セイコーが誇るスポーツウオッチのブランド・PROSPEX（プロスペックス）。数々の冒険家たちに愛されてきた「ダイバーズ」だけでなく、昨年復活を果たしたクロノグラフの「スピードタイマー」が人気急上昇中だ。そこで本稿では、果たしてどちらがプロスペックス最強にふさわしいのか、4人の識者による熱い時計談義をお届けする。
■今回の識者
グッズプレス編集長 高橋正道｜1971 年生まれ、埼玉県出身。クルマ、ファッション、芸能、週刊誌からWebまで、ジャンルを問わず様々なメディアに従事。現在は趣味やライフスタイルを提案するモノ情報誌『グッズプレス』の編集長。また、「日本文具大賞」では審査委員も務める
時計ライター 三宅隆｜1978 年生まれ、大分県出身。ライフスタイル誌、モノ情報誌、TV 情報誌などの出版社勤務を経て、フリーランスに。現在はWebメディアのプロデュース・編集・執筆を中心に活動。カバージャンルは家電、ガジェット、時計、アウトドアなど。趣味はキャンプと釣り
時計ジャーナリスト 篠田哲生｜1975 年生まれ、千葉県出身。青年情報誌を経てフリーランスに。仕事の傍ら時計学校に通い、時計の仕組みや技術を学ぶ。雑誌、新聞、Webなど幅広い媒体で時計記事を担当し、時計イベントなどにも登壇。著書「教養としての腕時計選び」（光文社文庫）
ホディンキー編集長 関口優｜1984 年生まれ、埼玉県出身。2006 年に学習研究社（現学研ホールディングス）に入社。16年、「ウオッチナビ」編集長に就任。19 年、ハースト・デジタル・ジャパンに入社して米国発のデジタルメディア「ホディンキー・ジャパン」編集長に就任（現職）
■ダイバースキューバ vs. スピードタイマー 識者の採点結果は…
連綿と続くセイコーブランドを代表する名作ぞろいの「ダイバースキューバ」、プロスペックスとして現代に蘇ったセイコークロノグラフ開発史の象徴「スピードタイマー」、両者を識者に採点してもらったところ、僅差でダイバースキューバの勝利となったが、デザイン面ではスピードタイマーが優勢であった。
【DIVER SCUBA】
セレクトの幅が多彩な歴史あるダイバーズ
総合点／71点
ファーストダイバーの現代デザインは不動の人気だが、今回の4人の中ではセレクトが割れた。それは各々のライフスタイルに照らし合わせることで理由も変わってくるからだ。さらにいえば、そうした多様性のあるニーズに応えられるバリエーションを誇るのも今回の勝因か。
昨年から流行しているターコイズ系のブルーを採用した最新トレンドを押さえたモデルから、レガシィを感じる古き良きスタイルまで、「自分のための1本」を探せる。
【篠田氏が選んだ1本】
■セイコーらしいディテールのおしゃれ系ダイバーズ
☆SBDC165 プロスペックス Diver Scuba
1965メカニカルダイバーズ 現代デザイン
Save the Oceanモデル
14万8500円
今回のダイバーズウオッチの中ではもっともダイバーズ色が薄く、縦バーチカルのダイヤルに見るトレンドを感じられるところがポイントです。さらに、ストラップをファブリックなどに変更（別売）しても相性が良い汎用性の高さがセレクトの大きな理由ですね。
点数：19点
機能性 ★★★★☆
デザイン ★★★★★
実用性 ★★★★★
点歴史 ★★★★★
【関口氏が選んだ1本】
■すべてが高レベルな完成度の高いダイバーズ
☆SBDC127 プロスペックス Diver Scuba
1968メカニカルダイバーズ 現代デザイン
14万3000円
まずグレーがかった深いブルーダイヤルに惹かれました。サンレイと呼ばれる放射状の筋目もポイントですし、秒針の赤い差し色など細部へのこだわりが魅力です。あとは最新のISO 規格に準拠している点など、この価格帯で満足感の高い1本だと思います。
点数：19点
機能性 ★★★★☆
デザイン ★★★★★
実用性 ★★★★★
歴史 ★★★★★
【三宅氏が選んだ1本】
■冒険家の魂が宿る1本でアウトドアを本気で楽しむ
SBDC143 プロスペックス Diver Scuba
1970メカニカルダイバーズ 現代デザイン
14万8500円
キャンプ・釣りを中心としたアウトドア好きを自称する以上、やはり“ 植村ダイバー”リメイクの「SBDC143」しかないでしょう。冒険の相棒はオーバースペックくらいがちょうどいいですし、冬場でも使いやすいファブリックのストラップも重宝するはずです。
点数：17点
機能性 ★★★★☆
デザイン ★★★☆☆
実用性 ★★★★★
歴史 ★★★★★
【高橋氏が選んだ1本】
■実用性に優れるダイバーズをライフスタイルに合わせて
☆SBDC143 プロスペックス Diver Scuba
1970メカニカルダイバーズ 現代デザイン
14万8500円
