無駄を削ぎ落とした男前デザインとシンプルな機能が魅力!EARTH MANの「SHARE LINK」シリーズ誕生秘話

コロナ禍の一時的なブームではなく、今や大人の趣味としてすっかり人気が定着したDIY。そればかりか長引く円安や物価高騰を受け、「作れるものは自分で作り、直せるものは自分で直す」という節約術としてのDIYにハマる人も今後、増えてきそうです。

そんな中、誕生より30年を超えた工具ブランド「EARTH MAN」が新たな電動工具シリーズ「SHARE LINK」を発売! これまでの製品とは一線を画すデザインやパワフルな18Vバッテリーなど、より快適に、より多角的に製作が行える工具の登場が話題となっています。

そこで今回、開発に携わったキーパーソン3名に、誕生秘話から製品へのこだわりまで気になるところを徹底インタビュー。見た目も機能も一新し、新たな一歩を踏み出した「SHARE LINK」シリーズの魅力に迫ります。

■工具ブランド「EARTH MAN」の歩み

「モノづくりのまち」として知られる新潟県三条市で、150年余りもの間、人々の暮らしに役立つモノづくりに徹してきた髙儀。多種多様な商品展開に伴い、カテゴリーごとに専門ブランドを立ち上げてきた中で、電動工具を中心とするブランドとして誕生したのが「EARTH MAN」です。

“誰もが作れて、誰もが直せる時代に一番近くに感じられる道具たち”をブランドコンセプトに、プロはもちろんのこと、一般家庭でも使いやすい工具としても開発。これまでも高性能かつリーズナブルなさまざまな製品を展開し、国内のDIYシーンを支え続けるいちブランドとして、その名を轟かせています。

■新たに誕生した新シリーズとは?

30余年もの間に培ってきた技術とノウハウ、そしてユーザーからのフィードバックを元にしながらも、既存の枠に捉われないまったく新しい電動工具として、ゼロから開発されたのが「SHARE LINK」シリーズ。機能もデザインも一新した新シリーズです。

最大の特徴は、核となるバッテリーに、プロ向け電動工具の主流である18Vのリチウムイオン電池を採用している点にあります。2Ah、4Ah、5Ahの3タイプをラインナップし、同シリーズの工具間でバッテリーを共有可能。使う機器や使用する時間に応じて選ぶこともできます。

また、コンパクトながら高出力を誇るブラシレスモーターを起用したラインナップを加えたのも特徴のひとつ。よりハイパワーにも関わらず、電動工具の小型化に一役買っているため、より取り回しやすくなりました。

極め付けは、思わず手に取りたくなるデザイン。現場での視認性を高めるために目立つ色が多い電動工具の中で、真逆をいくモノトーンの配色と、ガジェット感のあるフォルム、そしてマットな質感が目を引きます。

■きっかけは「髙儀ならではのモノを開発したい」という思い

▲製品開発担当 小野 浩さん

「EARTH MANも含め、18Vバッテリーを使用した電動工具を展開しているブランドはありますが、大きさや形状を見ても、一般向けというよりはプロ専用のモノがほとんどでした。その中で同じ18Vの製品でも、弊社ならではのモノを開発したい…というのが開発の始まりです」

そう話すのは、開発当初からプロジェクトの中心として陣頭指揮を取ってきた小野さん。ほかの製品との差別化を計る上で、まず第一に信頼できる商品を目指したそう。

「開発に着手したのは2019年。独自の魅力を打ち出していく上で、最初に注目したのがバッテリーです。昨今、リチウムバッテリーを使用した商品が市場に出回るようになって、充電時などのトラブルによる火災事故がニュースになることも増えてきました。より多くの人に商品を使っていただくには、やはり安全性の担保が最優先。火災に繋がらない仕組み作りには特に力を入れ、バッテリーの開発だけでも1年近く費やしました」

■既存の枠にとらわれないデザイン

▲製品デザイン担当 石上大輔さん

「DIYを楽しむ一般の方からプロの方まで、幅広く使っていただける電動工具というのが、新シリーズのコンセプトです。18Vのバッテリーも2Ah、4Ah、5Ahと容量が異なる3種を用意し、使用状況に応じてユーザーが自分に合ったものを選べるようになっています。また今回は、これまでにない試みとして社内デザイナーを起用しています。多くの方が親しみやすく手に取ってもらいやすいデザインというのも、コンセプトのひとつです」

そんな小野さんの話に反応し、デザイナーの石上さんが話を繋げます。

「電動工具というと、ゴツゴツしたデザインでカラフルな強い色味のモノが多い印象で、デザイナーとしてはそこを変えたいと思っていました。工具らしさというよりも、さまざまなシチュエーションに馴染む形状と色合いですね。極端にいうと、これまでの製品とは真逆のことをしようというのが、デザインのコンセプトでした」

もともとは家電のデザインを担当していたという石上さん。SHARE LINKシリーズが既存の電動工具と一線を画すデザインに仕上がったのは、工具畑とは異なる視点を持つデザイナーの存在が大きいようです。

■機能とデザインとのせめぎ合いで完成!

