ジメつく梅雨が明ければいよいよ本格的な夏が到来する。Tシャツにショートパンツなど、ラフ&イージーな着こなしが増える夏は、腕時計が楽しめる季節だ。
とはいえ、価格が価格だけに、おいそれと手が出せないのも事実。自分のフィーリングを頼りに選ぶのも良いが、色、形、ムーブメント、機能性etc.と、見るべきポイントは多岐に渡る。ということで、まずは軸となるブランドを決めるところからはじめよう。
■選ぶべきは、やっぱりセイコー。専門店のバイヤーが推す7つのウオッチ
1881年の創業以来、「常に時代の一歩先を行く」という信念のもと、腕時計業界をリードし続けてきたセイコー。日本人にとってこれほど頼りになるブランドはないはずだ。
軸が決まったところで、次は実際に腕時計を選びたいところだが、100年以上の歴史を誇るブランドだけに、ラインナップは豊富。ひとつひとつ見ている時間はない…ということで、&GP編集部が時計専門店へ取材を敢行。
腕時計選びのプロであるバイヤーに、注目すべきセイコーの腕時計を聞いてきたので、今夏の相棒選びの参考にしてほしい。
【1本目】セイコー プロスペックス「SBEJ009」
1本目は、ダイビングやトレッキングをはじめとする、アクティブシーンに対応する本格機能を備えたセイコー プロスペックスからの逸品。
「SBEJ009」は、1968年当時、世界最高水準の性能を誇るムーブメントを搭載したプロフェッショナルダイバーズウオッチのデザインコードを踏襲。さらに、GMT機能が付いた新キャリバー「6R54」を搭載するなど、最新テクノロジーを惜しげもなく採用している。
タイムタイム 齋尾 篤さん “ダイバーズはこうである”という固定観念を壊してくれるデザイン性と、ダイバーズらしいスペックを兼ね備えたモデル。まさに、時代と共に進化した1本といえるでしょう。
&GP編集部 さまざまな規制が緩和され、外出への機運が高まっている今、GMTモデルはトレンドのひとつ。仕事からプライベートまで、縦横無尽に活躍する腕時計ですね。
「SBEJ009」には、随所に鏡面仕上げを施すことで、無骨なイメージのあるダイバーズに、エレガントな印象をプラスしている。タイムタイムの齋尾さんが語ったように、これまでのダイバーズとは一線を画すデザインに仕上がっているのだ。
ゆえに、アクティブシーンだけでなく、ビジネスシーンにおいても活躍すること請け合い。深みのあるグリーンダイヤルも、落ち着きのある大人の腕にぴったりだ。
【2本目】セイコー プロスペックス「SBDC165」
2本目は、セイコー ダイバーズの始祖であり、セイコー特殊時計開発の原点である「1965 ダイバーズ」をベースにしたモデル。半世紀以上に渡って積み重ねてきたノウハウと技術を総結集させ、現代へと蘇らせたのがこの「SBDC165」だ。
ディープブルーのダイヤルとブラックのベゼルは、長年培われてきたセイコーの技術の積層を、氷河と重ね合わせて表現。ロマン溢れる1本に仕上がっている。
普遍的な価値を持つデザインなだけに、その魅力はまさにタイムレス。約70時間を誇るロングリザーブなど、実用面においても抜かりない。
時計倶楽部/ウオッチタウン 松岡良洋さん 氷河をイメージしたディープブルーの立体模様が印象的。個性的なダイヤルながらトレンドに流されないモデルとなっているのは、初代セイコー ダイバーズの形を継承しているからこそ。飽きが来ず、どんなシーンでも活躍するでしょう。
&GP編集部 質実剛健な見た目ながら、ケース径は40.5mmと、日本人の細い腕にも馴染むサイズ感がGOOD。内面無反射コーティングを施したサファイアガラスは視認性が高く、時計本来の魅力もしっかり味わえます。
【3本目】セイコー プロスペックス スピードタイマー「SBDL101」
垂直クラッチ機構を搭載した世界初の自動巻きクロノグラフ「1969 スピードタイマー」の意匠を継承した「SBDL085」がベース。「SBDL101」は、随所にアレンジを施した特別版。ザ・クロックハウスや時計俱楽部/ウオッチタウンをはじめとする限られた時計専門店のみでしか手に入らないレアな1本だ。
「SBDL101」の特徴をひと言でいえば、レトロな佇まいの「SBDL085」を、よりスタイリッシュにブラッシュアップさせたモノ。
たとえばダイヤルは、艶のある放射デザインに変更してより上品にし、時分針もレトロ感のあるホワイトから、洗練感のあるシルバーに変更している。手にする人にしかわからない微細な変化だが、それゆえ所有感も高まるだろう。
ケース径39mmというコンパクトサイズも魅力のひとつ。これ見よがしに見られがちなクロノグラフも、主張しすぎず、さまざまな着こなしにハマるだろう。
ザ・クロックハウス 関口貴弘さん 1本は手に入れたい、通称“パンダ”と呼ばれるカラーリングのクロノグラフモデル。コンパクトな39mmのケースもトレンドです。ショップ専用モデルの特別感を感じるツートーンのバンドが実に洒脱ですね。
&GP編集部 バンドはパッと見ブラックに見えますが、実はほんのりグレー味を感じる色合いなんです。単純な白黒ではないからこそ、より幅広いコーディネートにマッチすること請け合い! 夏のカジュアルな服装を格上げしてくれるでしょう。
【4本目】セイコー アストロン ネクスター「SBXD013」
「セイコー アストロン」誕生から10年の節目に登場したネクスターシリーズ。「未来を切り開く次世代のリーダーたちの活躍を後押しする」というコンセプトの通り、先進テクノロジーが搭載されている。
「SBXD013」のムーブメントに採用した新キャリバー「3X62」により、今までにない金属製のベゼルが装着可能に。ゆえに、今までのネクスターシリーズとは一線を画すダイナミックなデザインに仕上がっているのだ。
