サロモン「XA PRO 3D V9」が山でも街でも快適な理由を76年の歴史とともに紐解く

山道などの不整地路を歩くために生まれたアウトドアシューズ。その高い機能性と快適さは、街を歩く時にも最適。クッション性やフィット感の高さは長時間歩いても苦にならず、防水性や滑りづらさは急に雨に降られた際に威力を発揮します。

そんなアウトドアシューズを数多く手掛けるのが、フランス生まれのSalomon(サロモン)。機能性の高さによって、世界中のプロトレイルランナーから支持されています。

そしてこのサロモン、実は近年、ファッションアイテムとしても人気急上昇中なんです。機能性からくる、スニーカーとも異なるデザインは、さまざまなファッションブランドやファッション関係者からも注目を集め、いまやファッションシーンに欠かせない存在になっています。

そんなサロモンの顔とも言うべきシューズ「XA PRO 3D」に新作が登場。履きやすく、フィット感もバッチリ。さらに足を支える安定感に快適なクッション性。一度履けばリピート必至の新モデルを深掘りしつつ、そこに注ぎ込まれた技術力の源となるサロモン76年の歴史を振り返ります。

 

■山にも街にも映えるデザインと培われたテクノロジー

サロモン
「XA PRO 3D V9 GORE-TEX」(2万2000円)

サロモンを代表するアウトドアシューズ「XA PRO 3D」の9世代目となる最新モデル。刻々と状況が変わる地面をしっかりグリップし、さらに足を支えて保護する構造になっています。走るだけでなく歩く際にも役立つさまざまなテクノロジーが注ぎ込まれていて、日々の相棒としても最適。“もっと歩きたくなる”一足に仕上げられています。

▼快適さを支える「EnergyCell™+」

ソールの白い部分が、クッション性の高さと耐久性を誇るミッドソール「エナジーセル+」。着地した時の衝撃を反発力に変えるリバウンド力の高さが、衝撃から足を保護しつつ、足を前へと進めてくれます。

▼安定感を生み出す「3D Advanced Chassis™」

ミッドソールの間にあるのが、ファイバーガラスで強化されたプラスチック製のシャーシ「3D Advanced Chassis™」。不整地路を歩く際に起こりやすいねじれから足を守り、カカトまで覆うことで負荷のかかりやすいカカトをしっかりサポート。履いた瞬間にわかる安定感を生み出す、重要な役割を担っています。

▼どんな地面もグリップする「All Terrain Contagrip®」

地面に接するアウトソールには、サロモン独自の「オールテレイン コンタグリップ」を装備。濡れた路面や泥道、岩場など、あらゆる状況に対応し、しっかり食いついてくれます。高すぎないラグ(凸部分)は街でも歩きやすく、都市から山までという意味でも“オールテレイン(あらゆる地形)”に対応するアウトソールです。

▼脱ぎ履きしやすい「Quicklace™」

端を持って引っ張るだけで全体を一気に締められ、ロック部分を動かすだけで緩められる「クイックレース」。紐を結ぶ必要がなく、脱ぎ履きや調整がラクラク。しっかり固定されるので、歩いている時に緩まる心配もナシ!

▼足を快適な状態に保つ「GORE-TEXメンブレン」

メッシュ素材のアッパーの内側には、透湿防水性を持つ「ゴアテックス」を採用。外からの水気はシャットアウトしつつ、内からの湿気は通すため、急な雨の時も安心なうえ、たくさん汗をかく足を快適に保ってくれます。

▼豊富なカラーバリエーション

▲Black/Buttercup/Lapis Blue

▲Flint Stone/Black/Ghost Gray

▲Black/Phantom/Pewter

▲Blue Print/Surf The Web/Lapis Blue

ハイテクシューズらしいカラフルなものからシックなワントーンまでカラバリは全4色。

>> サロモン「XA PRO 3D V9 GORE-TEX(メンズ)」

 

■お値頃モデルもある!

サロモン
「XA PRO 3D V9」(1万8700円)

価格を抑えたGORE-TEX非搭載モデルもラインナップ。GORE-TEX以外はほぼ同じ仕様で、快適さ、歩きやすさは変わらず。カラバリが異なるので、好きなカラーリングがあれば、こっちを選ぶのもアリ!

▲Rainy Day/White/Lapis Blue

▲Surf The Web/Ibiza Blue/White

▲Flint Stone/GreenGecko/Black

▲Black/Phantom/Pewter

>> サロモン「XA PRO 3D V9(メンズ)」

 

■ファッションアイテムとしても人気に

最近は街でサロモンを履いている人をよく見かけるようになりました。選ばれる理由はやはり、ハイテクでありつつゴテゴテしていないデザイン。機能美ともいえるデザインに加えて、どこまでも歩けそうな快適さは、見た目で選んだ人も、また履きたくなること間違いなし。

その機能美に注目したファッション関係者は多数います。

2018年、CFDAファッションアワードの授賞式に出席したラルフローレンは、上にタキシード、下にジーンズ、そして足元にイエロー×ブラックのサロモンを履いて注目を集めました。

