半年使って分かった車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」のメリット・デメリット

車載用Wi-Fiルーターの先駆け、パイオニア カロッツェリアから発売されている「DCT-WR100D」。クルマの中でWi-F環境を構築できるうえ、定額で通信し放題ということで注目が集まっています！　そんな車載用Wi-Fiルーターの記事を半年間、連載。この間、実際に使って試してみました。

使用期間は、連載が始まる前の5月末に導入してから約6ヶ月。走行距離にして6000km以上。東は茨城県、西は兵庫県まで1都9県、海から山まで車載用Wi-Fiルーターを搭載して一緒に走りました。

そこで最終回となる今回は、使ってみてどうだったのか。導入してから、現在までの心境の変化とともに、パイオニア カロッツェリアの車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」のメリット、デメリットをお伝えいたします！　

レポートするのは『&GP』の編集長である私、サワムラと、愛車のゴルフ2 マディソンです。

■【導入前】車内にWi-Fi環境を作る発想がなかった

「今度、パイオニアの車載用Wi-Fiルーターの企画をお願いします」と話が来た時、商品のことをよく知らなかったのです。

正確には、商品の存在自体は知っていたけれど、自分に関係あるアイテムだと思わなかったため意識することがなくノーマーク。だから、機能的な知識はゼロでした。

プレゼンテーションを聞いて、文字面としての中身は理解。でも見た目はただの黒い箱だし、導入するにあたりテンションは上がりません。でも半年間という長丁場の連載だし、使ってみなきゃわからない、ということで使い始めたのです！

そんな出会いから、導入してどう心境の変化があったかの話をします。が、結論だけ先に言ってしまいます！

「あのまま知らなかったら、この半年間で移動した距離分の楽しみが半減したかもしれません。ありがとうございます、パイオニアさん」って感じです。

つまり、半年間で掌返し！　今はなくてはならない存在です。そう、冬のアウトドアに欠かせないインナーのようなもの。すごく大事なのは分かるけど、揃える時には気分がのらず、いざ使ってみたら手放せない（分かりにくい？笑）！　そんな存在になっていました。

「いやいや、そんな大袈裟な！」と思うかもしれませんが、まんざらお世辞でもありません。

■【導入直後】車内Wi-Fi環境が整ったけどメリットを感じなかった

導入時にまず感じたのは、Wi-Fiなのにありがちな煩雑手続きがなく、ハードルがかなり低いということ。スマホの設定が苦手な私でも簡単に手続きできて、購入直後、あっという間に使えるようになりました。

手続きが完了したら、クルマのシガーソケットに差し込めば準備OK！

唯一の注意点は、本体を設置する角度。といっても面倒な話ではなく、ざっくりいうとクルマに対して水平か垂直に置くこと。細かなことは、取扱説明書に分かりやすく書いてあるので悩むことはありません。

いざ使用開始！

エンジンキーを回すと、本体のLEDランプが赤→緑→青と変わり、青になったら使用可能です。この間、20秒ほど。

これだけで車内のWi-Fi環境が整ったのですが、いまいちピンと来ません。

青色になったら、スマホの「設定」>「Wi-Fi」から、「dct-wr100d」を選べば設定完了！　ここはPCやタブレットなど、他の機器でも同様です。

■【導入1ヶ月後】車内Wi-Fiが便利なことをようやく実感

使い始めてようやく、車内Wi-Fi環境とはこういうことかと分かりました。当初はなんとなく使っていて、恩恵を受けているかどうかイマイチ実感がなかったというのが正直なところ。

認識が変わったのが、千葉県でキャンプをしている最中に急遽オンラインMTGが入った時。

それまではスマホとテザリングをしてPCを使っていたので、スマホの環境に左右されることが多く、山の中では切れることもしばしば。たまに「共有できません」という表示が出て何度も試してみたり、読み込みが遅かったり。繋がっても電波状態が悪く、途切れがちだったりとストレスを感じていました。

それがこれを導入したら、PCのWi-Fiネットワークにすんなり入れる（最初に入る時だけパスワード等の入力は必要）から、クルマの中が快適なオフィス環境に。テザリングの設定をする時間がなくなったから、開始時間の直前にPCを開けば良くなったのです。

