ハードケースもいいけど脱ハードケースもありかもしれない!用途別旅行カバンの選び方をプロに聞いた

旅に出る際、どんなカバンを持っていけばいいのだろうか? もちろん旅の種類や目的、人数、泊数で持っていくカバンは異なります。

今回、『&GP』編集部の新人スタッフ・カナヤマは、夏休みに実家へ帰省する際、どんなカバンで帰省しようか悩み中! いろいろ検索したものの、形はイメージできても大きさが分かりません。「そんな時はプロに聞こう!」ということで、今回は1人で1泊2日〜2泊3日でお出かけする際のカバンの選び方を、旅のカバンを多く扱う、その名も「TRAVEL SHOP MILESTO」の店員さんにおすすめを聞きました。

 

&GP編集部
カナヤマ
Webの知識は豊富だが、あまりモノにはこだわらない編集部の新人。帰省を兼ねて旅行する程度だが、今回は今後の出張も見据えて、どんな旅行カバンを選べばいいのか教えを乞うた

 

TRAVEL SHOP MILESTO
石澤善臣さん
これまで全国のTRAVEL SHOP MILESTOを渡り歩いてきた若手のエース。旅行経験も豊富でハードキャリーからバックパックまで旅行カバンに関する知識は幅広い。現在、渋谷店に勤務

 

TRAVEL SHOP MILESTO(トラベルショップミレスト)は、 “毎日を旅するように暮らす”大人に向けた旅支度のコンセプトショップ。東京を中心に、北海道、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府と全国に12店舗を構える。

カナヤマ:初めまして。この夏休みに旅行へ行きたいんですけど、どんなカバンで行けばいいか悩んでいて、それぞれを見比べたり、サイズがWebではイメージがつかなかったりで、本日、お邪魔しました。よろしくお願いします。

石澤さん:いらっしゃいませ。今回の旅行はどれくらいのご予定ですか?

カナヤマ:帰省を含め、2泊3日を想定しています。

石澤さん:カバンの容量は、1日10リットルが目安といわれるので、2泊3日ですと最低でも30リットルは欲しいところです。30リットルのケースであれば機内に持ち込めるタイプが多いですし、小回りが効くため何かと便利。キャリーケースやダッフルバッグ、バックパックとバリエーションも豊富なので、1つあると何かと使えるサイズだと思いますよ。

カナヤマ:そうなんですね。では同じくらいのサイズで違うタイプのモノを見せてもらってもいいでしょうか?

■まずキャリーケースから考えてみる

石澤さん:まず選択肢として基本となるのがキャリーケースです。4つのキャスターが装備されているタイプであれば、引いたり押したり、携行が楽です。落ち着いた色であれば、ビジネスでも使えますし、他の旅行カバンよりも汎用性は高いと思います。

カナヤマ:キャリーケースは知ってますが、大体どれも同じじゃないんですか?

石澤さん:構造は同じですが、細部で使いやすさが異なります。「MILESTO UTILITY フロントポケットキャリー キャビンサイズ ストッパー付」(3万3000円)は、フロントが大きく開口するのが特徴です。

石澤さん:フロントポケットにはPCやガジェット、書類を整然と入れられ、例えば空港の荷物検査場でPCを取り出さなければならない時でもサッと取り出せます。

カナヤマ:出張時にそのまま営業先に向かったとしても、ケースの中身を見られることなくPCや書類を取り出すなんてこともできますね。

石澤さん:まさに! しかもビジネスホテルなどのスペースが狭い場所でフルオープンにすると場所が取られますが、これはフロントポケット周囲のファスナーを開けば、メインコンパートメントにもアクセスできるんです。だからベッドの上で、ポケット面を上にして宝箱みたいに開けば省スペースでも作業しやすいんです。

カナヤマ:今のスーツケースはそんなことも考えられているんですね。

石澤さん:もうひとつ特徴的なのが、キャスターです。出張というと朝早く出て、夜遅く帰ってくることも多いため、住宅街などにキャスターの音が響いてしまうのが気になります。このモデルはキャスターにHINOMOTO製の「Lisof SILENT RUNのWキャスター」を採用しています。スムーズに稼働するのはもちろん、静粛性が抜群だから、住宅街にキャスターの音が響き渡りません。

カナヤマ:いいですね。マンションの一番奥に住んでいるので、エレベーターまでちょっと気を使うんですよね。でもそんなにスムーズなら、電車に乗っている時に、転がっていきませんか?

