熱心なカーエンスージアストやミニカーファンにとって、フェラーリという響きは特別だ。
モータースポーツにおける栄光の歴史や、市販車の群を抜くパフォーマンスはもちろん、たくましくも美しいスタイルは、美術品としても高く評価されている。
趣味心を刺激する分冊百科の老舗・デアゴスティーニ・ジャパンから、8月30日に刊行された隔週刊の新シリーズ「レ・グランディ・フェラーリ・コレクション」は、フェラーリの歴史に名を刻む伝説の名車から最新車種に至るまで、多彩なモデルを1/24スケールで再現した、大人向けのモデルコレクション。
記念すべき創刊号には、フェラーリ創立40周年を記念して製造された伝説のロードカー「F40」が選ばれたと聞けば、今後の展開や内容が気になるという人も多いはず。まずはシリーズが秘めたコダワリの数々、その紹介からスタートしよう。
■実車オーナーも納得!“フェラーリ公認”という歓び
ミニカー趣味の醍醐味といえば、そのひとつはコレクションにある。
大小の別なく、年間数千アイテムがリリースされるミニカーだが、その中から好みのメイクスやモデルを見つけ、コレクションが充実してゆく様子を眺めるのは、純粋に楽しいもの。
もちろん、集めるモデルに好みはあるとは思うが、美しいボディをまとうフェラーリの精密モデルであれば、充実感もひとしお。
さらに、「レ・グランディ・フェラーリ・コレクション」はモデルの形状やラインナップに至るまで、フェラーリ社の協力と監修を受けた“公認モデル”なのだ。実車オーナーのプライド、ミニカーコレクターの趣味心をくすぐるアイテムであることは間違いないだろう。
■ビッグスケールならではの迫力あふれる佇まい
1/24スケールと聞いても、そのサイズを想像するのは簡単ではないかもしれない。
例えば、創刊号のF40は、全長約180mm、全幅約82mmと、大人の手のひらからもあふれるほどの大きさだ。コレクション向けミニカーの標準サイズといえば1/43スケールが一般的だが、「レ・グランディ・フェラーリ・コレクション」はほぼ2倍のサイズとしたことで、インテリアやガレージを彩るアイテムとしても十分な存在感を発揮。写真のように一眼レフカメラと並べても、その堂々たる姿は圧巻だ。
本体には、亜鉛合金ダイキャスト製ボディを採用することで、正確なボディラインと艶やかな塗装のほか、手にした時のズシッとくる重量感も実現している。
また、何より1/24スケールのメリットを感じるのは、ドアやエンジンフードといった開閉アクションを無理なく盛り込むことができたこと。これにより、フェラーリの魂であるエンジン、心たかぶるコクピットなど、精密に再現されたディテールをじっくりと鑑賞することが可能となっている(一部、ドアやエンジンフードが開閉しないモデルもあります)。
ちなみに、付属のディスプレイケースは幅221×奥行き120×高さ80mmで統一されている。
■栄光のヒストリーを網羅する多彩なラインナップ
レーシングドライバーとして活躍したエンツォ・フェラーリが、1947年に設立したフェラーリ。最新テクノロジーを結集した現行モデルはもちろん、レースを席巻した黎明期の傑作マシン、群を抜くパフォーマンスで世間を驚かせた限定車などなど…。フェラーリの歴史に登場するのは、いずれ劣らぬ魅力的なモデルばかり。
レースで培ったノウハウを惜しみなく注ぎ込んだメカニズムはもちろん、ピニンファリーナに代表される名門カロッツェリアや著名デザイナーが描いた端正なボディデザインは、創業以来すべてのモデルに貫かれる魅力だ。
「レ・グランディ・フェラーリ・コレクション」では、それらの中からさらに厳選した60車種のモデル化を予定している。「憧れのあの1台は選ばれているか?」と気になる方も多いと思うが、それはこれからのお楽しみ。ここでは、現在公開されているラインナップの中から、注目のモデルをダイジェストでご紹介しよう。
■読み応えのあるカタログスタイルのマガジン
各号に付属するモデルを解説するマガジンは、まるで実車のカタログのような重厚な仕上がり。
開発の経緯や車両のデザインのほか、エンジンやトランスミッションといったメカニズムまで詳しく紹介されている。貴重なオフィシャルフォト、図解やデータの数々を使用した、美しく迫力あふれるビジュアルも見どころだ。
また、創刊号から第12号までの定期購読をWebから申し込むと、12台を美しくディスプレイできる専用コレクションケースがプレゼントされるなど、特典も用意されているので、まずはWebサイトをチェックしていただきたい。
■ホビールームやガレージにプライベートミュージアムを築く
さて、イタリアはモデナといえば、フェラーリ創業以来の本拠地。今日も製造と開発の中心を担うほか、「ムゼオ・エンツォ・フェラーリ・モデナ」「ムゼオ・フェラーリ・マラネロ」というふたつの博物館を置くなど、フェラーリファンにとっての聖地でもある。
しかし、一度は訪れたいというファンも多いことと思うが、距離的にもなかなか気軽に…、とはいいがたいのも事実だろう。
「レ・グランディ・フェラーリ・コレクション」もまた、大人向けの本格派コレクションゆえ、コンプリートまでは時間も費用も必要だ。しかし、コレクションスペースに1台、2台と増えゆく華麗なる跳ね馬たちを眺めるのは、フェラーリ愛好家やミニカーファンにとってかけがえない、至福の時間となるはず。さあ、モデナをも圧倒するプライベートミュージアムを、自宅に築いてみてはいかがだろう?
隔週刊レ・グランディ・フェラーリ・コレクション _ デアゴスティーニ・ ジャパン
(文/村田尚之、写真/江藤義典)