提供:パナソニック
これまでも数々の限界に挑戦してきたパナソニックの「エボルタチャレンジ」。その模様はCMなどで目にしたことがある人も多いのではないだろうか。普段我々が使う乾電池にこれだけのパワーがあるのかと驚かされることの連続だが、先日、今年のチャレンジ内容が発表された。なんと今年の舞台は、北欧ノルウェーのフィヨルド。切り立った崖に張られたロープを1,000m登るというのだ。
今回のチャレンジ、もしかすると「なんかそんなの見た記憶があるかも」という人もいるかもしれない。
さかのぼること9年前。2008年の第1回チャレンジが、アメリカ・グランドキャニオンの断崖絶壁に張られたロープを、乾電池を動力源にしたロボットが登るという内容だったのだ。しかし、チャレンジすることが同じでも、その実は大きく異なる。なぜなら今回は、登る距離がほぼ倍、グランドキャニオンが530.4mだったのに対し、1,000mにもなるのだ。にも関わらず条件は同じ。我々も購入できる単3形乾電池2本のみが動力源となる。
電池の数は同じなのに、倍の距離なんて明らかに無謀。思わず心配になってしまうが、発表会で登壇したパナソニックの堀氏は自信の表情を見せた。
「9年ぶりの新商品。かなり気合いが入っています!」
そう、今回のチャレンジでは、新しい乾電池である「エボルタNEO」が投入されるのだ。
堀氏が「エボルタNEOは材料、工法、構造において3つの革新が行われています。それにより、パナソニック史上最も長もちする乾電池になりました」と話すとおり、9年の時を経て生まれ変わった新エボルタが使われるという。
そして、チャレンジャーも新たな挑戦に向けて生まれ変わった。グランドキャニオンで懸命にロープを登り続けた「エボルタくん」からバトンを受けるのは、弟の「エボルタNEOくん」だ。見た目はほとんど変わらないのだが、1,000mという倍の距離を登るためにあらゆる部分が刷新されているという。
開発者のロボットクリエーター・高橋智隆氏は「1,000mに耐えられることを目指し、耐久性、信頼性、省エネ性を重視しさまざまな改良を施した」と話す。
すでにチャレンジ場所の下見をしてきたという高橋氏。「よくこんな厳しいチャレンジを思いついたな、と思いましたよ。崖の上から下を見下ろすと、本当に果てしない気がしました。ワクワクするとともに大きなプレッシャーも感じています」というように、冬の時期に行った下見の写真を見ると、これは厳しいゾと思わざるをえないと感じた。
そしてこの発表会では、メインイベントとしてエボルタNEOくんが実際にロープを登るというデモンストレーションも行われた。会場となった東京駅前にあるKITTE marunouchi内の吹き抜けに垂らされたロープ。長さは本番の1/50となる20m。それを登るというのだ。
会場からは懸命に登る姿に、思わず「かわいい」の声が上がるが、関係者はおそらくヒヤヒヤだったかもしれない。本番の1/50の距離とはいえ、まだまだ開発段階。無事に登ってくれという想いは…
ここまで読んで、気になっている人は多いかもしれない。今回、KITTE marunouchiの吹き抜けを登ったのは、エボルタNEOくんだけではない。後ろから寄り添うように登る黒い物体があったのだ。
実はこれ、先端に360度カメラを付けた追跡撮影システムになる。チャレンジの様子はニコ生でライブ配信される予定だ。360度カメラなので、登り続けるエボルタNEOくんの様子だけでなく、崖の下や登る先、周囲の風景などを、PC上で自由に動かして遠く離れた日本から確認できるようになるという(PCのみ。スマホの場合はTwitter配信から確認可能)。本当に登っているのか、そして登れたのかは白日の下にさらされるわけだ。
果たしてこの無謀ともいえるチャレンジは成功するのか。新製品「エボルタNEO」のポテンシャルはいかに。
記念すべき10回目となるパナソニックのエボルタチャレンジは2017年7月上旬、ノルウェーのリーセフィヨルドにて行われる。
(取材・文/&GP編集部 円道秀和 写真/田口陽介)