価格の高い安いに関わらず、手にする理由を与えてくれるプロダクト。それこそが愛用品になるのではないか。世界にはそんな愛用品にふさわしい名プロダクトが存在する。それらを手にし、充実した生活を送る一人のビジネスマンがいる。彼の金曜から週末にかけての様子を追いかけてみよう。
そもそも彼は、それほどモノにこだわりがあるタイプではない。しかし一度気に入ったらずっと使い続ける性分だ。なぜ同じモノを使い続けるのか。そこには機能性やデザイン、歴史と革新性などさまざまな、手にする “理由” があった――。
■ビジネスの相棒に相応しい「ラミー」
▼11月11日(金)07:43 自宅書斎
僕が愛用している筆記具はラミー。5年前、ふとしたことから万年筆を購入し、その魅力にどっぷりとハマってしまった。超高級品というわけじゃないけど、存在感があって、何よりすごく書きやすい。まさに “ドイツプロダクト” というところが気に入っている。だからその後は、1年に1本、自分へのプレゼントとして買い続けてきた。
出勤時には、そんなラミーの中から1本を選んで持っていくことに決めている。どれにするかはその日の仕事内容や気分次第。今日は大事な商談があるから「Lamy Lx(ラミー ルクス)」を持っていこう。以前、大きな契約をまとめたときにこれを持っていたからゲン担ぎってわけだ。勝負のときはいつもコレ!
▼11月11日(金)14:28 得意先への移動中
移動中でも、思い付いたことは手を動かしてメモするようにしている。スマホだと頭に残らないし、うまくまとめられないけど、なぜか万年筆だとアイデアがスッと紙に落ちていく気がする。だから僕にとってラミーの万年筆は、常に身に付けている相棒のような存在だ。
ラミーはビジネスシーンにマッチする。今日選んだ「LAMY Lx」も、高級感のあるアルミ素材とメタルパーツの組み合わせで、スーツに良く似合う。得意先にもデキる男をさりげなくアピールできるんじゃないか、なんて考えている。
デザインだけじゃなく書き心地も、ラミーの万年筆が好きな理由だ。「LAMY Lx」のペン先はやや硬く、どちらかといえばカリカリとした書き味。でもそれが僕にはとても心地良くて、ペンを立てても寝かせても、すらすら書けるところがお気に入りだ。
もちろん使うノートにもこだわっている。万年筆のインクが裏写りせず、そして表紙が硬いノートを使っている。これなら立ったままでも書きやすい。ラミーの万年筆とこのノートは相性が良く、移動中のメモに大活躍してくれる。
▼Overview of “LAMY”
ラミーは1930年、ドイツのハイデルベルグで創業した。ブランドとしてのラミーは1952年にスタートしている。人間工学に基づく実用性と美しさを追求したシンプルなデザインは、世界中の幅広い世代から支持されている。プロダクトはすべてドイツ国内の自社工場で生産。バウハウス哲学のもと、高品質・高デザインでありながら普段使いに最適な筆記具を数多く手掛ける。
(写真上から)
「LAMY noto ボールペン」(2160円)
深澤直人がデザイン。ボディとクリップが一体となった丸みのある三角形状で手に馴染む。
「LAMY 2000 万年筆」(3万2400円)
世界的に著名なゲルト・アルフレッド・ミュラーがデザインし1966年に誕生。バウハウスのDNAを受け継ぐラミーデザインの原点として、現在も絶大な人気を誇るブランド代表モデル。
「LAMY Lx 万年筆」(8640円)
10月に発売した新作。アルミボディとメタルパーツの組み合わせが特徴。ペンと同色のアルミニウムケースが付属し、ギフトにも最適な1本。
「LAMY scala スカラステンレス 万年筆」(2万1600円)
木目のようなヘアラインとクローム仕上げのパーツが絶妙にマッチ。内部はオールステンレス製と、金属の異なる質感が楽しめる。
