ここ数年、注目を集めるようになったポータブル電源。コンパクトサイズから超大容量タイプまで、さまざまな種類が発売されています。災害時や停電時に備えたり、キャンプでの電源確保など目的はさまざまですが、スマホをはじめとしたデジタルツールをどんな時にも使える安心感は計り知れません。
先日、思い切って大容量ポータブル電源を購入した男性が選んだのは、最近注目度急上昇のブランド、BLUETTIの「AC300+B300」。今年2021年のグッドデザイン賞も受賞しただけあり、シンプルでスタイリッシュ! ちなみに「AC300」はコンセントやUSB Type-Cなど各種端子が数多く付いている制御部分で、3072Whという大容量バッテリー内蔵の「B300」とセットで使います。コンセント(AC)の出力も最大3000Wと高出力。ちなみに「B300」は「AC300」1台につき最大4台まで追加が可能で、4台つなげたら合計容量はなんと1万2000Wh超!
と数字を並べられても、なんだかスゴそう…ということしかわからないですよね。
普段は自宅リビングに置いて、常に使えるようにしているそうなのですが、実は先日「AC300+B300」を持ってちょっとした旅に出たそうです。そしてその旅で、ポータブル電源をフル活用したとか。彼の車中泊旅を見てみると、大容量高出力が持つ意味が見えてきますよ。
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■まず向かったのは茨城県!
購入したばかりのポータブル電源「BLUETTI AC300+B300」。たしかにちょっと高かったし大きいけど、以前からポータブル電源は必要だなと思っていて、買うなら思い切って大容量にしようと考えていたから問題なし! それに“大は小を兼ねる”って言うしね。
普段はリビングに置いてあって、天面のワイヤレス充電だったり、コンセント代わりに使ったりしているけど、この間ふと思ったんですよ。「これって炊飯器とか車載冷温庫とかも使えるよね」って。だったらこの「BLUETTI AC300+B300」を持って、炊きたてご飯で各地の“メシの友”を味わえるんじゃないか。ついでにやってみたかった車中泊をしてみたり。
すでに食べたいモノは決まってる(笑)。じゃあ行くしかないでしょ!
休日の朝、ポータブル電源や各種家電をクルマに積み込み、まず向かったのは茨城県下妻市の「道の駅しもつま」。
ここではなんと、オリジナルの納豆を作っているらしい。朝は必ず納豆だから、これは外せない。
売り場にはたくさんの納豆が! さすが本場。わら納豆にも惹かれるけど、今日は前から決めていた「福よ来い 塩切り納豆」に決定!
小粒の納豆で、すでに味が付いているっぽい。さっそくご飯を炊いてちょっと遅めの朝食としちゃいます。
「BLUETTI AC300+B300」に炊飯器をつないで、米と水を入れてスイッチオン! 早く食べたいから急速炊飯で。
炊飯器は消費電力が670W。そして「BLUETTI AC300+B300」の定格出力は3100Wだから余裕なんだけど、実は本当に使えるかちょっと不安だったんです。だから動いてくれてひと安心。ちなみに消費電力55W(AC)の冷温庫を出発時からつなげてあったんだけど問題なかったみたい。さすがハイスペックなだけはある。
ごはんを炊いている間に納豆を用意して…ピロリロリ~♪
よしご飯が炊けた。具合はバッチリ!
ご飯をよそって、納豆のせて、いただきます!
うまい! 醤油とか一切入れてないんだけど、塩っけがちょうどイイ! あーこの納豆おいしいわー。冷温庫もあるから、お土産にいくつか買っていこう。
いやはや、炊きたてご飯に納豆って最強だよね。そしてクルマで炊きたてご飯を食べられるって幸せ。あらためて大容量大出力ポータブル電源のすごさを思い知った気がする。
よし次の目的地は北だ!
■店ではできない食べ方を堪能!
下妻市から北上すること1時間とちょっと。次に向かったのは栃木県宇都宮市。宇都宮といえば、そう餃子!
宇都宮餃子は過去に何度も食べたことがあるんだけど、中でも一番のお気に入りが「正嗣(まさし)」。何軒か食べたけど、ここが一番好きで、宇都宮に行くたびに寄ってます。でも、ちょっと残念なことが。それが、メニューにご飯もビールもないストイックなお店だということ。行くたびに、ご飯やビールと一緒に楽しめたらいいと思ってました。
そして、その願いが今回叶うわけです。これはもうワクワクが止まりません。
宇都宮の中心街から少し離れた郊外のお店に到着すると、駐車場はクルマでいっぱい。
コロナの影響か、こちらのお店では現在は持ち帰りの冷凍餃子の販売のみらしいですが、まったく問題なし! 思わず3箱買っちゃいました。
そしてお店から20分ほどクルマを走らせ河川敷へ。あぁ早く餃子食べたい!
目的地に到着したら餃子定食の準備開始。まずは差し湯用のお湯を沸かします。自宅でも毎日使っている電気ケトルは消費電力1200W。余裕ですね。
そして餃子を焼くのは電気グリル鍋。
こちらは消費電力650W。同時にご飯も炊いているので、炊飯器の670Wと合わせて計1320W。先にお湯を沸かしたけど、電気ケトルを同時に使っても大丈夫ってことになります。すごいなホント。
炊飯器の残り時間が残り10分となったところで、いよいよ餃子を焼きますよ。油をひいてキレイに並べたら、お湯を入れてフタをして、火力は強で一気に焼き上げる! 焼けてる間に付属のタレをお皿に入れて…。
あ、いいにおいがしてきた!