「デザイナーの思いを尊重しつつ、目標としていた性能を維持するのが大変でした…」

当時を振り返り、歪んだ表情で話を始める阿部さん。もとは同社の営業職だったが、主にデザイナーと製造工場の調整を行うために参画。両者の要望を取りまとめるのが難しかったと話します。

「デザイナーは常にユーザーが使いやすい形を追求するのですが、構造上、変更を求められることも多く、1日に20回も30回も調整が必要で…。その都度両者に最善の策を探ってもらいながら製品化に漕ぎつけました。必要な機能とデザイン面を損なうことなく製品化できたのは、ブラシレスモーターの存在も大きいですね。コンパクトながらも高出力のモーターなので、デザイナーが求めるフォルムでも高性能を維持できたと思います」

■誰でも扱える使いやすさをデザインに落とし込む

▲製品開発担当 阿部 祐意智さん

「最近は何でもかんでも盛り込んで“多機能”を謳うモノもありますが、結果的に複雑でわかりにくくなるのもどうなのかと。そこでSHARE LINKは、例えば、初心者でも気軽に扱えるという点を重視し、できるだけ機能はシンプルに作業性を高めることにこだわりました。その上で、インパクトドライバーの3段階のトルク調整機能やセーバーソーの無段変速など、すでに工具を使い慣れた方にも満足してもらえるような機能を盛り込んでいます」

機能面のこだわりについてそう話す阿部さんに続き、デザイン面でもやはり「使いやすさ」にこだわったと石上さんが話し始める。

「一番のこだわりは、すべてのカタチに機能的な意味を持たせていることです。ハンドルであれば握りやすさを重視し、スイッチであれば押しやすさとわかりやすさを重視。そういうところを頭に入れながら、それぞれのモデルのデザインを決めていった感じですね」

そして道具としての使いやすさをカタチで追求していった結果、石上さんはSHARE LINKの特徴となる造形にたどり着いたと話を続けます。

「曲線を使うと持ちやすそうに見えますが、それだけで構成するとボテボテして見た目のシンプルさや使いやすさがなくなってしまいます。SHARE LINKでは握るところはカーブを使っていても、指を置くポイントは平らにするなど、すっきりした感じと持ちやすさの両立を目指しました。円柱の柱を上から見たときに“D”に見えることから、弊社では一部を面でカットしたこの造形を『Dカット』と呼んでいます」

確かにどのモデルもハンドル部分を握ってみると、湾曲した部分と平面部がいい感じに手にフィットして使いやすい。そればかりか、工具を使うときに自然と手を添える場所がグリップしやすい設計になっていて、非常に作業がしやすいのも魅力です。

■バッテリーを共有して多くのユーザーと繋がる

「さまざまな機種でバッテリー共有(=SHARE)を可能とし、さらに工具だけに捉われない商品展開でより多くのユーザーと繋がる(=LINK)というビジョンから、SHARE LINKという名を冠しました」

そう名前の由来を明かす小野さん。特にLINKの部分は、今度のSHARE LINKのビジョンに大きく関わると話を続けます。

「すでに園芸用のモデルも発売していますが、これからも工具だけにこだわらずライナップを拡充していく予定です。さまざまなお客様の生活シーンにSHARE LINKが浸透し、これまで電動工具とは無縁だった方との繋がりも広がっていくと嬉しいですね」

機能面でもデザイン面でも、使いやすさに徹底的にこだわったSHARE LINK。こんな男前のデザインの電動工具を手にすれば、DIYがますます楽しくなること間違いありません。

■魅力的な「SHARE LINK」シリーズの主なラインナップ

インパクトドライバーやセーバーソーといった定番の電動工具はもちろん、ヒートガンや電気カンナなど、幅広いニーズに応える工具をラインナップ。

機能美あふれるデザインで、シックなトーンなので自宅に置いても悪目立ちせず、コレクションしたくなる工具といえます。

SHARE LINK
18V充電式ブラシレスインパクトドライバー(2万1780円)

より強固にネジを締めつけられる打撃機能が備わったインパクトドライバー。3段階トルク切替機能で、穴開けや長いネジ打ちなどで作業に合わせた微調整が可能で便利。

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18V充電式ブラシレスコンパクトセーバーソー(1万780円※バッテリー別売り)

木材や金属の切断に便利な電気のこぎりで、自社製の国産刃を標準装備。ストローク幅が約18㎜と長めなので切断能力が高い。トリガーの引き具合でストローク速度が変わる無段変速機能付きで、初心者でも扱いやすい。

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18V充電式マルチツール(2万1780円)

先端のユニットの交換により、さまざまな作業で活躍。よく使うインパクトドライバーと電気のこぎりのユニットが標準装備されています。ユニットの着脱に専用工具を要せず、ワンタッチでできる手軽さも魅力です。ユニットは標準装備以外に6種発売中。

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18V充電式ブラシレスロータリーハンマー(1万9580円※バッテリー別売り)

コンクリートや石材、レンガなどの穴開けやハツリ作業に使用できるドリル。用途に応じて「回転」「打撃」「打撃+回転」の3つのモードに切り替えられる汎用性の高さが魅力。1回の充電で、60mm厚のコンクリートブロックに約35孔の穴開けが可能。

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18V充電式風量調整ブロワバキューム(8778円※バッテリー別売り)

ホコリや塵を吹き飛ばすだけではなく、掃除機のように吸い込む機能も備わったブロワ。7段階の風量調整が可能。本体を回転させることで、用途に応じた形状に変形させたり、コンパクトに収納したりできます。

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18V充電式ヒートガン(8778円※バッテリー別売り)

高温の熱風を吹き出すドライヤーのような工具で、塗装やパテなどの乾燥はもちろん、接着剤やシールを剥がす際にも重宝します。形状が異なる3つのノズルが同梱。

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18V充電式ブラシレス電気カンナ(1万7380円※バッテリー別売り)

木材の表面を削り、滑らかにしたい時に使用。また切り出した板の寸法を微調整する際にも重宝する。対応バッテリーは4Ahと5Ahのみ。安定した作業ができるように、本体前方がグリップしやすいフォルムになっているのが秀逸。

>>EARTH MAN「SHARE LINK」シリーズ

(取材・文/柿内直樹 写真/恩田拓治)

 

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