ここ数年で、ライフスタイルが一変したことは周知の事実。それはファッションにおいても同様だ。今はより高機能で、シーンを問わずに使えるモノが人気を博している。
中でもシューズは、アウターなどと違って365日必要なモノ。季節に合わせた素材やデザインも良いが、限られた予算の中で選ぶべきは、それらを問わずに履けるタフで上品な一足。そこで、ぜひおすすめしたいのが「Blundstone(ブランドストーン)」だ。
■サイドゴアブーツの祖。創業150年を超える「ブランドストーン」を知っているか
ブランドストーンの誕生は1850年代まで遡る。創業者であるジョン・ブランドストーンは、母国であるイングランドから長い船旅を経てオーストラリアのタスマニア島へとたどり着く。
タスマニアに渡った後、靴の輸入や製造に携わっていたブランドストーン氏は、1870年、息子と共に地元産のレザーを使ったオリジナルブーツの製造に着手。1894年には国際展示会で高い評価を受けるなど、その評判は世界的なものに。
1930年代、世界恐慌の煽りを受けたものの、タスマニア島のシューズメーカーであるカスバートソン兄弟社と合併し、生産規模を拡大。第二次世界大戦時にはオーストラリア軍に約50万足のブーツを供給するほどに成長した。この経験が、後のブランドストーンの代表作である「ORIGINALS(オリジナルス)」の誕生に繋がるのである。
創業から90年、ついにサイドゴアブーツの元祖である「オリジナルス」が完成。タフさに加えて、履き口にサイドゴアとプルストラップをあしらった履き心地の良いブーツは、ワーカーからアウトドアマン、都市生活者に至るまで幅広く浸透した。
そして創業から150年以上経った今もなお、日本を含む50カ国以上の国で、多くの人に愛用されている。
■知ればもっと愛せる。「オリジナルス」がもたらす5つの魅力
長い歴史が物語っているように、ブランドストーンが手掛けるシューズの完成度の高さは言うまでもない。しかし、改めて知ることで、すでに持っている人はより愛着が増し、持っていない人は判断材料になるだろう。ここからは、ブランドを代表する「オリジナルス」にフォーカスし、その魅力を5つのポイントに分けて解説する。
魅力1:毎日でも履きたくなる、シンプルで癖のないデザイン
元々、リアルワーカーがさまざまな現場で履くシューズなだけに、デザインは至ってシンプルかつプレーン。ファッションの観点からすると、いわゆるキレイめにもカジュアルにも合わせられるシューズに仕上がっている。
なお、つま先部分にはラウンドトゥを採用。これは、足先にゆとりを持たせることで快適な歩行をサポートするという、ワークブーツならではの意匠だ。一方で履き口はややシャープに作られているため、野暮ったさは皆無。合わせるボトムスを選ばない、万能なシューズといえるだろう。
「オリジナルス」はブランドストーンの中でも定番中の定番。ゆえに、カラー展開や素材違い等、幅広いラインナップを誇っている。
「BS510089 ブラック」のようなオールブラックはまず間違いないし、サイドゴア部分をネイビーにした「BS1917596 ブラック/ネイビー」で上品に攻めても良い。あるいは、アッパーにスエードを使った「BS1911420 タバコ」も捨てがたい。好みに応じて、じっくり吟味して欲しい。
魅力2:軽くて疲れにくい。1日中歩き回れる工夫が盛りだくさん
レザーブーツというと「重くて疲れる」というイメージがあるが、「オリジナルス」はそんな心配は杞憂。特に、重さについては最も違いが感じられるはず。
なぜなら、アウトソールには“サーモウレタン”という軽量な素材を使用しているから。なお、この素材は軽いだけでなく140℃の高温にも耐えられるという非常にタフな一面も兼ね備えている。グリップ力も申し分なく、雨の日も安心して履けるだろう。
本モデルが老若男女問わず支持される理由のひとつに、“圧倒的な歩きやすさ”も挙げられる。それを裏付けているのは、高性能なクッション材の「XRD」だ。
