「DIY女子」なる言葉が定着するほど、今や性別や年齢を問わず誰もが没頭できる趣味として人気を維持しているDIY。在宅時間が増えたコロナ禍をきっかけに、モノ作りの楽しさや自分で手掛けた達成感、作業に集中する充実感など、その醍醐味にハマった人も多いと思います。
そんなDIYシーンの盛り上がりに伴い、ホームセンターのPBブランドや電動工具市場が活況を呈する中、30年越えの歴史を誇る工具ブランド「EARTH MAN」が新たな挑戦をスタート! より快適に、より多角的にモノ作りの楽しさ拡充する電動工具「SHARE LINK」シリーズを発売しました。
ハイパワーな18Vバッテリーの採用により機能性が向上したのはもちろん、インパクトがあるのがその見た目。これまでの電動工具の概念を覆すかっこ良さで、なんとなく見た目で電動工具を避けていた人も手に取りやすくなっています。
とはいえ、どんなに見た目が良くても道具として使いづらければ本末転倒…。そこで今回は、&GP編集長の澤村が登場間もない「SHARE LINK」シリーズを使ってDIYの基本である“木箱作り”にチャレンジ! 見た目だけではない使用感やデザイン面での工夫をしっかり検証してみました。
『&GP』編集長/澤村尚徳
DIY歴4年。古屋を購入してからDIYに目覚め、ウッドデッキや本棚、キッチンラック、テーブルなど、身の回りのモノをDIYで製作する。所有する電動工具はインパクトドライバー、ドライバドリル、丸ノコ、卓上スライドソー、サンダーなど。
■EARTH MAN「SHARE LINK」シリーズとは?
EARTH MANの電動工具としては、約5年ぶりの新シリーズとなる「SHARE LINK」。無駄を排して機能に忠実に向き合ったデザインと、道具としての精緻さを際立たせる配色によって、まったく新しい電動工具の世界観を創り出しています。
核となるバッテリーには、プロ向けの電動工具の主流である18Vのリチウムイオン電池を採用。2Ah、4Ah、5Ahと容量が異なる3種のバッテリーを展開し、同シリーズの工具間で共有できるのが大きな特徴です。
また18Vバッテリーの採用によって、これまで以上に多種多彩な工具を幅広いユーザーに提供できるのも見逃せないところ。園芸用など、DIYだけに捉われないバラエティ豊かなラインナップもSHARE LINKの魅力となっています。
■今回は3つの工具を使用して木箱を製作
インパクトドライバーは、ドライバービットが回転するだけではなく、打撃を加えることでより強固にネジの締めつけができるのが特徴です。3段階トルク切替機能を搭載し、穴開けや長いネジ打ちなど、作業に合わせた微調整が可能となっています。また、別売のビットに交換すれば、ボルトの締め付けやドリルとしても使用できて便利です。
DIYで使用頻度が高いインパクトドライバーと電気のこぎりのユニットを標準装備。ユニットを交換することでさまざまなシーンで活躍するため、初めての電動工具としてもおすすめです。また、ユニットの着脱に専用工具を要せず、ワンタッチでできる手軽さも初心者には嬉しいところ。ユニットは標準装備以外に6種が発売されていますが、今回はその中からジグソーとサンダーのユニットを使用します。
自社製の木工用と鉄工用のブレードを標準装備した、木材や金属の切断に便利な電気のこぎり。ストローク幅が約18mmと長く、切断能力が高いのが大きな特徴です。また無段変速機能付きで、トリガーの引き具合に合わせてストローク速度が変化。作業状況を見ながら細かな調整が可能なので、初心者でも扱いやすいのがポイントです。最大切断能力は、木材 厚さ約90mm、軟鉄パイプ(径)約Φ32mm、軟鋼材 厚さ約2.5mm。
■木箱製作で使用した材料はこれ!
■木箱作りでSHARE LINKの使い勝手を検証!
