一年を締めくくるこの季節。自分へのご褒美に「腕時計」を選んでみてはいかがでしょうか。なぜなら、腕時計は時間を共に刻むパートナーであり、手に取るたびに自分を高め、前向きな気持ちにさせてくれる存在だから。
決して安価ではありませんが、今年の自分をねぎらうと同時に、「来年こそは」と勢いをつける意味でも、“本物”と称される1本を手に入れるのにこれ以上ないタイミングといえます。
■頑張った自分へのご褒美に腕時計を。狙うべきは、信頼できる日本ブランド「セイコー」一択だ
となると、その本物の1本を「どこで手に入れるべきか」と悩むところですが、ご安心を。私達には、日本を代表する時計ブランド「SEIKO(セイコー)」があります。140年以上の歴史を誇り、2024年には“SEIKO”の名を冠した腕時計が発売されてからちょうど100年という節目を迎えました。これは、長い歴史の中で培われた信頼と実績の証にほかなりません。
いつの時代もブレずに真摯に取り組む姿勢は、先行きが不透明な現代だからこそ見習いたいもの。その意志を宿す腕時計を身につけることで自身を鼓舞し、新たな一歩を踏み出すきっかけにも繋がるはずです。
■これぞ究極の選択!? 精悍なプロスペックスか、それとも伝統のキングセイコーか
さて、ブランドが決まったところで、次は「何を選ぶか」というフェーズに移りましょう。先述のとおり、セイコーは長い歴史を誇るブランドだけに、そのラインナップは多岐にわたります。そこで提案したいのが、異なる魅力を持つ2つのシリーズ、「プロスペックス」と「キングセイコー」です。
1965年に日本初のダイバーズウオッチを発売して以来、技術開発の集大成ともいえる高品質で高耐久な時計を手がけてきた「プロスペックス」。対するは、1961年に誕生し、グランドセイコーとともに国産腕時計の進化を牽引、そして2022年には待望の復活を遂げた「キングセイコー」です。
どちらも時代を超えて愛される“永世定番”が揃うシリーズですが、今回はそれぞれから注目すべき珠玉の腕時計を3本ずつピックアップ。すべてが機械式で、メンテナンス次第では永く使える点も大きな魅力です。
【1本目】迷ったらこれ。歴史的な名作に現代のスペックを搭載したセイコーダイバーズの“新定番”
「SBEJ009」は、セイコーがダイバーズウオッチにおける技術力を世界に示した「1968 ダイバーズ」のデザインを踏襲。
当時としては非常に優れた性能である300m防水を備え、多くのダイバーから高い支持を得た、セイコーダイバーズの中でも特に傑作と名高い歴史的な1本です。
そんな名品に、現代のスペックを施したのが本作です。特筆すべきは、キャリバー6R54を搭載していること。
約72時間というタフなパワーリザーブを誇るだけでなく、GMT機能も備えた高機能なムーブメントです。GMT針(24時間針)は独立設定可能なため、第二時間帯の設定も簡単に行えます。
▲味わい深いグリーンダイヤルが装いを格上げする
本作はカジュアルだけでなく、きれいめな着こなしとも好相性。ポリッシュとサテンで細かく仕上げ分けされたケースや、光沢感のあるセラミックスベゼルでラグジュアリーに仕上げつつ、深みのあるグリーンダイヤルが上品さに拍車をかけています。
機能・デザインともに隙のない1本ゆえ、迷ったらこちらをチョイスすることをおすすめします。
ジャケット 9万7900円、パンツ 4万9500円/ともにラファーヴォラ(ラファーヴォラ)、シャツ 4万1800円/グッドネイバーズシャツ(ユナイト ナイン)、ニット 8万1400円/ヘリル(にしのや)
【2本目】キングセイコー史に名を残す“最重要級”モデルがモダンに進化
「SDKA017」は、1969年に誕生し、その後のキングセイコーのデザインに影響を与えたとされるエポックメイキングなモデルを踏襲した1本です。
これまでの直線を基調とするデザインから一転、ラグを一体化させ、丸みを帯びたケースデザインにすることで、よりエレガントな佇まいに昇華しました。
腕時計において「薄さ」は、着用感に繋がる重要な要素。本モデルはセイコーの現行機種で最も薄い自動巻きムーブメント「キャリバー6L35」を採用し、ケース厚9.9mmという圧倒的な薄さを実現しています。
また、ケースの曲面に鏡面仕上げを施し、さらに新設計の多列ブレスレットを採用することで、優美なスタイルをいっそう際立たせています。
▲手元に貫禄と品格をもたらす絶妙な曲線美
完成形たる堂々とした顔つきの本モデルには、写真のようなシンプルで上品なスタイルを合わせたくなります。
ベージュやネイビーといった落ち着きのある色を選ぶことで、「SDKA017」の上質さがより引き立つでしょう。
コート 55万円/ヘリル(にしのや)、ニット 7万9200円/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー)、シャツ 2万7500円/グッドネイバーズシャツ(ユナイト ナイン)、パンツ 4万9500円/ニート(にしのや)、その他スタイリスト私物
【3本目】普遍的な価値を腕元に宿す。現代に蘇る“初代”セイコーダイバーズ
本作は、1965年に誕生した国産初のダイバーズウオッチのデザインを踏襲し、現代技術でアップデートを施したもの。300mの空気潜水用防水性能を備えており、空気潜水用ダイバーズウオッチとしては、セイコーの最高スペックにあたる防水性を誇ります。
また、搭載されたキャリバー「6R55」は最長3日間(約72時間)のパワーリザーブを実現しており、耐久性と信頼性を兼ね備えた実用的なモデルです。
