いまハマっている趣味ってありますか? どんな趣味であれ、気づけば結構写真を撮っていたりしませんか? 好きなモノや好きなことって、なぜだか写真で残しておきたくなりますよね。
そんな趣味用のカメラにチェキを使い始めた人がいます。東京在住の40代Mさんです。彼の趣味はバイク。10代の頃からバイクに乗っていたのですが、働き始めたり家族ができたりでご無沙汰に。それがコロナ禍で復活。友人と連れ立ってはもちろん、ひとりでも日帰りツーリングを楽しんでいるそう。
バイカーのMさんがチェキを選んだというのは、なんだか不思議な気がします。チェキって若い人が仲間とわいわい撮り合い、シェアして楽しむというイメージ。でもMさんの被写体はもちろん、相棒であるバイクです。
なぜチェキなのか、そしてどんな写真をチェキで撮っているのか。「とにかくカッコよく撮れるんですよ」というMさんがソロツーリングに出かけるというので、同行させてもらい、いろいろ話を聞いてみました。
■ただ景色とバイクを撮る、だけじゃつまらない
「今日は、溜まった有給休暇を使っての日帰りツーリングです。せっかくの平日なので、休日は混んでいて行くのが大変な富士山に向かいます」
中央道を一路西へ向かい、相模湖ICで降りて“道志みち”へ。
「若い頃から何度も走っている道ですが、道志川の谷筋を走るのが気持ちいいんです。この道、週末はいっぱいバイクが走ってますよ。もう歳なので、のんびり行きますね(笑)」
道志川を横目に、山間の道を山中湖へ。この日は青空が広がり最高の天気。
そうこうしていると、あっという間に山中湖へ到着です。
「あちゃー、雲がかかってますね」
そう、山中湖に到着したときは、富士山の山頂は雲で見えなくなっていたんです。
「まぁでも、そのうち雲が流れててっぺんが見えるかも。ちょっと待ってみますか。急いでるわけでもないし。もちろん、来たからには意地でも富士山を撮影しますよ!」
と言うと、バイクをベストポジションへと移動させ、腰に着けたカバンからカメラを取り出しました。
「これがチェキです。正式には『INSTAX mini Evo』(以下mini Evo)というんですが、このレザー調のカメラケースがいいでしょ? 夏だから今日は着てないですが、寒い時期は革ジャンを着てバイクに乗ってます。その雰囲気にも合ってるんですよ。カメラ本体とは別売なんですが、一緒に買っちゃいました」
「そしてカメラ本体も、カッコいいでしょ。いかにもカメラ然としているデザインや質感がたまらないんだな、これが」
そしておもむろにバイクに向かってしゃがむと、まずは1枚パシャ。その場でプリントした写真を見せてくれました。さすがチェキ。
ん、なんだこれ? すいません、これ普通に撮影しました?
「いえいえ。これが、僕がこのチェキを買った理由のひとつなんです。エフェクトと言って、いろいろな写真表現ができる機能で、これがあれば、もっと愛車をカッコよく撮れるんじゃないかなと思って」
「mini Evo」にはエフェクト機能があり、10種類のレンズエフェクトと10種類のフィルムエフェクトを組み合わせて100通りの写真表現ができるという。たしかに、SNSでよく見かける、いわゆるバイクやクルマの愛車写真とはかなり趣が異なる。そしてチェキプリントの風合いがまたイイ。
「mini Evo」のことを聞いているうちに、雲が動いて山頂が見えてきた! さっそくMさん、何度もシャッターを切り始めます。
でも、プリントが一切出てこない。チェキといえば、シャッターを押したらすぐにプリントが出てくるはずなのに。
「この『mini Evo』は、カメラ背面のモニターを見ながら撮影し、写真を選んでプリントできるんです」
そうなんですか! チェキって進化してるんですね。
「ね。僕もそう思いました。便利な機能がいっぱいありますよ」
次に向かったのは、山中湖からほど近い場所にある展望台。湖畔からはちょっと登っただけなのに、眼前には雄大な景色が広がります。
もちろんここでもバイクを撮影。
「カメラは素人ですが、どうやったら相棒をカッコよく撮れるか考えるんです。自分であとから見てニヤニヤしたいのもそうですが、誰かに見てもらって『イイね』って言ってもらいたいですしね」
と言いつつ、景色も撮り始めるMさん。これだけ気持ちいいと、いろいろ撮りたくなるのはわかります。
「いや~、『mini Evo』を使い始めてからは、不思議といろいろ撮っちゃうんですよ。なんと言ってもエフェクトが楽しいから」
「スマホで撮っていた頃は、ただただバイクだけとかバイクと景色とかを撮っていたんです。絶景と言われる場所に行けば、まぁ景色も撮りましたが。でも、どこかで見たような『ここ行ってきましたよ』っていう写真になるんですよね。それがこの『mini Evo』だと、ひと味違う写真になる。センスの見せどころかもしれませんが、そこはあまり気にせず(笑)、自分がいいなと思うエフェクトで撮るようにしています。よし、それじゃあ次に向かいますか」
■ときには自撮りも!
展望台から南に向かい、峠を越えたら下道をひたすら海に向かってバイクを走らせるMさん。
小田原にほど近い酒匂ICから西湘バイパスに乗りました。天気の良さもあり、走る姿がとにかく気持ちよさそう!