普段使うシーンを考えるとバイク移動が多いので、「SBDC143」はりゅうずが4時位置だから手に当たらなくていい。クラシカルなデザインもライダースジャケットやオフロード系のバイクとマッチするし、ホンモノ感があって気分も上がりますね。
点数：16点
機能性 ★★★☆☆
デザイン ★★★★☆
実用性 ★★★★★
歴史 ★★★★☆
■そのほかのおすすめダイバーズウオッチ
☆SBDC141 プロスペックス Diver Scuba
1965メカニカルダイバーズ 現代デザイン
13万7500円
☆SBDC101 プロスペックス Diver Scuba
1965メカニカルダイバーズ現代デザイン
14万3000円
☆SBDC105 プロスペックス Diver Scuba
1965メカニカルダイバーズ 現代デザイン
12万1000円
☆SBDC167 プロスペックス Diver Scuba
1968メカニカルダイバーズ 現代デザイン Save the Ocean モデル
14万8500円
☆SBDC169 プロスペックス Diver Scuba
1970メカニカルダイバーズ 現代デザイン Save the Oceanモデル
15万9500円
【SPEEDTIMER】
ファーストクロノグラフとして愛用者急増中！
総合点／69点
人気沸騰中の新生スピードタイマーだが、クロノグラフとしての歴史の深さも魅力的。ファッションウオッチとして身に着けながらも「わかってる」感を出せる。総合点では惜しくも軍配はダイバースキューバに上がったが、デザイン面でのポイントはこちらに。気軽に楽しめるクロノグラフとして今後も人気は加速しそうだ。
【篠田氏が選んだ1本】
■セイコーのクロノグラフを象徴する新たなモデルに！
SBDL085 プロスペックス SPEEDTIMER
ケースサイズ：39.0㎜
7万4800円
まず、白×黒のいわゆる“ パンダ”ダイヤルという配色の王道感があっていいですよね。あと、僕がセイコーのクロノグラフに求めるのは、レガシィとしての位置づけ。そういう意味も含めて、サイズ感がコンパクトでクラシカルなこのモデルを選びました。
点数：18点
機能性 ★★★☆☆
デザイン ★★★★★
実用性 ★★★★★
歴 史 ★★★★★
【関口氏が選んだ1本】
■時計への愛を感じられるヴィンテージ系ダイヤル
SBDL089 プロスペックス SPEEDTIMER
ケースサイズ：39.0㎜
7万4800円
時計業界の大きな流れでもある“ヴィンテージ”というキーワードをうまくダイヤルに取り入れてるなと。白、黒、青などオーソドックスなラインナップの中に、こうした経年変化する楽しみを「遊び」として採用しているところが面白いと思いました。
点数：17点
機能性 ★★★☆☆
デザイン ★★★★★
実用性 ★★★★☆
歴 史 ★★★★★
【三宅氏が選んだ1本】
■王道から少し外したカラーリングがいい
SBDL095 プロスペックス SPEEDTIMER
ケースサイズ:41.4㎜
7万9200円
篠田さんの選んだパンダもいいなと思いましたが、少しサイズアップした新作の方を選びました。こちらは針やベゼルのカラーで遊びが増えたなと思いますし、とはいえシンプルなイメージもキープしていて使いやすそう。王道からちょっと“ 外し”たところが好印象です。
点数：16点
機能性 ★★★☆☆
デザイン ★★★★★
実用性 ★★★★☆
歴 史 ★★★★☆
【高橋氏が選んだ1本】
■新色のオールブラックは万能な〝大人クロノ”
SBDL103 プロスペックス SPEEDTIMER
ケースサイズ:39.0㎜
8万5800円
2022年12月9日発売予定
人気の39mmケース待望の新色は“オールブラック”。 だけどギラつきすぎないマットな質感が大人の 佇まいですよね。だから普段のスーツやジャケパンスタイルにも合うし、ルミの色でさりげなく主張もできる、こなれた洒脱感を演出できる1本ですね。
点数：18点
機能性 ★★★★☆
デザイン ★★★★★
実用性 ★★★★★
歴 史 ★★★★☆
■そのほかのおすすめスピードタイマー
SBDL097 プロスペックス SPEEDTIMER
ケースサイズ:41.4mm
7万9200円
SBDL099 プロスペックス SPEEDTIMER
ケースサイズ:41.4mm
7万9200円
SBDL087 プロスペックス SPEEDTIMER
ケースサイズ:39.0mm
7万4800円
SBDL091 プロスペックス SPEEDTIMER
ケースサイズ:39.0mm
7万4800円
最後に「何を選んでもたしかなストーリーがあるし、これだけのバリエーションを国産ウオッチで選べるのは贅沢なこと」と話したのは、ホディンキー編集長の関口さん。
たしかに品質・ストーリー・機能性を兼ね備えた多くのモデルたちに、今後も楽しませてもらいましょう。
（文／三宅隆 写真／江藤義典）
