に受賞するなど、所有する満足感もばっちり。とことん使い倒したくなる道具です。

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<文/大森弘恵 写真/下城英悟>

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