歩く際に最も負担のかかるヒール部分にXRDを施すことで、効率良く衝撃を吸収。まるでスニーカーを履いているような感覚で1日中歩き回れるだろう。
魅力3:“サイドゴア”の強み。脱ぎ履きしやすいからアウトドアにも最適だ
ブーツや革靴を愛好する人にとって、誰しもが抱える共通の悩みといえば、脱ぎ履きが面倒だということ。オリジナルスのみならず、ブランドストーン最大の魅力といっても良いサイドゴア仕様は、そんなストレスから開放されること間違いナシ。
写真のように、ガバっと開いてスポッと履ける着脱性は、日常生活はもとより、アウトドアシーンにおいても活躍必至。テントの中と外を行き来するキャンプでも煩わしい思いをすることはないだろう。
あらゆるシーンで使える「オリジナルス」は、テントやランタンなどと同じ“道具”といってもいいだろう。
本場オーストラリアではホームセンターで扱うほど、リアルワーカー達にとって馴染みのあるシューズ。泥だらけになったり、傷が付いたりしても、むしろそれが“味”となり、“勲章”としてシューズそのものの魅力が増すはずだ。
魅力4:ちょっとやそっとの水ではもろともしないタフな一面がある
すでにブランドストーンを持っている人の中には、雨靴として使っていることも多いだろう。それほどまでに、ブランドストーン=水に強いというイメージがある。そこで、注目すべきポイントは2つ。
まずひとつは、肉厚のレザーアッパーにたっぷりオイルを染み込ませていること。写真は靴全体に水をかけた直後に撮ったものだが、すでに乾きはじめていることが見て取れる。どんなシーンにせよ、足元がぐずぐずになってしまってはテンションもガタ落ち。「オリジナルス」ならそんな心配は無用だ。
もうひとつは、“インジェクション製法”。液状の底材を金型に流し込んで圧着させる製法だ。多くのシューズは、アッパーとソールを糸で縫い合わせている。となると、どうしても縫い目から水が浸入してしまうもの。この製法であれば縫い目がないので、靴底から水が浸入するリスクを最小限に抑えられるのだ。
もちろん、アッパーにレザーを使っている以上は完全防水でないものの、日常使いにおいては非常に有効。天気の心配をせずに過ごせる頼もしい一足であることには変わりない。
魅力5:レザーアッパーだから経年変化も楽しめる
歩きやすく、水に強く、それでいて洒落感も備える「オリジナルス」。これだけでも十分魅力的なシューズだが、もうひとつお楽しみがある。それは経年変化だ。
アッパーにレザーを使用しているから、長く履き続けることでツヤ感が増し、味わい深い表情に変化していく。それに、革は伸縮する素材。新品では少し固く感じたアッパーも、履くたびに足に馴染み、履き心地もアップすること請け合いだ。
さて、改めて経年変化のサンプルをご覧いただこう。左が「BS510089 ブラック」を約5年間履いたモノで、右が「BS2039009 ブラック」を約4年間履いたモノ。こちら、実は両モデルともカラーはブラック。右のモデルはもはやオリーブに近い色合いにまで変化している。そう、この“変化”こそレザーシューズたる所以であり、愛せるポイントといえよう。
使用頻度やシーン、メンテンスの方法は千差万別。丁寧にケアする人もいれば、一度もケアせずにひたすら使い続けるという人もいるだろう。何が正解で間違っていて…というのはこの「オリジナルス」には存在しない。色々な楽しみ方を模索しつつ、自分だけの「オリジナルス」を育ててみて欲しい。
■まず手にすべきは「オリジナルス」。趣味も日常も、これさえあれば良い
“EASY ON EASY OFF”をコンセプトに掲げる「オリジナルス」。着脱の容易さだけでなく、シーン問わず活躍する機能性は、日常もイージーにしてくれることが分かった。
あらゆる物事が変化する今、普遍的な価値を持ち続ける“これさえあれば良い”と思える一足を、ブランドストーンで手に入れよう。
<取材・文/若澤創 写真/田口陽介 スタイリング/宇田川雄一>