「LAMY safari 万年筆」(4320円)
軽くて丈夫な樹脂製ボディで、鮮やかなカラーリングと手ごろな価格で非常に人気が高い定番品。
>> LAMY
■オン/オフ問わず愛用できる「タイメックス」
▼11月12日(土)06:58 自宅書斎
タイメックスの腕時計も、僕のお気に入りの一つだ。このブランドを初めて知ったのは、レンタルして観た映画『7月4日に生まれて』。トム・クルーズが着けているタイメックス「サファリ」に一目惚れ。当時、すでに生産が終わっていて、探しまわってようやく見つけたときはとにかくうれしかった。それ以来、手軽に買える価格ながら、オン・オフ問わずどんなシーンにも合うラインナップなので、気付けばタイメックスを何本も持つようになっていた。
今日は、趣味である低山ハイクへ。昨日まで仕事用に着けていた3針モデルではなく、アウトドアにも似合う「Weekender Vintage Small Second」を連れて行こう。
▼11月12日(土)10:32 山梨県大菩薩峠登山道
最近のアウトドアウオッチはデジタルが主流だ。GPSや高度計が付いていて高機能なんだけど、個人的にはやっぱりアナログのほうが落ち着く。もちろん道に迷ったときに方位を測りやすいというのもあるけれど、何よりもパッと見てすぐに時刻が把握できるのがいい。
タイメックスは文字盤がシンプルで視認性が高く、特にこの「Weekender Vintage Small Second」は、ブラウンを基調とした落ち着いたデザインが気に入っている。手に馴染むレザーベルトも好きだし、ビンテージ感のあるレトロな雰囲気だから、僕のマウンテンパーカとも相性抜群。ミリタリー由来のタフな作りのタイメックスは、アウトドアシーンにも最適だ。
▼11月12日(土)11:25 山梨県大菩薩峠尾根近く
昼食用に持ってきたサンドイッチを食べたあとは、お湯を沸かしてコーヒーを飲むのがいつものスタイル。山で飲む淹れたてのコーヒーは何でこんなに美味しいんだろう。お気に入りの道具と自然に囲まれて過ごす休日は、僕にとって大切なひととき。毎日の疲れが癒される。
▼Overview of “TIMEX”
160年以上の歴史を持つタイメックスは、創業以来アメリカに本拠を構える世界屈指の時計メーカーだ。懐中時計の製造に始まり、軍用時計の生産を経て、スポーツ・カジュアルウオッチが広く知られることに。ウォルト・ディズニーとライセンス契約を結び、1933年に世界初の「ミッキーマウス・ウォッチ」を手がけたのもタイメックスだ。また1992年には、世界で初めて文字盤全面が発光する“インディグロ®ナイトライト”を搭載した時計を発売するなど、革新機能と普遍的デザインにより絶大な支持を得ている。
(写真左から)
「Modern Easy Reader T2N338」(1万1880円)
視認性を高めたシンプルな3針モデル。上品なルックスでビジネスシーンにも活躍する。
「Waterbury Classic TW2P95900」(2万1600円)
ブランド創業の地を名に冠したコレクションの新作。人気シューズブランド、レッドウイングの子会社である米S.B.Foot社製レザーベルトを採用。
「Weekender Vintage Small Second TW2P86800」(1万7280円)
ビンテージ加工のレザーストラップを搭載。1917年に開発された最初期の米国軍用モデルをベースに、当時のスモールセコンドとダイアルの色合いを再現している。
「Safari 復刻版」(1万5120円)
1980年代末に発売され、空前の大ヒットを記録した3針クオーツモデルを復刻。当時と同じ工場でストラップを生産するなど、往年の名モデルを忠実に再現している。
「The Original Camper」(8964円)
