オンとオフの境目が曖昧になったこともあり、活躍の幅がグッと広がったスポーツウオッチ。多少荒っぽく扱ってもビクともしない耐久性、そして普段着に馴染む質実剛健な見た目とが相まって、高い人気を誇るジャンルだ。それゆえ、「どこで何を選ぶか」が重要となる。
その選択肢として最有力となるのが、数々の革新的な腕時計を開発し続けるジャパンブランド、CITIZEN(シチズン)の「PROMASTER(プロマスター)」だろう。
■実績を積み重ねて35年。陸・海・空のプロフェッショナルに支持される実用時計とは
プロマスターは、陸・海・空それぞれの専門分野で求められる機能性を持ったプロフェッショナルスポーツウオッチだ。過酷な環境にも耐えうる信頼性は、アクティブシーンに限らず日常でも有用であり、今やシチズンを代表するブランドのひとつとなっている。
なお、プロマスターは2024年でブランド誕生から35周年を迎えた。これは、数多くのユーザーに長く愛されてきたことの何よりの証明である。
■豊富なラインナップを誇る「シチズン プロマスター」の中でも“間違いない”3本をピックアップ!
長きにわたって続いてきたブランドゆえ、そのラインナップは多岐にわたる。そこで、本稿では陸・海・空それぞれに代表される、売れ筋モデルをピックアップ。趣の異なる3本ゆえ、選び抜くのは困難を極めるだろう。しかし、こと時計選びにおいては、“迷う時間”すらも愛おしい。
【1本目】シチズンダイバーズの信頼性を裏付ける1本。唯一無二の逸話を持つ名機をモチーフにした「NB6021-17E」
季節やシーンを問わず、高い人気を誇るダイバーズウオッチは、まさに一大ジャンルとなった。
その中でも、「メカニカルダイバー200m NB6021-17E」は、プロマスターのラインナップにおいて特に人気の高いモデルだ。その人気の理由を探る上で、まず触れておかなければならない逸話がある。
本モデルは、1977年に登場した「チャレンジダイバー」を基にしている。当時としては優秀だった150mの防水性能をはじめ、回転ベゼルやねじ込み式りゅうずなどを搭載し、多くのダイバー達に愛されたモデルだ。
そして1983年、オーストラリアのロングリーフビーチで1本のチャレンジダイバーが発見された。本体はフジツボに覆われていたが、驚くべきことに、その時計は壊れることなく時を刻み続けていたのである。
この出来事をきっかけに、“フジツボダイバー”の愛称で呼ばれるようになり、シチズンの技術力を象徴するエピソードとして、今なお語り継がれている。
そんな歴史的名品のデザインを踏襲しつつ、素材や機能を現代版にアップデートしたのが本作。
41mmのケースサイズ、すり鉢状の回転式ベゼル、格子状のウレタンバンドなど、オリジナルの雰囲気を色濃く残しつつ、素材はステンレスからチタンへと変更されている。しかも、使用されているのは傷に強いスーパーチタニウム。かつての名作が、現代の技術によって、軽くて頑丈な1本へと生まれ変わったのである。
▲精悍な“黒ダイバーズ”がカジュアルな装いに男らしさをプラス
ダイヤル、ベゼルともに黒で統一したシックなデザインは、アクティブシーンのみならず普段着とも抜群の相性を誇る。
たとえば、フーディにデニムジャケットといった定番スタイルにダイバーズの力強さとシックなブラックカラーが加わることで、カジュアルなコーディネートがグッと引き締まるのだ。
デニムジャケット 3万8500円/ハバノス(HEMT PR)、スウェットパーカー 1万5400円/チャンピオン(チャンピオン ブランドハウス シブヤ トウキョウ)
本モデルは、200m潜水用防水、逆回転防止ベゼル、ねじロックりゅうず、夜光と、ISO規格に準拠した正真正銘のダイバーズウオッチである。
また、2種耐磁をクリアしていることも特筆に値する。磁力に弱い腕時計は基本的にスマホとの相性が悪い。しかし、本モデルは磁界を発生する機器に1cmまで近づけても、ほとんどの場合、その性能維持することが可能。そのため、写真のように腕時計を着けたままスマホを操作しても問題ない。
しっかり語れて、なおかつ現代のスタイルに合った機能やデザインを兼ね備えた「メカニカルダイバー200m NB6021-17E」、ぜひチェックしてほしい。
【2本目】見た目、機能ともに抜群の実用性を誇るフィールドウオッチ「AT6080-53L」
シンプルながら、ハードなアウトドアアクティビティにうってつけな機能性を有する「エコ・ドライブ電波時計 AT6080-53L」は、ひと言でいえば“究極の実用時計”だ。
その理由としてまず挙げたいのが、“光発電エコ・ドライブ”の存在。これは、室内のわずかな光を電気に変え、時計を動かし続けるシチズン独自の技術だ。定期的な電池交換の必要がなく、一度フル充電してしまえば、駆動時間はなんと約1年(パワーセーブ作動時)に達する。
さらに、10万年に1秒の誤差といわれる原子時計をもとに送信される標準電波を受信し、日本全国どこにいても自動で時刻やカレンダーを修正してくれるのもうれしいポイントだ。