石澤さん:こちらにはキャスターロックが付いているので、そんなことはありません。ロックボタンを上げるだけで止まりますし、解除する時はアンロックボタンを押すだけ。電車に座った時に押しやすい位置に設置してあるので「座ったらロックする」の流れが、非常にしやすくなっています。

■もう少しカジュアルにするなら3WAYボストンキャリー

カナヤマ:キャリーケースは機能的にいいんですけど、普段ビジカジスタイルなので、もう少しカジュアルなタイプはありませんか?

石澤さん:仕事で使うなら落ち着いた色がいいですが、旅行先でカジュアルな格好だともう少し華やかな色合いのキャリーケースがいいかもしれませんね。例えば、MILESTOの「STLAKT 3WAY ボストンキャリー」(2万4200円)。ソフトケースなので、落ち着いた色ながらカジュアルな格好にも合いますよ。

カナヤマ:運動をやっているんで、ボストンバッグは見慣れていますが、ボストンキャリーって初めて見ました。ボストンバッグのように手持ちできるし、キャリーケースにもなるしいいですね。

石澤さん:3WAYなんで、肩掛けもできますよ。斜め掛けにして使えるほか、キャリーケースとして使っている時、階段では持ちにくいじゃないですか。そんな時はショルダーベルトを上部に付けておいて縦持ちすれば、階段などの持ち運びもしやすいですよ。

カナヤマ:ソフトケースなんで、当たり前ですが体に当たっても痛くないですね。

石澤さん:本体の素材はコーデュラナイロンで、耐摩耗性があって、防水ではありませんがちょっとした雨なら平気ですよ。ソフトケースといっても堅牢なのが特徴です。

石澤さん:しかもこのボストンキャリー最大の特徴はワイドに開くY字ファスナーになっていることです。ボストンバッグは通常、横に置いてファスナーを開かなければなりませんが、これはキャリー状態の縦位置のまま開閉できます。なので、いちいち横にしなくても中にアクセスでき、電車で座っている時でも中身を簡単に取り出せるのです。

■アクティブに旅をするならやっぱりバックパック

カナヤマ:3WAYボストンキャリーはビジネススタイルにも合いそうだし、旅先でのカジュアルスタイルにも合わせやすそうですね。でもキャリーってそれ単体で持っていくことはなく、一緒にバックパックも持って行きますよね? だったらバックパックでいいんじゃないかと思うんですけど、どうでしょう?

石澤さん:確かに、キャリーにバックパックなどのサブバッグを合わせて持っていかれる方が多いですよね。キャリーケースを使うメリットとしては、かさばったり重かったりする荷物を入れてコインロッカーなどに預け入れ、街歩きの時は身軽に歩けるというところでしょうか。逆にデメリットとしては、街中散策をする際に一度、荷物を預ける場所を見つけなければならないところでしょうか。その点、バックパックはその手間がなくアクティブに動き回れますよね。

石澤さん:MILESTO「LIKID フラップバックパック XL」(1万6500円) は最大容量約32Lで、2泊3日程度の旅行でも問題ありません。しかも、アクティブに旅をする際は、いつ雨が降ってきても大丈夫なように防水性能が欠かせません。その点、このモデルは耐水圧2万5000mmの強撥水素材を使っており、急なゲリラ豪雨でも中身を濡らすことがありません。

カナヤマ:なんかすごそうですけど、耐水圧2万5000mmってどれくらいなんですか?

石澤さん:簡単にいうと耐水圧は1平方cmに何mmの水圧がかかっても水漏れしないかです。一般的に2万mm以上なら嵐に耐えられるということですので、嵐の中で使っても中は濡れないと考えていただければいいかなと思います。

カナヤマ:でもそれって生地がってことですよね。ファスナーとかから浸水しませんか?

石澤さん:そうなんですよね。通常の縫製ですとファスナーの縫い目から入るんですけど、これは止水ファスナー部分を圧着しているため縫い目がないんです。だから内部に浸水する可能性は極めて低くなっています。ちなみに止水ファスナーは動かしにくいため、開閉しやすくするためのつまむめるループを取り付けていますよ。

石澤さん:しかも撥水性が高いため、サイドのポケットに水が溜まってしまうんです。なので水抜き用のホールを設けているんです。

カナヤマ:タフな環境でも問題なさそうですね。でも出張で使うとなるとカジュアルすぎですかね?

