■職人技の活きる銅のおろし金はロングセラー商品
大矢製作所は、昭和3年創業のおろし金製造の老舗です。そもそも、銅のおろし金は江戸時代から受け継がれてきた道具で、関東で銅のおろし金を作っているのは2軒しかなく、そのうちの1軒がこの大矢製作所だそうです。
すずメッキを施した硬質な純銅の板に、たがねと呼ばれる道具と金づちを使って、ていねいに歯を立てていくのがこのおろし金の特長です。これらの作業はすべて手作業で行われており、だからこそ手元に届くのにこれだけ時間がかかったんですね。
今回、購入したのは両面タイプの4番です。サイズは全長22.5×幅13cmで、重さは320gあります。手にした感じはやはりずっしりと重みがあり、これまで使っていたプラスチック製とはまったく違います。
■大根のすりおろしかかる労力が大きく軽減
さっそく、このおろし金の実力を図るべく、大根をすりおろしてみます。普段はボウルの上で大根をするのですが、このタイプのものはまな板やバットなど平らな場所で使ったほうが、おろし金が安定するそう。
利き手に大根を持ってすりおろしてみると、ひと摺りの感覚が比較的広い印象。しかし、大根をあまり強く握らなくても、するすると削れる印象があります。おろし金自体に重みがあるので、おろし金自体をバットの淵に固定すれば、手を添えるような感覚できちんとすれます。
それもそのはず、一見すると刃が同じ方向を向いているように見えますが、実は間隔や高さがわざと不揃いになっており、大根を回転させなくても軽い力でおろせるようになっているのです。
こちらが完成した大根おろしです。普段食べているものと比べると、大根と水分がきれいにまとまっているように見えます。実際、翌日まで置いてみたところ、大根と水分はほとんど分離しておらず、翌日でもおいしく食べられました。
じゃこと一緒に食べてみると、やはり口当たりがなめらか! 大根自体に水分がしっかりと含まれていて、大根おろしが“脇役”ではなく“主役”になっている感じがします。全体的にふわふわしているので、出し巻き卵や焼き魚の添えて食べるのはもちろん、みぞれ鍋にしたときに、よりいっそう大根のふわふわした食感を楽しめそうです。大根以外にも、りんごのすりおろしにも使えます。