大同電鍋は、2018年に創業100周年を迎える台湾で最古の電機メーカー、大同公司から発売されている調理器具。1960年に誕生し、現在までに累計約1500万台を売り上げているという、台湾を代表する大ロングセラー商品です。
「当初は日本在住の華僑や留学生の需要を狙って、日本での販売を開始しました。ですが、実際には購入者の9割以上が日本人。日本の家電にはない、レトロな雰囲気に魅かれる方も多いようです」と話すのは、大同公司の日本法人、大同日本の簡智賢さんと鄒宗佑さん。
発売以来60年近く、ほとんど見た目も機能も変わっていないというこの電鍋には、どことなく昔懐かしい雰囲気が漂います。本来は炊飯器として売り出されたものなのですが、ご飯を炊くだけにとどまらず、さまざまな料理に使用するのが台湾流。
「電鍋を使って、饅頭や小籠包を蒸したり、スープを作ったり、電子レンジ代わりに料理の温めや解凍を行ったりする人も多いんですよ」(簡さん・鄒さん)
使い方は超カンタンで、外釜に水、内釜に材料を入れて、レバースイッチを下に下げるだけ。外釜に入れた水が熱されて水蒸気になることで炊いたり、煮たり、蒸したりできる仕組みになっています。
外釜の水がなくなると自然に電源オフ。だから空炊きの心配はナシ。長時間煮込みたいときは水をたくさん入れる、短時間にしたいときは水を少しだけに、と水の量で調理時間を調整します。
で、具体的にはどのくらいの量の水を入れればいいのでしょう?鄒さんに尋ねると「日本の方は皆さんそれを気にしますね(笑)。適当でいいんですよ」という返事が。
「適当」が苦手で、何でもマニュアルに頼りたがるのは、日本人の癖ですね。水が少なかったら足せばいいし、多かったら減らせばいい。おおらかな台湾文化の一面を見た気がしました。
「水を入れて、ボタンを押すだけ、というシンプルさもロングセラーの秘密だと思います。他に何も余計な機能がないせいか故障も少ないんです。台湾では同じ電鍋を20年、30年使い続けている家庭も珍しくありません。商売的には困りものなのですが(笑)」(簡さん・鄒さん)