ブランドの代表作「Camper」を、ベトナム戦争時に開発されたオリジナルの姿で復刻。手巻き式ムーブメントからクォーツになっているが、ドーム型のプラスチック風防や文字盤など、デザインは当時のモデルが忠実に再現されている。
>> TIMEX
■男の料理は「プラントゥイ」の採れたてハーブが隠し味
▼11月13日(日)18:31 自宅キッチン
日曜の夕食は僕の担当。毎日手料理を作ってくれる妻に代わって、休日くらいは僕が作らないとね。これが夫婦円満の秘訣かも。もちろん凝った料理はできないけれど、やる以上は美味しいものを作りたいと思っている。そのための秘密兵器が「プラントゥイ」だ。
「プラントゥイ」はLED付き水耕栽培器。たまたま寄ったインテリアショップで見かけて、思わず衝動買いしてしまった。でもコレのおかげで、決して上手じゃない僕の料理に、採れたて野菜の“フレッシュさ”という最高の味付けをプラスできる。毎日緑が育つ様子を見るのも意外と楽しいんだよね。
「プラントゥイ」を買ってからというもの、パスタを作ることが増えた。やっぱりもぎたてのハーブは風味も味も格別だから。ちょうど育てているバジルが食べ頃なので、今日はトマトとカッテージチーズを使ったパスタに挑戦。
ミニトマトとソーセージをオリーブオイルで炒めたシンプルなソースにパスタをからめ、最後にもぎたてのバジルを手で小さくちぎってフライパンに投入。あとは塩コショウで味を整え、カッテージチーズをのせたら完成だ! バジルの香りがふわっと立ちのぼる。もぎたてはやっぱり香りが違うんだ。
副菜には生野菜のサラダを用意。そして「プラントゥイ」も食卓へ。フレッシュなバジルはサラダにもぴったり。食べている最中もバジルを追加。もぎたてのバジルがあれば、僕の作ったパスタだって本格的なイタリアンに負けていない(はず)。いつものメニューにフレッシュさをプラスできる「プラントゥイ」は、男の料理に欠かせない。水耕栽培だからバジルを洗う必要がなく、手軽に使えるのもうれしいよね。
▼Overview of “plantui”
フィンランド生まれの室内専用のLED付き水耕栽培器「プラントゥイ」。植物の成長段階に合わせてLEDの色や強さが変化し、コンピュータ制御によって最適な水の供給を行うため、誰でも簡単に植物を栽培できる。インテリアに馴染むデザインで、間接照明としても◎。
使い方はいたって簡単。最初に種子の入った専用のプラントカプセルと、本体のウォーターボウルに水と栄養剤をセットするだけでOK。
写真の「Plantui 6」(5万1840円)は、最大6つのプラントカプセルをセットすることが可能。ウォーターボウルは3リットルの容量があるため数週間は水やりの必要がなく、また独自のイリゲーション(灌漑)システムを搭載しているため、水が腐ったり植物の根腐れを起こしたりする心配もない。給水のタイミングは、LEDが青色に点灯して知らせてくれるので安心だ。
専用の種子キットは、スイートバジルやイタリアンパセリ、スペアミントやタイムといった各種ハーブのほか、ルッコラなどの葉物野菜、ビオラ レモンブルーベリーなど食用花をラインナップしている。植物の種類によって栽培期間は異なるが、バジルなど早いものは約5〜8週間程度で収穫できる。
>> plantui
■愛用品に囲まれると、人生はもっと豊かになる
機能、デザイン、トレンドなど、モノ選びの基準は人それぞれ。しかし、イイと思って選んだモノが自分だけの道具として馴染んでいく喜びは何物にも代えがたい。仕事に使う文具から自宅のインテリアまで、お気に入りのプロダクトに囲まれた暮らしは、きっと人生を豊かにしてくれるはずだ。愛用品にふさわしい世界の名プロダクトを手にして、充実した日々を送りたい。
(取材・文/津田昌宏 写真/田口陽介 スタイリング/宇田川雄一)
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