【試乗】BMW初のミニバン、期待を裏切らない胸のすく走り! 2シリーズ グランツアラー

BMWの2シリーズ グランツアラーは、MINIのコンポーネンツを活用して誕生した5人乗り「2シリーズ アクティブツアラー」の、いわばストレッチ版。3列シート、7人乗りのモデルです。

駆動方式は当然、FF(前輪駆動)となるわけですが、フロントウインドウを強く寝かせることで、BMW一族らしい、ノーズの長さを演出しています。

全長4565(M Sport仕様は4570)×全幅1800×全高1645(M Sport仕様は1640)mmですから、日産「セレナ」やホンダ「オデッセイ」と比べ、やや短いサイズです。

ここで「350万円超のクルマを国産車と比較するなんて…」と感じる人もいるかもしれません。確かに車両本体価格だけを比べると、グランツアラーは相対的に高価なクルマですが、輸入車には珍しく(!?)標準装備が充実しているんです。

走行時の乱れた挙動を正すダイナミックコントロールはもちろん、車線逸脱警告や自動ブレーキといった安全装備をはじめ、リアビューカメラ、リモコンキー、8.8インチワイド液晶を用いたHDDナビ、そして、ダイヤルでさまざまな操作が行えるiDriveなどが元から付いているんです。

国産ミニバンも、上級グレードを選んでオプション装備を重ねていくと、思いのほか高価になってしまいます。そういう意味でグランツアラーは、決して“手が届かないクルマ”ではないでしょう。

BMWブランドとして初のFFモデルとなったアクティブツアラーも、その8割が従来、国産車や他ブランドのクルマ乗っていた新規のBMWユーザー。新たにグランツアラーが登場したことで、国産車からBMWへと流れるユーザー、けっこうな数になりそうです。

さて、欧州車のピープルムーバー(ミニバン)というと、かつてはその名のとおり“人員輸送車”といった趣きのクルマばかりでした。2シリーズ グランツアラーも、がっしりとした作りのシートを見るとその面影がありますが、一方で、荷室のスイッチひとつで畳める上に多彩なバリエーションを誇る3分割のセカンドシート、そこかしこに設けられたモノ入れやカップホルダーなどを見ると、ユーティリティの面で上を行く国産ミニバンを、子細に観察して作られたクルマであることがうかがえます。

ミニバンとはいえ、そこはBMW。やはり気になるのは走りですね。

今回試乗したのは、注目のクリーンディーゼルを搭載した218dのM Sport仕様。8速ATと組み合わされたディーゼルターボは、わずか1750回転から最大トルクの33.7kg-mを発生(最高出力は150馬力/4000回転)。よくいわれることですが、旧来のディーゼルエンジンのイメージを払拭する、スムーズかつ静かなユニット。スロットル操作に応じて太いトルクが湧き出てきます。NAエンジンをレッドゾーンまで回す爽快感とは違った、なんというか、粒の揃った回転フィールを愛でる喜びが感じられます。

足回りは、スポーティなセッティングとなるM Sport仕様なので、ちょっと硬め。もちろん、路面が悪くても、むやみに上体が揺すられるようなことはありません。

職業的なアラ探しをするならば、ステアリングを切りながらアクセルペダルを踏んでいくと「ステアリングにちょっと駆動力の干渉が伝わる」とか、FRモデルと比べると「路面からの入力をビシバシ跳ね返す胸厚な強靱が希薄気味」となりますが、それはあくまで相対的なハナシ。総じてスポーティで、BMWファンの期待を裏切らないドライブフィールを実現しています。

家族が増えた、とか、さまざまな理由で人がたくさん乗れるクルマが必要になった、という人で、かつ「でも、走りは譲れない」というクルマ好きやビマーの皆さん、新しい2シリーズ グランツアラーは、一度試してみる価値、大ありですよ!

<SPECIFICATIONS>
☆218i グランツアラー M Sport
ボディサイズ:L4570×W1800×H1640mm
車重:1610kg
駆動方式:FF
エンジン:1995cc 直列4気筒ディーゼルターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:150馬力/4000回転
最大トルク:33.7kg-m/1750〜2750回転
価格:426万円

(文&写真/ダン・アオキ)

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