夜光を施したインデックスと時分針はシンプルで見やすく、曜日と日付が並ぶカレンダー表示も実用的。ちなみに曜日は、「月、火、水…」と日本語表記に変えることも可能だ。
本モデルは2007年に発売して以降、実に17年もの間、大きなデザイン変更は行われていない。それにも関わらず売れ続けているというのは、いかにこのモデルが“完成”されているかが窺える。
なお、素材には、先述のダイバーズ同様、軽くて傷に強いスーパーチタニウムが採用されている。さらに、フィールドウオッチの代表的機能として注目すべきは、時間のズレを引き起こす外的要因を防ぐ「パーフェックス」だ。
具体的には、ぶつけた際に針のズレを防ぐ「衝撃検知機能」、磁気の影響を防ぐ「JIS1種耐磁」、そして一定時間ごとに針の位置を検出し自動で補正する「針自動補正機能」の3つを備えている。さらに、20気圧防水も搭載しており、どんなシーンでも信頼できる一品だ。
▲本格的な機能を備えながら、ジャケットスタイルにも馴染む万能な1本
冒頭で述べたように、ここ数年でオンとオフがシームレスになり、特にビジネスシーンにおけるカジュアル化が進んでいる。
しかしながら、本作のような上品かつクラシカルなアナログ時計をひとつ持っていれば、あらゆる物事や価値観が加速度的に変化する時代においても、ブレることなく持ち主に寄り添い続けてくれるだろう。
ツイードジャケット 5万9400円/コノロジカ(HEMT PR)、インナー 2万900円/キクス ドキュメント.(HEMT PR)
このモデルには“フィットアジャスター”機能が搭載されており、中留のボタンを押しながらコマをスライドさせることで、約7mmの長さ調整が可能だ。
真冬のアウトドアシーンでは、インナーと手袋のわずかな隙間を埋めるため、インナーの上から時計を装着することも多い。そんなときでも、コマを詰める手間なく快適に身につけられるのは、「AT6080-53L」がフィールドウオッチであることの何よりの証明だ。
【3本目】旅への意欲と想像力をかき立てるダイヤル構造に注目したい「BY3006-53H」
航空計算尺や複雑なダイヤル構造など、コクピットを思わせるメカニカルな佇まいが男心をくすぐる「エコ・ドライブ電波時計 ジオ・トレッカー BY3006-53H」。
リアルなパイロットでない限りは、おおよそ使うことはない機能も存在するが、そこに“ある”ことこそが重要であり、ロマンを感じさせてくれるのだ。
本作で特に注目すべきは、6時位置のサブダイヤルに配置された「UTC円板針」だ。UTCは「協定世界時」のことで、世界中の標準時間であり、時差の基準となる時間でもある。ダイヤル内では三角マークでUTCを示されており、1日をかけてゆっくりと一周する「UTC円板針」と、円板外周のリングと組み合わせることで、北半球の大まかな時刻が読み取れる仕組みだ。
さらに、各都市表記や円板の数字には、古地図や航空図に使われるフォントを採用。これにより、世界の開拓が進んだ1600年代の雰囲気を持たせつつ、航空計算尺とは異なるフォントで視認性を高めている。
シースルーバックでない限り、裏蓋をじっくり見る機会は少ないかもしれない。しかし、本モデルは北半球の地図がデザインされていることも相まって、特別感が一層際立っている。
▲重厚感溢れるパイロットウオッチが無骨なミリタリースタイルを格上げする
ケースはヘアラインを活かしてマットに仕上げつつ、ベゼルの斜面やプッシュボタンガードにはミラー仕上げを施すことで、上品さも垣間見える絶妙なプロポーションを実現している。
ミリタリースタイルと合わせて男らしさを強調するも良し、あるいはジャケットなどのきれいなスタイルにも違和感なく合わせられるだろう。
フライトジャケット 4万6200円、デニムシャツ 4万6200円、ファティーグパンツ 2万6400円/すべてハバノス(HEMT PR)
今回ラインナップされた腕時計の中では最も大きい46mmのケースサイズを誇る本モデル。
判読性を高めたがゆえのサイズ感だが、厚みは先程のフィールドウオッチとほぼ同等レベルの11.5mm。重さも軽減されており、大ぶりな見た目とは裏腹に、高い着用感が味わえる。
■各領域で確固たる地位を築き上げたアクティブな1本を新たな相棒に
実に35年もの間、各領域のプロフェッショナルたちを支え続けてきたプロマスターから、選りすぐりの3モデルを紹介してきた。
我々の内なる冒険心を刺激し、日常に彩りをもたらすタイムピースは、先行きの見えない現代においても、変わらず寄り添い続けてくれるだろう。そんな愛すべき1本を、プロマスターで手に入れよう。
* * *
■今回紹介した「シチズン プロマスター」のレビュー動画をチェック!
シチズンの公式You Tubeチャンネルでは、今回紹介した3本にフィーチャーしたオリジナル動画を公開中! &GP編集部の時計担当が、記事では伝えきれない各モデルの特徴を掘り下げてご紹介。
<取材・文/若澤 創 写真/村本祥一 スタイリング/近澤一雅>