「ルーロ」を使って分かったこと
「ルーロは、以前よりロボット掃除機に関心が高かった実家の母に使ってもらっています。私も週末に実家へ帰ることが多く、その働きぶりをチェックしていますよ」そう話す名越さんが何よりも驚いたのは、賢く動いて毎日きっちりと掃除することだ。
「ルーロには、充電台を置いたリビングを中心に掃除してもらっています。大きなテーブルや母が陣取る“こたつ”もあって、実家のリビングはルーロにとって障害物が多い部屋です。しかし、見事に部屋中をくまなく回ってきれいにしてくれます。特に感心したのが、充電台への戻り方。こたつと壁の間にある三角形の狭いスペースに充電台を置いているんですけど、掃除が終わると毎日スーッと戻ってきます。本当に賢いですね」
そんな“働き者”のルーロに対し、名越さんの母親は特別な愛着を感じ始めているとか。「母は掃除が苦手な人なんですが、自分の代わりに毎日掃除してくれるルーロを“同居人”のように見ています。『そっちじゃないよ』と話しかけたり、ルーロのことを“あの子”と呼んだりします。健気に働く姿はもちろんのこと、従来のロボット掃除機とは異なる、前方が“顔”のように見える三角形状が、生物的な印象を抱かせ、親しみを覚えるのでしょう」
そんな“生き物”のようなルーロに、名越さんは家電の新たな可能性を見出したようだ。
「母はルーロが動きやすいよう、自分から片付けをするようになりました。『あの子が頑張っているんだから、私も片付けないと』という気持ちになったようです。これは心理的にはいわゆる“ギルティ・フリー”の考え方に少し通じるかもしれません。掃除嫌いの人が一から掃除を始めるのは面倒に感じるし、そこまで散らかした自分に無力感を覚えるもの。でも、ルーロが掃除してくれ、自分がその手助けをしていると感じると、少し気分が楽になるわけです。家事を分担し、精神的にも良い影響を与えてくれるルーロは、新時代の家電だと思いますね」
ルーロの気になるポイントは?
名越さんが実際に「ルーロ」を使ってみる前に、気になっていたポイントは次の3点。
①“デッドスペース”もちゃんと掃除してくれる?
②途中で電源が切れることはないの?
③家族みんなが安心して使えるの?
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さて、実際にルーロを使った結果はどうだったのだろう?
①ベッド下にも潜り込む!
ルーロの高さは、わずは9.2cm。家具の下の隙間にも入りやすい。「リビングの隣にある私の寝室も毎日掃除してくれます。ベッドの下にもしっかり入るのには驚きました。人の手では掃除しにくい場所なので、とても助かりますよね」
②掃除が終わったら充電台に戻るのがエラい!
本体前面に備わるセンサーが充電台の位置を正確に検知。掃除終了後やバッテリー残量が少なくなった時、スムーズに充電台へ戻る。「私の実家ではこたつを迂回しながら狭いスペースにある充電台に戻るわけですから、本当に賢いですね」
③まるで生命体のよう。“ハウスダスト発見センサー”に親しみを感じる!
ルーロに感情移入する要因のひとつに“ハウスダスト発見センサー”を挙げる。「点灯色によって床の汚れ具合を知らせるのが本来の役割でしょうが、それがまるで感情を表しているように見えてとても愛着が湧きます」(赤点滅はハウスダストが多い時、きれいになったら緑点灯へ)
【結論】掃除するだけじゃない。ルーロは持ち主の精神にいい刺激を与えてくれる新しいパートナーです!
ルーロは賢く部屋を掃除するだけでなく、床にある障害物にぶつかるところを見せることで、結果的に部屋の片付けを自然と促してくれます。それを家族などにいわれると、実は少し押し付けがましく感じてしまう。ルーロは人とちょうどいい距離感を保ちながら、掃除の作業とメンタルの両面の負担をうまく軽減してくれる存在ではないかと思いました(名越さん)。
YASUFUMI NAKOSHI
精神科医 名越康文さん
1960年、奈良県生まれ。相愛大学、高野山大学客員教授。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて精神科救急病棟を設立し、’99年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビやラジオでのコメンテーター、映画評論、漫画分析など幅広い分野で活躍している
(文/高橋 智・写真/下城英悟)
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