そろそろかな…
おぉぉぉ焼けてるじゃないですか! フタを開けて少し水分を飛ばしている間にご飯をよそって準備完了。
焼き具合、最高。たまらん。
タレをつけて、ご飯にワンバンさせて…
うまい! そしてやっぱりご飯と合う! あ~夢にまで見た、ご飯と一緒に食べる正嗣の餃子。薄めの皮はパリッとしていて、生姜がしっかり効いた餡はご飯にぴったり。予想通り、いや予想以上に最高すぎる。こいつはたまらん。今日はこのあとも運転があるからビールはなしだけど、これ絶対ビールにも合うわ。3箱全部食べちゃったけど、夜の晩酌用に1箱残しておけばよかったかも…。
おいしいご飯で満腹になったところで、そろそろ本日の宿泊地へと向かいます。
宇都宮郊外から下道で群馬方面に向かい、途中のスーパー銭湯でひとっ風呂。さっぱりしたら、あとは寝るだけ。
この日の宿泊は道の駅にあるRVパークです。
マットと電気毛布を敷いて、スーパー銭湯で乾かしきれなかった髪の毛をドライヤーで乾かします。いや使えるとは思ってなかったんですよ。だってドライヤーってめちゃめちゃ電気使うイメージじゃないですか。家のブレーカーが落ちるのってドライヤーを使っている時だったりするし。でも最近髪を伸ばしていて、しっかり乾かしたかったから念のため持ってきたんです。そしたら使えた! どんだけだよ、ホント(笑)。たしかに大きくて重いけど「BLUETTI AC300+B300」にしておいてよかった。
実は今回の小旅行は、「BLUETTI AC300+B300」で何がどれだけ使えるかのテストという意味もあったんです。だからいろいろな家電を持ってきたんだけど、これでよーくわかりました。家電はほとんど使えます。これがわかっただけでも十分意味がある旅行になってる。いやもちろん、おいしいものを食べるのも目的ですけどね(笑)。
あとは電気毛布でぬくぬくしながら寝るだけ。寝る前にちょっとだけYouTube見て、おやすみなさい。
■北関東最後となる群馬県のおいしいもの!
初日の曇り空とはうってかわって、2日目は気持ちのいい晴れ! 朝のコーヒーがおいしい! なんだかおいしいばっかり言ってるな(笑)。
さすがに昨日1日フル稼働させたから、バッテリーの残量が少々心もとなくなってきたので、今日は移動中にクルマから充電することに。
「BLUETTI AC300+B300」は、コンセントからはもちろんですが、別売りのソーラーパネルや、クルマのシガーソケットからも充電ができます。ソーラー充電というと、どれだけの充電ができるのかと不安になるかもしれないですが、最新のソーラーパネル「PV200」や「PV350」を複数つなげたらかなりのスピードで充電できるらしい。いざというとき残量を気にせず使えるってことですよね。災害時には必要かも。ちょっと購入を検討しようかな。
それにしてもいい天気! 遠くの山もはっきり見えます。
そして本日のお目当ては…モツ煮! なにやら群馬のモツ煮は有名らしく、渋川の方に永井食堂という人気店があるとか。でも今日は、世界遺産・富岡製糸場の近くにある同店の売店で買うことに。
街なかにある小さな売店で無事モツ煮をゲット! お店の人に聞いたら、事前に仕入れた情報どおりモツと群馬名物のこんにゃくしか入っていないそう。だから、もうひとつの群馬名物、下仁田ネギを入れて食べようと思ったんですよね。渋川じゃなくて下仁田に近い富岡で買ったのはそれが理由。
モツ煮も買って、クルマで10分ほどのところにある「道の駅しもにた」に移動して、よし下仁田ネギ買うぞ、と思ったら…。
なんと! 下仁田ネギの販売は11月から…(今回の旅行は10月下旬)。うーん無念…。
でも下仁田ネギで作った「ねぎ味噌」が売っていたので、そちらを購入し、またしても近所の河川敷へ。
昨日と同様に、炊飯器でご飯を炊きつつ、グリル鍋でモツ煮を温めます。
車内にいい香りが漂ってきたらちょうどご飯が炊けた! よし、いただきまーす!
おぉ、臭みがまったくなくてやわらかい! ちょっと濃いめの味噌がご飯に合う。これ、ご飯にぶっかけてモツ煮丼にしてもいいかも。
ねぎ味噌もおいしい! そしてなんやかんやいっても、やっぱり炊きたてのご飯というのがいいんですよね。
温かいおかずと炊きたてご飯をクルマの中で味わえる。コロナ禍だから外食はちょっとと思っている人はもちろんですが、車中泊旅行でもおいしくて温かい食事が楽しめる。そして災害時にも「BLUETTI AC300+B300」は確実に活躍できることがよくわかりました。それが今回最大の収穫。もちろん冬キャンプにもいいと思いますよ。
よし、片付けも終わったことだし、おうちに向かいますか。いやーそれにしてもおいしかったなぁ。車中泊メシの友探し旅、楽しいかも。ポータブル電源のテストの意味だったんだけど、またやりたくなってきた。次はどこに行こうかな。
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大容量ポータブル電源は「これが使えます」「あれが使えます」「これだけ出力や容量があります」と説明されていることが多いものですが、あまりピンと来ないのも事実。でもこの車中泊旅の様子を見てみると、大容量そして大出力だからこそほとんどの家電を問題なく使えることがわかります。重くて大きいのはたしか。ですが、だからこその使いみちがあるということは、本当に必要となる災害時だけでなく、車中泊やキャンプなどさまざまなシーンで活躍してくれることがわかります。まだの人も、そろそろ備えてみてはいかがでしょうか。
<文/円道秀和(&GP) 写真/田口陽介 モデル/宇田川雄一>