西湘バイパスを降りると、そのまま湘南の海を右手に見ながら、国道134号線を東に進んでいきます。途中、江ノ島や鎌倉などいくつも観光スポットがありますが、それらはスルー。
そして到着したのは、三浦半島にある浜辺沿いの駐車場。「実はここ、お気に入りの場所なんです」というその駐車場は、まるで浜辺にバイクを置いたように撮影できる場所でした。
西向きの浜で、到着時間が午後だったこともあり、ちょうど正面に太陽が見えます。
「ここは夕焼けもキレイなので、あえてその時間に合わせて来たりすることもありますよ。今日は人がほとんどいないですね。ちょっと自分も入れて撮ってみてもいいですか? 人がいっぱいだと恥ずかしいんですが、今日はいいですね(笑)」
と言うと、小さな三脚を取り出しセットしました。
「誰かと行けば、<自分とバイクと景色>みたいな写真も撮ってもらえますが、ひとりだとね。でも『mini Evo』には三脚穴が付いていて、自撮りもできるんですよ」
画角を決めたら、エフェクトを選び、セルフタイマーに。シャッターを押したら、そそくさとバイクの横へ。
後ほど見せてもらった写真は、逆光がいい感じに入っていて雰囲気のある1枚に。これは撮りたくなるのもわかる!
さらに「自撮りはセルフタイマー以外でもできるんです」と言うと、スマホを取り出しました。
「実は専用アプリを使ってスマホと接続すれば、画角を確認しながらスマホでシャッターを押せる『リモートシューティング機能』というのがあるんです。これたぶん大勢で集合写真なんかを撮る時に便利な機能なんでしょうが、案外ひとりでも役に立つんですよ」
相棒と自分、そしてお気に入りの場所。まるで映画の1シーンのような写真を見ると、バイクっていいなぁ、画になるなぁ、と思ってしまいます。
■やっぱりいい写真はSNSにアップしたくなる
最後は、これまたMさんお気に入りの場所へ。横浜横須賀道路から首都高に入り、向かったのは工場夜景で有名な川崎港です。
到着時はまだ太陽が沈みきっていない時間帯だったことから、バイクを撮り始めたMさん。
「やっぱりバイクは撮っちゃいますね。バイクを撮るときもエフェクトを使うといいんですよ」
ひとしきりバイクを撮影したあとに、これまで撮ったチェキプリントを見せてもらいました。
「よかった、いい感じで撮れてますね。ところで、フィルムのフレームが白だけじゃないことに気付きました? チェキのフレームにはたくさん種類があるんですけど、お気に入りはブラックフレームにオレンジ色の文字が印字されているやつです。写真フィルムのベタ焼きみたいなのがいいのと、よりカッコよく見える気がするんです(笑)。でも、この写真ならこのフィルムがいいかな、とかを考えるのも楽しいですよ」
たしかに、フィルムひとつで雰囲気が大きく変わります。この「mini」という縦86mm×横54mmのサイズには、馴染みのある白フレームの「ホワイト」(10枚入り814円/税込み)以外にも、ブラックフレームにオレンジ色の文字がアクセントとなっている「コンタクトシート」(10枚入り900円/税込み)や、グレー色をベースにメタリックシルバーを際立たせた「ストーングレー」(10枚入り900円/税込み)など、数多く用意されているようです。
「せっかくなので、今日撮ったやつから1枚だけSNSにアップしておこうかな」
そう話すと、Mさんはスマホを操作し始めました。
専用アプリを使うことで、「mini Evo」で撮影してプリントした写真をスマホに転送できるので、SNSへのアップも簡単。Mさんによると、逆に、スマホで撮った写真をカメラに転送してチェキプリントもできるそう。チェキの進化っぷりにはちょっと驚きです。
「おっ、ようやくいい感じに暗くなってきましたね。では、今日の〆の1枚を撮りますか」
「mini Evo」に搭載されている強制発光モードを使ったことで、バイクもしっかり写っています。そして背景は工場夜景。たしかにカッコいいわ、これ。
「今日は1日お疲れさまでした。天気が良かったので気持ちよく走れて、そしていい写真がたくさん撮れて大満足です(笑)」
Mさんはそう言うと、バイクにまたがり颯爽と去っていきました。
* * *
翌日、Mさんから1枚の写真が送られてきました。「お気に入りはデスクに飾って、いつでも見られるようにしています」という一文を添えて。
「mini Evo」の機能をフル活用して趣味に取り入れているMさん。仕事で知り合った人とバイクの話で盛り上がったら、常に1枚財布に忍ばせている愛車を写したチェキプリントを見せているという話もしていました。
「SNSもいいけれど、あんまりやりすぎるとね(笑)。それよりも、大好きな愛車をいつでも見られるようにできるのがとにかくいいんです。これまでは、ツーリングに出かけてもスマホで似たような写真ばかり撮っていたんですが、チェキを手に入れてからは相棒のいろいろな表情を撮ってプリントすることにハマってます!」
きっとバイクだけじゃなく、さまざまな趣味で、その趣味の新たな一面を引き出してくれる。「INSTAX mini Evo」はそんなカメラなのかもしれません。
<取材・文/円道秀和(&GP) 写真/松川忍>