世界の自転車市場において無視できない存在である台湾。数多くの世界的ブランドを抱え、最新技術を用いた自転車を世界に送り続けて、確固たるポジションを築いています。
また近年、自転車と並んで台湾のモビリティ分野を象徴するのが電動スクーターです。世界的にモビリティの電動化が推し進められる中、いち早く電動スクーターが普及した地域でもあります。
そんな、自転車と電動スクーターの先進地域である台湾の最新プロダクトがわかるのが「台湾エクセレンス」。イノベーティブで優れたデザインを持つ台湾プロダクトに贈られる賞で、1993年の設立以来、数多く注目製品が受賞しています。
デジタルをはじめ、あらゆる分野のプロダクトが受賞する中、自転車や電動スクーターももちろんラインナップ。乗り物好き、新しモノ好きはもちろん、自転車や電動スクーターの未来を知るためにも要チェックです。
そんな「台湾エクセレンス」の最新受賞製品から3つのプロダクトを紹介しましょう。
▼世界でも知られる台湾プロダクトの代表格“自転車”
車体だけでなく、自転車パーツでも世界的メーカーを数多く抱える台湾。自社ブランドだけでなく欧米主要メーカーのOEMも行われているなど、特にロードバイクやマウンテンバイクなど高級自転車分野では世界の中心といえる地です。その研究開発力は屈指のものがあります。
■世界のエリートライダーたちも認めるロードバイク
MERIDA「REACTO」
1972年創業の台湾を代表する自転車ブランド、メリダ。1988年からは自社の名を冠したMERIDAブランドの自転車の製造を開始し、いまやグローバルブランドとして知られています。
そんなメリダが誇るロードバイクの最新モデルが、2021年の台湾エクセレンスを受賞した「REACTO(リアクト)」です。このモデルは、ツール・ド・フランスをはじめ世界のロードバイクレースを転戦するUCIプロチームのひとつ「バーレーン・ヴィクトリアス」にも供給されていて、世界最高峰の走りをサポートしています。
最大の特徴は、その優れた空力特性にあります。ドイツ・シュツットガルト郊外にある開発センターで設計され、台湾・台中にあるメリダ本社のテストセンターにて厳しくチェックされたフレームは、ドイツのエンジニアリングと台湾のクラフトマンシップが融合した、世界最先端の空力性能を持っています。
ハンドルまわりのケーブルはすべて内装化し空気抵抗を低減しているだけでなく、カーボン素材を使うことによる軽量化、さらに快適さも追求するなど、世界トップクラスのエリートライダーたちが求める速さを高次元で実現しています。
世界中のロードバイク乗りが憧れる、強く速く美しい最高峰モデルも台湾から生み出されているのです。
■インテリアを妨げないサイクルハンガー
「S37 FECA BICYCLE HOLDER」
最先端ロードバイクだけが、台湾の自転車産業を表しているわけではありません。世界をリードするロードバイク以外に、自転車関連製品も台湾エクセレンスを受賞しています。このサイクルハンガーもそのひとつです。
シンプルながらも耐荷重はなんと20kg! 壁にネジや釘で穴をあける必要なく、強力な吸盤で固定します。
都市部はマンションなどの共同住宅が多いという、日本と住環境が似ている台湾らしい製品で、大事な愛車を自宅内などに保管し、かつ賃貸住宅でも使える利便性、さらに自転車を立て掛けていない時も悪目立ちしないデザイン性の高さが魅力です。
軽量なロードバイクだけでなく、そこそこ重さのある自転車でも後輪を床につけたまま前輪を引っ掛ければ縦置きが可能に。これだけでもかなりの省スペースになります。シンプルで機能的なところが、まさに台湾エクセレンス受賞製品ですね。
▼電動スクーター先進地域
そして現在の台湾で最も注目すべき乗り物系プロダクトが、電動スクーターです。決して広くはない土地に多くの人が暮らしている台湾では、以前よりスクーターが多くの人のアシとして普及していました。メーカーも数多く存在し、開発から製造までが台湾内で行われています。そんなスクーターの新潮流が電動化。もちろん台湾エクセレンスにも、電動スクーターがラインナップしています。
■レトロなのに最新!
PGO「UR1」
パッと見はクラシックな雰囲気のこのスクーター。近年、日本でも人気のレトロ感がポイントかと思いきや、見るべきところはそこだけではありません。実はバッテリー交換式の電動スクーターなんです。
バッテリーは“Gogoro Network”というシステムに対応しています。これは電池交換式の電動スクーターシステムで、GoStationと呼ばれる電池交換ステーションは台湾全土に約2000カ所も設置されているので、利便性は抜群。バッテリーが切れそうになっても取り替えればすぐにまた走り出せるという方式は、現在、電気自動車で懸案となっている充電時間の問題を解決するかもしれない世界でも注目のシステムです。ちなみにバッテリー1本で最大約170km走行可能です。
もちろん車体も、クラシックテイストながら電動らしく中身は最先端。EQスマートマルチインストゥルメントパネルと呼ばれるメーター部は、速度やバッテリー残量だけでなく、速度制限リマインダーや低速警告音など、さまざまな機能が集約されています。
また足回りは、前後にデュアルディスクブレーキを採用するなど、スクーターとは思えぬ豪華なつくりも魅力です。
残念ながら日本には“Gogoro Network”がないため体験することはできませんが、地球環境保護の視点から電動化が世界中で推し進められているモビリティ分野で、台湾のスマートスクーターは最先端を走っていると言えます。そういう意味でも「UR1」が台湾エクセレンスを受賞していることも納得ですね。
>> PGO
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長い年月をかけて代表的産業に発展した自転車と、土地に余裕がなく駐車スペースを確保できないことから普及が進んだスクーター。どちらも、世界的に見て最先端といえるプロダクトを生み出す台湾の底力は、注目すべきものがあります。どちらの分野でも数多くの世界的メーカーが存在していますが、中でもチェックしておくべきモデルを知りたいなら、機能もデザインにも優れた台湾エクセレンス受賞製品を見ればOK。そして、手軽に海外渡航できるようになり台湾を訪れた際は、グルメだけじゃなく、ぜひ街を走るスクーターや自転車にも目を向けてみてください。きっとすぐに「おっ!」と思えるものが見つかりますよ。
>> 台湾エクセレンス
<文/円道秀和(&GP)>