DIYの基本ともいわれるのが木箱作り。初心者でも3時間ほどで作れるので、工具の使い方を覚えるにはもってこいです。とてもシンプルな構造だからこそ、技術力よりも使う道具の良し悪しが結果に出やすいのがポイント。SHARE LINKの真価を早速検証していきましょう。
「今回の木箱製作には、ホームセンターなどで簡単に入手できる1×(ワンバイ)材を使用。規格が統一されていて加工しやすいのが特徴ですが、歪みやすい材質なので反り具合を確認して購入しました。また、使用する木工用ネジは、太さを打ち込む板の厚さの1/3以下、長さは取り付け材の2倍を目安にして選びました」(澤村)
▼セーバーソーを使って板をカット
まずはパーツの切り出しからスタート。今回用意するのは、長さ330mmと600mmの側板×2枚と600mmの底板×2枚。長い距離を真っすぐ切るのは難しいので、板の幅は購入時のままで使用します。あらかじめコンベックスやサシガネを使って、切り取る部分にラインを引いておきましょう。
「約18mmのストロークでスムーズに切れるし、速度を最大限に上げたときのスピード感は気持ちいいですね。その反動で本体の制御が厄介かと思いましたが、まさしくデザインの妙。トリガー周辺のグリップのしやすい形状もさることながら、使い続けても手首に負担を感じない絶妙な角度も良い感じです。そして何といってもラクダのコブのような部分! 手で抑えやすい形状と滑りにくい素材でしっかり本体をホールドできるので、安定性の高さを感じました」(澤村)
▼ドリルを使って持ち手を作る
最初に、切断ライン上の角に斜めに刃をあて、ゆっくりセーバーソーを起動。刃が遊ばないように、軽く溝を作ります。あとはストロークの速度を上げて、ラインの外側をなぞるイメージで動かしていけばOK。薄い板や柔らかい板を切る場合は、板に対して刃を30度前後に傾けるときれいに切れます。
単なる箱では使い勝手が悪いので、持ち手ぐらいは作りたいところ。
長さ330mmの側板それぞれにホールソーなどでφ30mmの穴を2カ所開け、そこからマルチツールのジグソーユニットを使って持ち手となる穴を広げていきます。
▼穴を開けたらジグソーで持ち手部分をカット
「ベースと呼ばれるプレート部分を板に密着させて動かせば、スムーズに切れるので楽でいいですね。ストローク幅は約12mmとセーバーソーよりは短いですが、切れやすさはまったく問題ありません。上から抑え込むようにして使うのですが、マルチツールはヘッドが小さい上、やはり手をあてる部分には滑りにくい素材が施されているので、非常に扱いやすいです。形状も手のひらで抑えやすいように少し平らになっていますが、よく考えられているなと。今回初めてジグソーを使いましたが、これだけ簡単に使えるのなら色々作りたくなりますね」(澤村)
サンダーは、紙や布などのサンディングペーパーを取り付けて木材や金属の表面を磨く電動工具。ひと通りパーツの切り出しが終わったところで、組み立てる前にマルチツールのサンダーユニットを使って表面を整えていきます。ユニットの着脱はロックレバーを引くだけのワンタッチ仕様。別途工具を用意する必要がないので実に快適です。
▼サンダーで表面を整える
「サンダーユニットには#60、#80、#120という目の粗さが異なる3種のサンディングペーパーが付属しています。番号の小さいほど目が荒いので、小さい方から順に使って磨いていくのが基本です。サンダーは片手でかけることが多いと思いますが、あらためてマルチツールのグリップデザインの良さを実感できますね。握る時に手のひらに当たる部分は丸みを帯びていて、指先が触れる部分は平面になっているDカットと呼ばれるデザインなのですが、まるで手に吸い付くようなフィット感が得られます。やや細身でスイッチの操作もしやすく、扱いやすさは格別です。というか、このマルチツールが一家に1台あれば、ほぼなんでもできちゃうんじゃないですか。ユニットを着脱できるのも、ガジェット感があっていいですね!」(澤村)
▼側板→底板の順番で組み立てる
すべてのパーツを磨き上げたら、いよいよ組み立て作業。ネジを打ち込む場所に印をつけたら、インパクトドライバーにドリルビット(別売)を装着して下穴を開け、ドライバービットでネジを打ち込んでいきます。
ネジ山を潰さずに上手くネジを回すためのポイントは、ネジに合ったドライバーを使うこと。このインパクトドライバーには、No.2のドライバーユニットが標準装備されているので、今回使用しているような3.0mm~5.0mmのネジを締めるのに適しています。他のサイズのドライバーユニットも発売されているので、DIYで使いこなしたいなら、ある程度広範囲で揃えておきましょう。
「ネジを締める際のコツは“押し7、回し3”の力配分といわれますが、インパクトドライバーは“押し”の部分を打撃でサポートしてくれるので、ネジ締めが非常に楽になります。しかもこのモデルは、パワーがあるブラシレスモーターを搭載しているため、SPF材への打ち込みはあっという間です。またヘッドが小さく、グリップしている場所からドライバーの先端までが近いのがポイント。ネジ山を潰さないように回すには、ネジ山に対してドライバーを真っすぐあてる必要がありますが、このモデルは非常にあてやすく、グリップのしやすさも相まってその状態をキープするのが苦ではありません。よくネジ山を潰しちゃうという人も、これなら使いこなせると思います」(澤村)
■約2時間ほどで木箱が完成!
SHARE LINKシリーズのみで作った木箱がついに完成! 光を反射する滑らかな表面に、水がこぼれる隙間もないようなぴったり感(笑)。初めて作った割に、上出来です。完成品を見るだけでも、SHARE LINKシリーズがどれだけ優れているのかが分かります。
「18Vバッテリーやブラシレスモーターの搭載による機能性の高さはもちろん、実際に使ってみて感じたのが圧倒的な使いやすさです。これまでのゴツゴツとした電動工具とは一線を画すデザインですが、丸みのある部分と平面の部分が巧みに計算されていて、掴みやすく操作しやすいという極上の使用感を生み出しています。店頭などで一度でも手にすれば、妙なフィット感からちょっと使ってみたい…なんて思いに駆られそうです。使いやすさとは直接関係ないかもしれないですが、やっぱりこのデザイン。家にあっても悪目立ちせず、揃えたくなりました」(澤村)
木箱作りを通じて見えたSHARE LINKシリーズの真価…それは、無駄を排してそれぞれの道具の使いやすさを追求した機能美でした。そして、使いやすい道具が生み出すのはストレスレスなモノ作りの楽しさ!今後もラインナップの拡充を続けるSHARE LINKシリーズから目が離せません。
(取材・文/柿内直樹 写真/恩田拓治)