担当者に聞いた!車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」の提供価値はどこにある?

パイオニア カロッツェリアの車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100Dは、車内をWi-Fi環境にするためのアイテム。

日々の移動や行楽時の渋滞で重宝する、カー用品の名脇役だが、どのような開発背景があり、市場の反応はどうなのか? 発売から間もなく2年を迎えるにあたり、改めて車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」について、パイオニア販売 マーケティング部の蒲牟田さんに話を聞いた!

パイオニア販売 マーケティング部 戦略企画課 蒲牟田洋明さん|2007年8月入社。関東や九州を始め全国各地の営業所で営業経験を積み、2019年にマーケティング部に異動。現在はサイバーナビ、車載用Wi-Fiルーター、スピーカーという基幹商品のマーケティング担当として活躍している。
 
 

■車載用Wi-Fiルーターを開発した経緯とは?

車載用Wi-Fiルーター開発の原点は、カロッツェリアのナビゲーションシステム「サイバーナビ」にあります。

今や日常ではネットとつながることが当たり前。自宅や会社でのWi-Fiによって生活が便利で快適になっていくという中で、車内はオンライン環境が構築されず、生活とは真逆のような状況。

そもそも弊社のカーナビは、以前から通信を使って渋滞情報など有益な情報を得ていたのですが、一般的なオンラインとは程遠く、それだけにとどまっていてはその先はないと考えていたのが、ひとつのスタートラインです。

一方、自動車にはコネクティッドサービスがあるにはあったのですが、安心とか安全といったサービスが中心で、楽しむためのコネクティッドサービスではなかったわけです。

ごく一部のクルマではWi-Fi環境が作れるというサービスが始まっていたのですが、その環境を手に入れるためにはクルマそのものを購入しないといけないという、かなりハードルが高いものでした。

▲最初にWi-Fi機能が搭載された「サイバーナビ AVIC-CQ910-DC」(左)。筐体から伸びるネットワークスティックと呼ばれるものが通信端末となっている。右は、現在発売されている車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」(右)

そんな状況の中、カロッツェリアとして何ができるのかを考え発売したのが「サイバーナビ」の2019年モデルです。これはドコモ様の車内向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」に市販カーナビとして初めて対応できたことでオンライン化への道が開けました。

通信し放題のWi-Fiスポット機能を搭載し、ナビ自体でYoutubeを見られたり、家のレコーダーと繋げて録画番組を見たりすることができました。このWi-Fi機能がかなり評判が良かったのですが、市販カーナビは車種によって取付けができないという制約があります。

またクルマを買うよりは少しハードルが下がったという面はありますが、それでも安価とは言い難いため、ニーズの高かった車載用Wi-Fiを独立させたのです。

これによって装着のしやすさと価格面のハードルを解決することができました!

■車載用Wi-Fiルーターのメリットは?

▲「docomo in Car Connect」に対応させる為に独自の車載証明システムを内蔵。この筐体だけで車載状態を判別できるのは、長年カーナビを作ってきたパイオニアだからこそ

最大のメリットは、“車載用Wi-Fi”そのままなんですが、車内のWi-Fi環境を“手軽に”、“幅広い車種で” 構築できることです。しかも通信料は無制限です。

今までクルマの中ではCDやDVD、ラジオなど、あらかじめ中に入ってるメディアしか楽しめませんでした。ところがカロッツェリアの車載用Wi-Fiを使えば、この垣根を超えて楽しみが無限に広がります。

例えばPrime Videoであれば、DVDを持っていなくても同乗者の好みや気分に合わせた映画を観られるし、Youtubeであれば車内の中で、全世界の動画の視聴が可能。自宅と同じエンターテインメントが、車内でも快適に楽しめるというわけです。

これを「365日プラン」なら、使い放題で税込1万3200円の通信費で済みます。月換算すると約1000円で利用できるのもメリット。かなりお得なプランだと自負しております。

「モバイルルーターと何が違うの?」という声もありますが、やはり一番はこの利用料金にあります。

もうひとつ、この「DCT-WR100D」にはSIMカードが最初から入っているので、煩わしい契約が要りません。プラン(料金プランは365日プラン/1万3200円、30日プラン/1650円、1日プラン/550円)をチャージするだけで、買って1時間もしないうちに利用開始ができるのも、大きなメリットではないでしょうか。

さらに接続方法の手軽さもメリットです。

家を想像してもらうと分かりやすいのですが、自宅に帰っていちいちWi-Fiに接続しませんよね。すでに設定されているから自然に繋がるのですが、モバイルルーターの場合は電源を入れて、またスマホでテザリングする場合は共有をオンにしてようやくつながります。


カロッツェリアの車載用Wi-Fiならこの煩わしさがなく、エンジンをかければ車内がWi-Fi環境になり、一度接続すればあとは自動で接続。

しかも最大で5台同時に接続可能で、同乗者がそれぞれデバイスをつなぐ場合によりメリットを感じていただけると思います。

■「DCT-WR100D」の特徴は?

