提供:高儀
使ったことのない人にとって、電動工具は手動工具よりも扱いが難しそうに感じられますが、それは大間違い!
例えば手動工具の代表・ドライバーでネジを締める時は力が必要だし、ノコギリで木材をまっすぐ切るのはとても難しい。実は手動工具の方が高い技術を求められるのです。
その点、電動工具なら初心者でも力要らずで素早く正確に材料を切れるし、接合も容易で効率的。作品の完成度もグッと高くなり、“ものを作る”という作業自体が楽しくなります。
しかもDIYだけじゃなく、生活のさまざまなシーンで重宝。そこで「使う」「組み立てる」「作る」の3ステップで電動工具の使い勝手を紹介します!
■電動工具があれば自宅作業は楽になる
DIYをしなければ必要ないと思われがちな電動工具ですが、実は日常生活でも役立つ場面がたくさんあります。
組み立て家具のネジ締めやちょっとした穴開けはインパクトドライバーやドリルドライバーがあると楽だし、ブロワがあれば庭やテラスに積もった落ち葉やほこりもサッとひと吹き。サンダーは木材の研磨だけじゃなく、塗装はがしや金属のさび取りにも使えるのです。
もちろんDIYでも本来技術を要する加工や労力を伴う作業を、簡単かつ効率的にこなしてくれます。
できることは自分でやる、必要なものを自分で作る。そんな手作りの暮らしをサポートしてくれるのが電動工具なのです。
【ステップ1】普段の暮らしの中で電動工具を使ってみる
フックの取り付けや家具の組み立てなど、普段の暮らしで最も幅広く使えるのが、ネジ締めや穴開けに使うドリルドライバーです。
ドリルドライバーは、トルク(ネジ締めの強度)を調整できるのが特徴。組み立て家具などは、慣れていないと強くネジを締めすぎてネジ山や下穴を潰してしまうことがありますが、ドリルドライバーを使えばその心配はありません。
ホームセンターに行くとさまざまなフックが並んでいます。壁に直接取り付けて使いますが、ドライバーでいきなりネジを締めようと思っても、壁は意外と硬くて手作業だと入らないこともあります。
ドリルドライバーを使えば力を入れずにネジを締められるし、壁が硬くてネジが入り難い場所は、事前にドリルドライバーで下穴を開けてからネジを締めればスムーズです。
物陰や薄暗い場所、夕方の作業でも、トリガーを握ると自動的にLEDライトが点灯してビットの先を明るく照らすので正確にネジ締めができます。
トルクの調整はヘッドのダイヤルを回して行います。三角の印に合わせた数字がそのときのトルクで、数字が大きくなるほど締め付ける力が強くなります。小さなネジを締める場合は1~3くらい、組み立て家具なら3~5くらいで締め付けはじめ、力が弱ければ少しずつダイヤルの数字を大きくしていきます。
ビットを交換すれば、小さいネジや届き難い場所での作業にも対応できます。ネジの溝は大きく分けて3つのサイズがあるので適したビットを選択。ドリルを付ければ木材や金属、プラスチックの穴開けも可能です!
ネジを締めるビットは短いほうが力を入れやすく安定しますが、狭い場所の作業では長いビットを装着します。ビットは3~4種類の長さをそろえておくとよいでしょう。
■ネジ締めに穴開けに1台あると便利な「ドリルドライバー」
EARTH MAN「S-Link 14.4V充電式2スピードドリルドライバー」
1万780円(充電器とバッテリーパック1個付き)
18段階にクラッチ調整が可能。設定以上の力が加わるとクラッチが働き、それ以上の力がかからないので、ネジを締めすぎる心配がありません。用途に合わせて回転スピードは2段階に変更可能。ドリルによる穴開けや細いネジの締め付けなど、繊細な作業にも向いています。
【ステップ2】簡単なものを組み立ててみる
日常生活で電動工具が活躍するのがわかったら、次は市販のパーツやアジャスターを使ってちょっとした組み立てに挑戦してみましょう。
市販のパーツを使えば、特別な技術がなくても棚やハンガー、テーブルなどを簡単に作れます。DIYはしたことがないけれど、ちょっとした棚を壁に付けたい、自分で何か作ってみたいという人にもぴったり。きっと手作りの面白さに気づくはずです。
今回は日常生活でも取り入れやすいソーホースを作ってみます。いわゆる作業台ですが、テーブルやハンガーラック、スタンド、駐車禁止のバリケードなどアイデア次第で多彩に使えるアイテムです。
組み立ては簡単。ソーホースブラケットというパーツにビスで2×4材を固定するだけ。2×4材はホームセンターのカットサービスを利用すれば、自分で切る手間もありません。
20分ほどの作業で2脚のソーホースが完成。脚の長さは使い方に合わせて決めるといいでしょう。2脚並べて板を載せればテーブルや棚になります。色を塗ったり、ステンシルで文字を描けば、実用的でおしゃれなアイテムに変身しますよ。
■力強くネジを締め付ける「インパクトドライバー」
EARTH MAN「S-Link 14.4V充電式インパクトドライバー」
1万1880円(充電器とバッテリーパック1個付き)