石澤さん:アウトドア用の本格的なバックパックではなく、シンプルなデザインなので、最近のビジカジスタイルであれば問題ないと思います。しかも15インチのノートPCが入るスリーブポケットも付いていますし、日常使いも可能ですよ。

■3つのスタイル、どれがいいのか?

ということで今回、スタイルが異なる3モデルを見てきましたが、実際どんな時に合うのでしょうか?

▼荷物の携行が楽!ビジネスに旅行に、汎用性を重視したい人向き

1.ハードケース
MILESTO「MILESTO UTILITY フロントポケットキャリーキャビンサイズ ストッパー付

シンプルなデザインで、オンにもオフにも合わせやすいハードキャリー。機内持ち込みにも対応するサイズで、容量は2泊3日程度の旅行にぴったりな31L。ノートPCを収納できるフロントポケットからも、メインコンパートメントにアクセスできるので、空港やホテルなどの狭い場所でもスマートに荷物を取り出せます。カラーは、ブラックのほか、ネイビー、ホワイト、レッドをラインナップ。

出張★★★★★
旅行★★★★
オンスタイル★★★★★
オフスタイル★★★★
機動性★★★★

▼移動シーンごとに携行方法を変えられる!利便性を重視したい人に

2.ソフトキャリー
MILESTO「STLAKT 3WAYボストンキャリー

手持ち、肩がけ、キャリーと、荷物量やシーンに合わせて使い分けられる3WAYボストンキャリー。頻繁に取り出したいものを入れておくのに便利な外ポケットを2つ装備しています。簡易防犯対策に、キャリーを柵などと固定するためのカラビナロック付きロープを備えています。容量約42Lで3泊4日程度の旅行に対応するサイズ感です。カラーは、ヘザーブラックのほか、ヘザーネイビー、ヘザーグレージュの3色展開。

出張★★★★
旅行★★★★★
オンスタイル★★★★
オフスタイル★★★★★
機動性★★★★

▼とにかくアクティブに動けることを重視したい人に!

3.バックパック
MILESTO「LIKID フラップバックパックXL

最大容量約32Lで、2泊3日程度の旅行にも使えるフラップタイプのバックパック。タウンユースにも馴染む洗練されたデザインで、カジュアルはもちろんビジカジにも合わせやすくなっています。柔らかくマットな素材感ながら高い撥水性を持ち、外装にはファスナーポケット3つとサイドポケット2つを装備。底面には服やマットを通せるループ付きで、アウトドアでも活躍します。ライトグレー、ブルーグリーン、ブラックの3色。

出張★★★
旅行★★★★★
オンスタイル★★★
オフスタイル★★★★★
機動性★★★★★

■カバンを選ぶ際はいつものファッションも考える

どのカバンも旅のスタイルに合わせやすいシンプルなデザインながら、着る服を考え、同じコーディネートでカバンだけ変えてみました。

どれも違和感はないながらも、少しずつ印象が異なります。

今回のオンスタイルは、シンプルな高機能セットアップ。ストレッチの効いた素材で、快適さと運動性がありながらも、細身のスタイリッシュなシルエット。インナーをブラックにすることで、爽やかさよりもクールでシックなイメージになります。

同じオンスタイルながら、それぞれ持った時の印象が異なります。

対してオフのスタイルは、開襟シャツを使った上品カジュアル。ショーツに合わせるトップスは、今年も開襟シャツが本命です。Tシャツ1枚でもいいですが、シャツを羽織るだけで、上品な大人の印象になります。

また、ショーツ、サンダル、ソックスを、カバンのカラーと同じ黒で全て統一することで、ショーツスタイルながらも上品さとおしゃれ度がアップ。

ブラックのボトムスに対して今年トレンドの柔らかい印象になるくすみカラーがおすすめ。今回は、爽やかになりながらも軽さのあるグリーン系をチョイスしています。これひとつで上品で爽やかな印象になるので、ビジネスによりがちなブラックのカバンと合わせても違和感はありません。

どれも違和感はありませんが、ちょっとずつ印象が異なります。

>>MILESTO

(取材・文/澤村尚徳<&GP> 写真/恩田拓治 スタイリング/宇田川雄一)

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