時を遡ること約5年前、クラウドファンディングにさっそうと現れた新進気鋭ブランド・KARL-LEIMON(カルレイモン)は、その産声を上げました。国産腕時計、そしてアイコンであるムーンフェイズ搭載へのこだわりと、時代のトレンドに左右されない「手の届きやすいクラシック時計」を掲げた戦略はファーストモデルで即ヒットを飛ばし、セカンド、サードとその快進撃は留まるところを知りません。
2022年初頭には「ラグジュアリースポーツ」モデルを開発3年越しに完成させ、こちらもクラウドファンディングで2000万円以上を集める好成績を残しました。こうして高級時計へ抱いた憧れの思いを自ら創生することで道を切り開いてきた同ブランドにおいて、ターニングポイントともいうべき新作が登場します。それが機械式コレクション「CLASSIC38」。正統派ドレスウォッチを目指し、カルレイモンの理念を結実させた一本の魅力に迫ります。
■月の満ち欠けを示す「ムーンフェイズ」はなぜ消えた?
今回、Makuakeにて支援を集める「CLASSIC38」だが、ダイヤルを見て違和感を覚えた方はよほどのファンかもしれません。いや、一本でも過去のモデルを所有しているなら一目瞭然でしょう。なんのことかといえば、ブランドが大事にしてきたアイコンでもある「ムーンフェイズ」が見当たらないのです。
新登場の4モデル全てにおいて、ダイヤルを構成するのは美しいバーインデックス、シンプルな3針、6時位置のデイト表示のみ。月の満ち欠けを示すムーンフェイズ機構はなく、ブランドロゴと機械式時計を示す「AUTOMATIC」のテキストが佇む…いや、その下に「HIGH BEAT」表記も同様に見えます。
そう、カルレイモン初の機械式なのです。これまでクォーツ式のみで展開してきたカルレイモンにとって、機械式時計が登場したのは大きな転換点。さらに、使用している「MIYOTA cal.9015」は振動数が2万8800回/時である日本製の機械式“ハイビート”式。高精度かつ薄型のムーブメントを採用しています。その意図はどこにあるのでしょうか。
「現代風にいえばサステナブルですが、カルレイモンは“手に取りやすいクラシック”をテーマに掲げており、いつの時代も変わらないフォーマルな時計を追求しています。今回、洗練されたデザインの3針ウォッチをリーズナブルな価格に押さえつつ機械式時計で実現できたのは、大きなチャレンジでした。
今回はムーンフェイズをなしにしてでも初となる機械式時計を完成させたかった。磨き、バランス、ダイヤルカラー、高精度なムーブメント。そうして満足いくモデルに仕上がったのが『CLASSIC38』です」(カルレイモン)
■試行錯誤を繰り返したダイヤルカラーへのこだわり
なるほど、あくまでブランドの掲げる「クラシックへの回帰」を大切にした結果が今回のデザインや機械式時計の採用に結びついたようです。ではバリエーションやスペックはどうでしょう。ケース径は38mm、厚さは8.8mm、3気圧防水、反射防止サファイアガラスで大きすぎず小さすぎず、日本人にぴったりなサイズ感。スーツでの着用に最適といえます。
またSSケースは「ノーマルなホワイトダイヤル」「ホワイトダイヤル+青針」「桜ホワイトダイヤル」の3種類あり。残るひとつは「ゴールドIPケース」モデルで、どれも高級感にあふれています。
特に今回、注目したいのが「桜ホワイトダイヤル」。ほのかに見せるピンクの色合いは上品かつ他のモデルにはない表情を見せています。それもそのはず、10回以上もサンプルを取り寄せて納得いくまで選び抜いたとのこと。こちらは限定モデルになっており、間違いなく人気を博するでしょう。
ホワイトダイヤルのコントラストが美しい、青針(ブルースティール)モデルも限定。もちろん、「桜ホワイトダイヤル」以外の色合いもこだわり抜き、光によって繊細な見え方の違いが楽しめるようになっています。
いずれのモデルもクロコ調のレザーバンドとシンプルなラウンドフォルムがバランスよく調和し、フォーマルなスタイルを確立。光を受けてキラキラと輝くバーインデックスと3針は所有感を満たしてくれます。
■リーズナブルな価格でクラウドファンディングへ再び挑戦
小ぶりで目立たず、しかしエレガントな空気をまとうドレスウォッチ。ブランドを設立したふたりの青年が自らの手で追い求める理想の時計として「CLASSIC38」は、ブランドを再定義する位置付けのモデルになるでしょう。
それは移り変わりの早い現代において、時と場所を選ばず常に知性を与えてくれる有能なコンシェルジュのような存在かもしれません。
Makuakeプロジェクトは6月16日(木)の14時からスタート予定。新たなスタートを切るカルレイモン初の機械式時計とともに、たしかな時を刻んでみてはいかがでしょうか。
<取材・文/三宅 隆>