負荷がかかると打撃を加えながらネジやボルトを力強く締め付けます。ドリルドライバーのようにトルクの調整ができないため繊細な作業には向きませんが、パワーがあるので厚くて硬い材料や長いビスを使うときは必須。本格的なDIYで活躍します。
【ステップ3】自分で使うものを作ってみる
材料を組み立てて、モノを作る楽しさを覚えたら、最後は簡単な設計図を描いて、材料を必要な寸法に切るところからやってみましょう。アレンジ自在で、思い通りに作れるので、自分に必要なモノが作れますよ。
今回はミニテーブルを製作。使用する電動工具は、丸ノコとインパクトドライバー。ノコギリやドライバー、金槌などの手動道具に比べて、ずっと素早く、精度の高い作業ができます。
SPF材はホームセンターで最も一般的な規格化された木材です。1×4材は600mm×4本(天板)、520mm×2本(前・後板)、320mm×2本(側板)にカット。2×2材は300mm×4本(脚)、206mm×2本(横木)にカットします。
まずは丸ノコを使って、木材を切断。丸ノコは使うのを躊躇する人も多い電動工具ですが、使い方さえ覚えれば手放せなく道具の筆頭です。
切断前にノコ刃の深さを調整。刃が深すぎると抵抗が大きくなり、余計な負荷がかかってしまうためです。カットする材料の厚さより2〜3㎜深くしておきましょう。
切る際は木材を台の外側に出し、ベースプレートのガイドをカットする線に合わせて切り進めれば、まっすぐに材料を切れます。木材を切断する台には、組み立てたソーホースが活躍。
必要な材料をすべて切り出したら、次はインパクトドライバーを使って、それらをビスで固定していきます。まず1×4材の前板と側板で四角い枠を作り、それに2×2材で組んだ脚を固定。最後に天板を並べてビス止めします。
ビスは打つ位置に印をつけ、曲がらないように真上からまっすぐ締めます。ビスの頭を少しめり込ませると、材料同士がすき間なくがっちり接合します。
完成したミニテーブル。プランターを載せたり、踏み台にしたり、テーブル以外にもいろいろな用途に使えます。好みで色を塗るのもいいでしょう。
■材料を素早く真っ直ぐ切断できる「丸ノコ」
EARTH MAN「S-Link 14.4V充電式丸のこ」
6028円(バッテリーパック・充電器別売)
回転するノコ刃で材料をまっすぐ正確に切断。最大切り込み深さは39㎜。DIYで最もメジャーな2×4材をカットするにも最適です。軽量、コンパクト設計で取り回ししやすいので作業時の疲労も軽減。ロックボタンを押さないと刃が回転しない仕組みで安全性も高めています。インパクトドライバーやドリルドライバーと共通のバッテリーを使えるので、ステップアップをする際は本体のみを入手すればOKです。
■プラスαであると便利な電動工具
これまでに紹介したドリルドライバー、インパクトドライバー、丸ノコに加えてあると便利なのが、サンダーとブロワです。
サンダーは底部のラバーパッドに取り付けたサンドペーパーを小刻みに高速振動させて、木材などを研磨する道具。ざらざらして毛羽だった加工面や材木の角をなめらかに仕上げられ、作品の完成度がグッと高くなります。一度使うと手放せなくなる道具です。
■表面を滑らかに仕上げる「サンダー」
EARTH MAN「S-Link 14.4V充電式コーナーサンダー」
3828円(バッテリーパック・充電器別売)
底部のサンドペーパーは面ファスナー素材で簡単に交換が可能。先端が細くなっており、コーナー部分や狭いところのサイディングもしやすく工夫されています。吸じん機能+ダストバックで粉塵の飛散を抑え、クリーンな作業を実現します。3000円台の価格も魅力。こちらもバッテリーは共通なので、ちょっとの投資でできることがどんどん増えていきます。
一方、ブロワは木くずやほこりなどのゴミを強力な風で吹き飛ばす道具。木材などの加工に直接かかわるものではありませんが、DIYでも、普段の生活でも活躍の場面が多い道具です。
DIYの作業場ではすぐに木くずが積もります。これらを手やほうきでいちいち払っていたら大変。ブロワでひと吹きすればアッという間にきれいになります。
日常生活でも庭の落ち葉を集めたり、洗車後の水滴を吹き飛ばしたり、ほうきや掃除機が入りにくい部屋の隅や棚、AV機器などのホコリをきれいにしたりと何かと便利に使えます。キャンプの焚き火の火起こしにも重宝します。
■掃除にも活用の幅が広い「ブロワ」
EARTH MAN「S-Link 14.4V充電式ブロワ」
6028円(バッテリーパック・充電器別売)
トリガーを引くと送風口から強力な風が出ます。風量は手元のダイヤルで6段階に調整可能。ボディ側面の吸込口にノズルを装着し、送風口に付属のダストバッグを取り付ければ、掃除機のように集塵作業もできます。コードレスでコンパクトに持ち運べるので車内の掃除などにも便利です。DIYのサブ的アイテムですが、共通のバッテリーが使えるので、欲しいと思ったときは本体だけを手軽に入手できます。
(取材・文/和田義弥 写真/阪口克)