▲2020年12月に発売された車載用Wi-Fiルーター。車内向けインターネット接続サービスである「docomo in Car Connect」に対応し、高速LTEデータ通信を定額無制限で利用できる。本体寸法:W91.5×H16×D44.5mm、本体質量:50g、使用電源:DC12/24V、Wi-Fi対応規格: IEEE 802.11 b/g/n (2.4GHzのみ)、最大同時接続台数:5台。取り付ける際は推奨の角度がある

そもそも車載用Wi-Fiルーターの“車載用”とは、エンジンONとともに電源が入るなど、車内での使用に特化しているという意味です。

「DCT-WR100D」の中には本体がきちんとクルマの中に設置されているかを判別するためのさまざまなセンサーが入っているのですが、この精度が高く、正しく動作して、車載で使われている証明ができるということで、魅力的なサービスの提供が実現できています。

▲正しい取り付け角度を守れば、見えないところに取り付けても問題はない

電源はシガーソケットから給電するタイプで、面倒な本体での設定は一切必要ありません。

しかも着脱が簡単で、持ち運びもできるので自分のクルマだけでなく、友達のクルマや実家のクルマでもWi-Fi環境を構築できます。どんなクルマでも車内でエンターテインメントを楽しめるのです。

また車載用として設計されているので、車内の激しい温度変化にも耐えられます。動作保証温度は-10〜60℃で、暑くても寒くてもちゃんと作動するので、夏に海に行ったり、冬にスキーに行ったりレジャーとの相性もバッチリ。ここは、モバイルルーターには担保できないメリットだといえます。

使用するにあたって走行中は問題ありませんが、停車中には若干の使用制限があります。これもリーズナブルにサービスを提供するためだと納得いただければ幸いです。

▲エンジンを始動すれば自動で電源オン。走行中は常にWi-Fiが利用可能で、停車中の利用は60分まで。仮に60分経過してしまっても、少し走行すればまたWi-Fiの利用は可能になる

通信品質という面では、屈指のネットワークを誇るNTTドコモさんの通信網を利用しているので信頼性は間違いありません。

山間部でも途切れませんし、高速なLTEデータ通信を定額で制限なく使用できます。ドコモユーザーでなくても使えるので、スマホのキャリアを気にする心配もありませんよ。

■こだわりのポイントは?

▲さまざまなクルマに取り付けることを想定。余計な加飾をつけて、クルマのインテリアの邪魔にならないようにシンプルさにこだわった

ただの箱のようですが(笑)、実は中にはカロッツェリアの技術が詰め込まれております。

また、細かなところですがケーブルの長さを決めるのには侃々諤々(かんかんがくがく)しました。

運転席回りや助席の近くに設置することを想定しているのですが、クルマはお客様によって、例えば運転席のシート下に置きたいといわれる方もいらっしゃるので、それに対応できる長さというところで1.5mにしました。50cmにするか、2mにするか、最後まで話し合ってましたね。

ケーブルに関してはやはり、お客様それぞれでこだわりがあるようです。

もともと乗せ換えを想定していたのでカンタンに取り外し可能なシガーソケットから給電するタイプにしたのですが、見えないところに取り付けてすっきりさせたいというお声もあり、途中から電源を裏取り(純正配線から電源を取る)する電源ケーブル「RD-WR001」(2750円)を発売したんです。最近、問い合わせも多くなっています。

■実際に使っている人の意見は?

今まで家でできてることがクルマではできていない不便さを感じられている方が多かったようで、その制約がなくなることで、便利で快適だねといういう声が非常に多くあります。

例えば、クルマに乗っているときはラジオ派の方で、よく遠出するけど、県をまたぐと聴きたいラジオが聴けなくなることが前は多かったけど、「DCT-WR100D」を導入したらラジオアプリが使えるから、自分の好きな県の好きなタイプのラジオを通信量を気にすることなく聴けるからいい、というお声をいただきました。

別の方からは、同乗する奥様のスマホが低容量プランなので、クルマに乗っているときに検索するのを我慢していらしたようです。でも車載用Wi-Fiにしたら、気兼ねなく検索できるようになり「次、どこに行きたい!」って会話が弾むので、お出かけが一層楽しくなりました、という声をいただきました。

そういうお声をいただくと、いろんなところで活躍してるなって、我が子のことのように嬉しくなります。

※  ※  ※

我々としては、「カーライフを豊かにしたい!」いうのが非常に大きな目的のひとつではあります。

エンタメ系の楽しさや便利さ、快適さがあってカーライフはより豊かになると思っていますので、もっと多くのお客様に認知していただき、充実したカーライフがもっと広がっていけばいいなと考えております。

>> パイオニア「カロッツェリア 車載用ルーター DCT-WR100D」

<写真/五十嵐真(igasta)>

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