吉田由美の眼☆ランボルギーニ“世界最速”の称号の陰に日本の技術あり!

現在“ニュル最速”の称号を持っているのは、ランボルギーニ「ウラカン」のハイスペックバージョン「ウラカン ペルフォルマンテ」。それまでトップに君臨していたポルシェ「918スパイダー」の記録を3年ぶりに塗り替え、6分52秒01という量産車としては史上最速のタイムをマークしました。

ウラカン ペルフォルマンテが初公開されたのは、2017年3月のジュネーブモーターショー。私もお披露目の場にいたのですが、見るからに速そうなオーラが漂っていました。

ウラカン ペルフォルマンテの速さを実現させたひとつの要因は、レジンの母材に炭素を埋め込んだ革新素材“フォージドコンポジット”。驚異的な剛性をキープしながら、従来のカーボンファイバーでは不可能だった、軽量構造の維持と複雑なデザインの再現も実現しています。

フォージドコンポジットは、フロント&リアスポイラー、エンジンフード、リアバンパー、ディフューザー、さらには、インテリアのエアベント、シフトパドル、ドアハンドル、センターコンソールなどに採用され、トータルで40㎏の車重削減に成功。併せて、二酸化炭素排出量の削減にも貢献しています。

そして注目したいのは、実はこのフォージドコンポジット技術が、日本の合成繊維・合成樹脂メーカーの三菱レイヨンと共同開発されたものという点。2016年に日本で開催された、ランボルギーニ創業者・フェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年を祝う「ランボルギーニ・ディ」の際に、ランボルギーニは三菱レイヨンとの共同開発を発表していましたが、その成果が早速、世に送り出されました。

元々ランボルギーニは、車体の軽量化に着目。1983年の「カウンタック プロトタイプ」にカーボンファイバー素材を採用して以降、「ディアブロ」(1990年)、「ムルシエラゴ」(2001年)、「ガヤルド スパイダー」(2005年)、「セスト エレメント」(2010年)、「アヴェンタドール」(2011年)、「ウラカン クーペ」(2014年)に同素材を導入し、各モデルの速さと魅力を支えるコア技術としてきました。そして今回、三菱レイヨンとのタッグにより完成した最新の軽量化素材で、世界最高速を記録するまでに至ったのです。

“エアロダイナミクス・ランボルギーニ・アッティーヴァ(ALA)”や、“ランボルギーニ・ピアッタフォルマ・イネルツィアーレ(LPI)”など、ウラカン ペルフォルマンテの“世界最速”を支える技術はほかにもたくさんありますが、その中のひとつに日本の技術あるというのは、とてもうれしく、誇らしいことですね。今まで以上に、ランボルギーニを身近に感じられました。

(文/吉田由美 写真/吉田由美、Automobili Lamborghini S.p.A.)


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