オリジナルモデルでは3時位置にあった日付窓を、本モデルでは4時と5時位置に配置することで、3時位置にフルサイズのインデックスをレイアウト。現代のISO規格に準拠しつつ、より精悍な顔つきにアップデートされています。
▲軽快な重ね着スタイルに精悍さを加える硬派な佇まいが魅力
ブラックとシルバーで構成された王道かつ硬派なダイバーズウオッチは、彩り豊かな冬のレイヤードスタイルを精悍に引き締めてくれます。
さらに、40mmという絶妙なサイズ感に加え、しなやかに動く短いピッチのコマを採用した新開発のブレスレットにより、抜群の着用感を実現しています。
カバーオール 4万6200円/イル ワンエイティ(ユナイト ナイン)、スウェット 2万900円、Tシャツ 1万1330円/ともにレミ レリーフ(ユナイト ナイン)、デニムパンツ 1万6500円/ラングラー(エドウイン・カスタマーサービス)
【4本目】ブランド誕生の地をダイヤルに落とし込んだ“縁起物”
1961年、東京・亀戸の「第二精工舎」で誕生したキングセイコー。本モデルは、生誕の地である亀戸周辺の“美”をダイヤルで表現しています。
それは、「歴史と未来が交錯する東京で、変わらず愛され続けるものを創り出す」というキングセイコーの信念を体現しているといっても過言ではありません。
キングセイコーが誕生した「亀戸」の名にちなみ、長寿を象徴する「亀」に由来する吉祥文様「亀甲文」を取り入れたデザインが、本モデルの特徴です。
甲羅を模したこの模様と、隅田川の深い青から着想を得たカラーが絶妙に調和し、ブランドのルーツである亀戸の美しさを体現する1本に仕上がっています。
▲“深みブルー”のダイヤルがシックな装いに映える
冬の着こなしはどうしても重たくなりがちですが、そんなときこそ腕時計の出番。亀甲文の型打模様と美しいグラデーションが、重厚感のあるレザージャケットの差し色として機能し、スタイル全体にアクセントを添えながら抜群の相性を見せています。
レザーブルゾン 12万1000円/アルマ(トレメッツォ)、デニムジャケット 3万6300円/レミ レリーフ(ユナイト ナイン)、タートルネック 4万9500円/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー)、パンツ 4万9500円/ニート(にしのや)
【5本目】セイコーダイバーズの最高峰。新開発のムーブメントを搭載した“最薄”モデル
本モデルは、セイコーダイバーズの中でも特にデザインと仕上げにこだわったフラッグシップシリーズ「マリンマスター」に属する1本です。
ケースとブレスレットには、鏡面とヘアラインの仕上げを巧みに組み合わせ、高級感を演出。さらに、裏ぶたはダイバーズでは珍しいシースルーバック仕様となっており、所有する喜びを高める工夫が随所に見られます。
また、本作を語る上で欠かせないのがムーブメントの存在です。搭載されたメカニカルキャリバー「6L37」は、ダイバーズ用に開発された薄型で耐衝撃性の高いムーブメント。そのため、高い防水性はそのままに、セイコーダイバーズの中でも最薄となるケース厚12.3mmを実現しています。
▲冬の白コーデに溶け込むエレガントなダイバーズ
全体的にラグジュアリーな雰囲気を持つ「SBEN007」は、白を基調とした上品なカジュアルスタイルと絶妙なマリアージュを見せます。
また、太い直線と細い直線を組み合わせ、繰り返し打ち寄せる波を再現した鮮やかなライトブルーのダイヤルが、着こなしに清涼感を加えているのもポイントです。
ブルゾン 10万4500円/アルマ(トレメッツォ)、フリース 1万6280円/レミ レリーフ(ユナイト ナイン)、パンツ 2万2000円/グラミチ(インス)
【6本目】伝統×トレンドの融合。約36mmの小径ウオッチが手元を控えめに主張する
キングセイコーの中で、ある種の“最適解”を導き出したモデルが、1965年に発売された「KSK」と呼ばれる2代目キングセイコーです。
本作は、そのKSKからインスピレーションを受けつつ、高い防水性や約72時間のパワーリザーブといった現代的なエッセンスを加えたモデル。また、ケースは約36mmという小径サイズに仕上がっており、日本人の腕にマッチする腕時計といえるでしょう。
メタルブレスレットには、工具を使わずに簡単に交換できるダブルレバー式の着脱機構を採用しています。
別売りのレザーストラップと組み合わせることで、カジュアルからフォーマルまで、コーディネートの幅がさらに広がります。好みに合わせて最適な組み合わせを見つける楽しさも、本モデルの魅力のひとつです。
▲都会派アウトドアスタイルに馴染む洒脱なダイヤルカラー
キングセイコーが誕生した60年代は、まさにアイビールック全盛期でした。そのため、ダイヤルは“アイビーグリーン”を採用し、洒脱に仕上げています。
ブレザーも良いですが、腕馴染みの良さを活かし、高機能ジャケットとコートを組み合わせたアーバンアウトドアスタイルに取り入れるのも大いにアリ。
コート 10万7800円/タンジェント(タンジェント)、シェルジャケット 3万5200円/マーモット(サードシップ)、パンツ 5万2800円/ニート(にしのや)
■これまでの、そしてこれからの自分へ。セイコーのプレミアムな1本をプレゼントしよう
さて、いかがだったでしょうか。腕時計は、日々の生活を共にする大切な存在。今回ピックアップした腕時計はいずれも、歴史と技術が融合した「本物」として、あなたの手元で新たな時を刻み始めることでしょう。
今年の締めくくりに、そして自分へのご褒美として、腕時計選びに“時間”を費やすのもまた、一興です。
※掲載商品の価格はすべて税込み
>> 「プロスペックス」
>> 「キングセイコー」
<取材・文/若澤 創 写真/村本祥一 スタイリング/井上裕介>