また、2023年2月に行われたNFLスーパーボウルのハーフタイムショーでは、全身真っ赤な衣装で登場したリアーナの足元に、真っ赤なサロモンがありました。

▲「ザ・ブロークン・アーム」コラボモデル

他にもコムデギャルソン、MM6といったファッションブランドや、パリのセレクトショップ「ザ・ブロークン・アーム」、日本のセレクトショップ「ビームス」などからもこぞってコラボモデルがリリースされるなど、スポーツシューズブランドとして今もっとも注目を集めるシューズブランドになっています。

*  *  *

そんなサロモンですが、実は76年の歴史を誇るブランドだということはご存知でしょうか。ファッションから入った人には、もしかすると最近のブランドというイメージかもしれません。また1980年代のスキーブームを知っている人からすると、今でもスキー用品ブランドというイメージがあるかもしれません。

サロモンの長い歴史には、今のアウトドアシューズにつながるさまざまな革新が詰め込まれています。そんな歴史を振り返ってみます。

【1947~】人気スキーブランドとして発展

フランソワ・サロモンと息子のジョルジュ・サロモンがフランス南東部にあるアネシーで1947年に創業したサロモン。当初はノコギリとスキー板のエッジを研磨する工場としてスタートしました。

▲アネシーの旧市街で創業

そんなサロモンが飛躍するきっかけとなったのが、1957年に開発したスキーのビンディング用パーツ「Skade」です。

▲「Skade」

スキーブーツのつま先を安全に固定するパーツで、2年後にはこの「Skade」を使ったサロモン初のビンディング「Lift」を発売しました。

その後もビンディング開発を続け、多くのオリンピック選手が使用するなどスキー用品ブランドとして地位を確立。1972年には、世界一のスキービンディングメーカーとなります。

▲100万ペアを超えるビンディングを発売

そしてサロモンは、ビンディング以外の分野にも進出していきます。1979年にはスキーブーツ「SX90」を発売。

▲「SX90」のデザインはフランスの新幹線「TGV」のデザイナーが担当

このブーツはリアエントリー式(後ろ側が大きく開く)を初めて採用。リアエントリー式はその後、スキーブーツの常識となっていきます。

ちょうどこの頃(1980年代~90年代前半)、日本ではスキーブーム真っ盛り。当時を知る人にとってサロモンは、ビンディングやブーツのブランドとして覚えているのではないでしょうか。

そんな人たちにとっても、当時大きな話題となったのが、サロモンのスキー板参入でした。

▲「S9000」

1990年に発売されたサロモン初のスキー板「S9000」は、それまでのスキー板では当たり前だったサンドイッチ構造ではなく“モノコック構造”を採用。革新的な板として、当時のスキーヤーの憧れ的存在となりました。

【1992~】アウトドアシューズの人気ブランドに

今もサロモンが本社を構えるフランス・アネシーは、ウインタースポーツが盛んな地ではありますが、同時に登山やトレイルランニングなどアウトドアスポーツを楽しむために多くの人が訪れる街でもあります。

▲アネシーの本社工場

そこでサロモンは1992年、アウトドアスポーツ分野にも進出します。

▲サロモンのアウトドアシューズの原型となる「Adventure 9」。ニューヨーク・タイムズ紙で紹介された記事には“Hiking into the future with a lighter boot(軽いブーツで未来へハイキング)”というタイトルが付けられていた

この最初に発売した「Adventure 9」をきっかけに、さまざまなシューズを開発していきます。

その中には、今も後継モデルが発売されている「X ULTRA」「PULSAR TRAIL」「SENSE RIDE」「QUEST」など、さまざまなシリーズも。

▲現在6世代目が発売されている「SPEEDCROSS」シリーズの初代は2007年発売

▲最近話題のリカバリーシューズもサロモンは2010年からと早くから手掛けている。こちらは原型となる1999年発売の「SNOWLOG」

そして2001年には、今に続く“XAシリーズ”の原型となる「Raid Race」が発売となります。

▲「Raid Race」

ハイキングシューズをベースにトレイルランニングに必要な軽さや機能性を加えたXAシリーズは、その後「XA ROGG」や「XA COLLIDER」などさまざまなモデルが登場しますが、やはり最もメジャーなモデルといえば「XA PRO 3D」です。

▲初代「XA PRO 3D」

今から18年前となる2005年に初代が発売された「XA PRO 3D」は、スキー用品開発などで培った技術を注ぎ込んだ機能性が多くのトレイルランナーから支持され、サロモンの代名詞的存在に。

その最新モデルが9世代目となる、今回紹介した「XA PRO 3D V9 GORE-TEX」「XA PRO 3D V9」になるのです。

*  *  *

今もサロモンは、スキーをはじめスノーボード用のギアも発売するなど、ウインタースポーツブランドとしても人気です。

一方、1990年代から始まったアウトドアシューズは、トレイルランナーだけでなくハイキングから普段履きに最適なモデルもラインナップする総合メーカーとして、年々注目度はアップしています。

しかも、その機能性とデザイン性の高さからファッションアイテムとしても人気に。

最近名前を聞いて気になっているという人も、ウインタースポーツのイメージしかなかった人も、そして今どれにしようか検討しているという人も、ぜひ一度履いてみてください。デザインだけじゃない、機能性だけじゃない、長い歴史で培われたサロモンの魅力を感じること間違いなしです。

>> サロモン

<文/円道秀和(&GP) 写真/藤本宏太郎、サロモン>

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