レクサスは、トヨタのラグジュアリーブランドとして1989年に誕生し、北米市場をメインに展開。日本では2005年から販売がスタートしました。当初は、トヨタブランドとの差別化が難しく苦戦を強いられていたものの、レクサスブランドの現在のアイコン“スピンドルグリル”を採用した当たりから商品力が向上。さらに、日本人らしいきめ細かい“おもてなし”のサービスも、“J.D.パワー”が行う日本自動車サービス満足度調査において、10年連続でラグジュアリーブランド・セグメントのNo.1を獲得するなど、ここへ来てその存在を確固たるものにしています。
レクサスの母体であるトヨタは、そもそもマリン事業を展開していて、1997年からこれまでに、約900隻のボートを国内で販売しています。そのマリン事業が20年目を迎えるにあたり、これまで培ってきたノウハウを活用し、ライフスタイルブランドとしてオーナーに驚きと感動を提供するレクサスブランドの新しい提案のひとつとして、スポーツヨット・コンセプトは開発されました。
デザインは「これまでのレクサスのデザインフィロソフィーをプレジャーボートで具現した」とのことですが、これまで誰も見たことのない、まるでSF映画『スター・ウォーズ』などに登場する宇宙船のよう! 見方を変えると、シューズの型崩れを防ぐ“シューキーパー”のようにも見えますが、それはボディカラーのせいもあるかも。でもひと目見たら、思わず写真を撮りたくなるほど、スタイリッシュな艇であることは間違いありません。
サイズは全長12.7m、全幅3.86mで、オープンデッキ仕様の8名乗り。構造は、カーボン繊維に“インフュージョン成型”というハイブリッド加工を施して、高い剛性を確保するとともに、軽量化も実現しています。
そしてエンジンは、レクサス「LC」や「RC F」、「GS F」に採用される、自然吸気の5リッターV型8気筒を船舶用にチューニングしたものを2機搭載。合わせると、なんと10リッター! 900馬力を発生し、最高速度は43ノット(約80㎞/h)をマークします。
乗り込む際、フロア下に搭載されるこのエンジンの上、スケルトン仕様となった床上を通るのですが、エンジンがまるでオブジェのようで美しい!
そして、想像していたとおり、船内もすごい! 大きなリビングには、ぐるりと回りを囲むようにソファが設置されていましたが、実際に市販されるモデルでは、ここはベッドルームとしても使えるのだとか。
さらに、和紙をモチーフとした壁、モダンな木目の和テイストを採用したトイレ…と、細部まで抜かりはありません。
中でも一番の秘密は、正面の扉。これを開けると階段があり外へと出られるのですが、その仕掛けがまるで、からくり屋敷のよう!
一方、操舵席には、テスラなんて目じゃないほど大きな、タッチパネル式の24インチ液晶ディスプレイが搭載され、操縦に必要なスイッチ類はここに集約。また、ジョイスティックも用意されているので、離岸/着岸も楽に操作できます。
そんな中、私の心をつかんだのは、操船シート。真っ白で基本はひとり乗り。でも、サイドのひじ掛けを開き、その下の部分を引き上げると、最大3名掛けのシートに変身。
しかもこのシート、ひとり掛け状態の時には、まるで映画『スター・ウォーズ』に出てくる「ストームトルーパー」のようなルックスなのです!
さて、このレクサスのスポーツヨット、実際に販売されるとしたら、3~4億円くらいになるとの予想。しかし、今回試乗した艇はコンセプトモデルだけに、10億円くらいかかっているのだとか!? 実際に手に入れられる幸運なオーナーには、きっとレクサスならではの驚きと感動が待っていることでしょう。
(文/吉田由美 写真/山田真人)
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