ダイヤルには、「クオーツ アストロン」を象徴するクオーツ(=水晶)をモチーフにした型打ちデザインを施している。これは、“アストロンのDNAを次世代へ繋げていく”というメッセージが込められている。
タイムステーションNEO 加地芳人さん 今までのアストロンには見られなかったダイナミックかつ存在感のある造形美にグッときます! 水晶をデザインモチーフにしたダイヤルも魅力的な仕上がりです。
&GP編集部 12mmという薄型に仕上がっているのは新キャリバー「3X62」があってこそ。軽いだけでなく、薄いおかげで装着感もアップしています。まさに日常使いにはうってつけですね。
【5本目】セイコー アストロン ネクスター「SBXC109」
“ニューノーマル”という言葉が遥か昔のように感じられるほど、時代は刻一刻と変化している。オンラインやリモート一辺倒だった働き方も、徐々に対面でのミーティングやリアルイベントが増加。いよいよ、本格的なビジネスウオッチを検討する時期がきたのかもしれない。
そこで、注目したいのが「SBXC109」だ。先の「SBXD013」同様、ネクスターシリーズの中のひとつにラインナップされており、品格、実用性ともに申し分ない1本だ。
スタイリッシュかつ軽量な純チタンケースに、ラグジュアリーな輝きを放つサファイアガラスベゼルを組み合わせた、実にエレガントな佇まいが特徴。ビジネスマンとしての身のこなしや立ち居振る舞いをさまざまな形で支えてくれるだろう。
ケースはコンパクトかつ低重心設計にし、駒ピッチも短めに調整することでストレスのない装着性を実現。ひと度身につけてしまえば、腕馴染みの良さに驚くはずだ。
TiCTAC 中島広人さん ビジカジ問わず、手元から格上げしてくれる抜群の存在感。正確な時間を示してくれるGPSソーラーモデルはタイムパフォーマンスを意識できるので、頼りになる存在だと思います。純チタン素材で軽いのも良いですね。
&GP編集部 ケースとバンドが一体を成すフォルムはラグスポの象徴。美麗な輝きを放つサファイアガラスベゼルが、高級感に拍車をかけています。まさに、ここぞというとき身につけたい“勝負時計”です。
【6本目】セイコーセレクション Sシリーズ「SBTM341」
「腕時計がほしい」と思ったとき、目的が明確に定まっていない限りはシンプルな3針モデルを選べばまず間違いはないだろう。ビジネスやカジュアル問わず身につけられる汎用性に優れるデザインは、あらゆるシーンで重宝する。
“汎用性”は、ともすれば無難とも言いかえられるが、「SBTM341」は、もちろんそれには当てはまらない。ケースやバンドに用いられる素材は純チタンを使用。さらに鏡面仕上げを施すことで、上質な光沢感を放つ高級感溢れる佇まいに仕上がっている。
スーパークリアコーティングを施したサファイアガラスは、視認性に優れるだけでなく、汚れやキズが付きにくい特性を兼ね備えている。
時計倶楽部/ウオッチタウン 松岡 良洋さん ケースとバンドの鏡面仕上げのバランスが良く、腕に装着したときの輝きは申し分ナシ! 5列構成のバンドはシンプルながら、中駒の輝きが所有感を高めてくれます。ダイヤルのストライプ柄や、インデックスの立体感にも注目です。
&GP編集部 時間を確認するだけならスマホで十分、と考えている人にこそオススメしたいモデル。40mm以下とコンパクトで過度な主張をしない3針デザインは、大人のアクセサリーとしてうってつけ。素材に“純チタン”を使っているところも特別感あってGOOD!
【7本目】セイコーセレクション Sシリーズ「SBPY167」
物価高の時代、腕時計にもコスパを求めるのは別段不思議なことではない。しかし、安さを追い求めるあまり、“質”をおざなりにしてしまっては本末転倒。
「SBPY167」は、セイコーユーザーの声を反映させたリーズナブルかつコスパに優れる「セイコーセレクション Sシリーズ」からの1本。価格にして4万円台という値ごろ感ながら、構成要素の多いクロノグラフであることや、定期的な電池交換が必要ないソーラー駆動など、基本性能やデザイン性についてはしっかり追求している。
先程の「SBTM341」同様、ダイヤルを覆うガラス面には、スーパークリアコーティングを施している。光の反射を99%以上抑えるセイコー独自の技術。このコーティングが施されているのは、セイコーの中において、5万円以上のモデルが大きな割合を占めている。このことからも、本モデルがいかに優秀か理解できるはずだ。
ザ・クロックハウス 関口貴弘さん ガラス面に光の反射を抑えるスーパークリアコーティング、針とダイヤルにはルミブライトなど、日常使いで安心できる機能が盛りだくさん。そして、ブラックのクロノグラフモデルはオンオフ問わず活躍すること請け合いです。
&GP編集部 腕時計は、身につける人のスタイルを表す重要なモノ。ゆえに、お値打ちなモノほど実は手が出しづらい…という側面があるのですが、そこは我らがセイコー。ユーザーからの“欲しい”の声に向き合い、細部の仕上げにこだわった「SBPY167」なら、そんな心配も杞憂です。
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時計専門店のバイヤーが厳選した7本の腕時計はいかがだっただろうか。日々、数多くの腕時計を見ているプロたちが太鼓判を押す逸品だけに、我々の“腕時計欲”がくすぐられていることだろう。繰り返すが、夏は腕時計が楽しめる季節。手に入れるなら、今が好機だ。
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<取材・文/若澤創>