しかもドコモのLTEデータ通信を利用しているということもあり、音声が途切れることがありません。

テレテレッテッテッテー♪

「手軽さと、通信の安定性を手に入れた！」という感じで、カーライフがレベルアップしたのです！

■【導入3ヶ月後】なんでこれまで使っていなかったのか後悔

3ヶ月ともなると使い慣れたもので、意識することなくエンジンを掛け、「DCT-WR100D」のLEDランプが青になっていることを確認してから、ナビアプリで行き先を入力し、Spotifyを立ち上げて音楽を流すか、radikoでラジオを聞くルーティーンになりました。

この頃になると家族も使い方をマスター。パートナーのスマホが1GBの容量制限なので、それまでクルマの中で音楽を聴いたり、ナビアプリを使ったりするとすぐにデータ容量がいっぱいになるため何もできなかったのが、「DCT-WR100D」を導入したおかげでそれも解消！

2人で乗っていても、お互いのスマホを使えるのも便利（最大5台まで接続可能）。外出先で近くの駐車場を探してもらったり、食事できるところを選んでもらったり、快適なドライブを陰で支えるアイテムといっても過言ではないかもしれません。

もうひとつドライブを陰で支えるといえば、スマホナビの使用時！

ナビアプリはWi-Fiでなくても動くのですが、通信が安定しなければ遅延が発生したり、表示されなくなります。

ナビの表示遅延があると、違う道に進んだり、迷ったりする可能性も捨てきれません。その点、「DCT-WR100D」なら通信が安定している上に、定額制なのでデータ通信量が多いスマホナビでは非常に重宝するのです！

メリットを言い出すとキリがないのですが、あとはやっぱり通信エリアが広く、キャンプ場があるような山間部でもちゃんと入ること。そして動画もストレスなく観られるってのも利点です。

ということで、3ヶ月使った段階で離れなくなりました。これで通信費は365日プランが1万3200円ということで、クルマによく乗る人にとっては安いんじゃないでしょうか。

もちろん1日プラン（550円）も30日プラン（1650円）もあるので使い方によっては選択可能。でも、結局本体を購入しているのに毎回乗るたびにチャージしてたら面倒だし、365日プランを1日換算にしたら1日あたり約36円だし、30日換算で約1084円だから、お得に使うならなんといっても365日プランです。

■【現在】もう車載用Wi-Fiのないカーライフはあり得ない

そして現在、あって当たり前の状態なのでもう手放せません！　この半年、我が家のカーライフを充実させた最大の功労者といえます。

じゃあ100点かと言われれば、若干の不満もあるので90点というところ。1つは機能面とはいいきれないので95点！

1点は、私のクルマだとケーブルが長すぎる点。こだわってケーブルの長さを決めたという話を聞いた後で心苦しいものの、個人的にはもっと短い30〜50cmくらいのケーブルが希望です。

電源を裏取り（純正配線から電源を取る）する電源ケーブルも登場していますが、やはり簡単に抜き差しできて、ほかのクルマでも使えることがメリットなので、短いケーブルのオプションがあればベストです。レンタカーでも使いましたが、簡単に持っていけるし本当に便利だけど、やっぱりケーブルが…。

もう1つは、仕方ないとは分かっていますが、キーを回してから車載用Wi-Fiルーターが使用可能になるまでの時間。この間、わずか20秒ほどなんですが、繋がってから行き先を検索してナビアプリに入力して音楽を選んで…とかしていると、発進まで数分かかります。

自宅が住宅地にあり、仕事柄、早朝、深夜に出かけることも多く、エンジンをかけっぱなしで待つとちょっと気が引けるという、個人的な事情であり、本体機能とは関係ありませんが…。

あと停車中の利用に時間制限があります。ここは逆に、それほど気にならなかったし、この決まり事があるからこの金額で「docomo in Car Connect」を利用できると考えると致し方なしと割り切れました。

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というわけで半年使っているわけですが、車内のエンターテインメントが充実するだけでなく、陰ながら運転中の安全にも寄与してくれる存在だけに、個人的には手放せないアイテムのひとつとなりました。

そうだ、言い忘れていました。所有するクルマは30年以上落ちなんですが、そんなクルマでも簡単に車内Wi-Fi環境を手に入れられるってのも忘れてはいけないメリットです！

ドライブ好きはもちろん、もっとカーライフを充実させたいファミリーや、毎日クルマを使う方にはピッタリじゃないでしょうか。一度使ったら、手放せなくなると思いますよ！

>> パイオニア「カロッツェリア 車載用ルーター DCT-WR100D」

<文／澤村尚徳 写真／五十嵐真（igasta）>