【再試乗マツダCX-3】人気の秘密はやはり、存在感“大”のルックスと走りにあり!

たまたま近くに停めてあったマツダ「デミオ」を見て、次にCX-3を見て、そして再びデミオを見て、ワタシは軽く衝撃を受けました。ほとんど車高が変わらないんですね。ホテルに戻ってカタログを見ると、4WD同士ではCX-3の方が25mm高いだけ。CX-3だけを見ていると、もっと大きく感じたのに…。

それくらい、CX-3のスタイリングは実に巧みです。まず、塗装されたアッパーボディと樹脂製アンダーボディが視覚的に分離されていて、数値以上に腰高に見えます。それでいながらアッパーボディが薄く感じられるので、スリークというか、ぜんぜんオモたくない。躍動感があって今にも飛びかかってきそうな雰囲気。この印象は、ソウルレッドプレミアムメタリックやセラミックメタリックなど、ダーク系じゃないボディカラーだと、さらに強まります。

逆に、ジェットブラックマイカやディープクリスタルブルーマイカといったダーク系だと、アッパーボディとアンダーボディの一体感が強く、ボディに厚みが感じられて重厚感も強め。ボディカラーひとつで印象がまるで違うのが、CX-3なのです。

個人的には、セラミックマイカーが一番のお気に入り。白なのに陰影があって、ボディのくびれもディテールのエッジもバリッと出て見えますからね。新鮮です。

それにしても、CX-3がデミオより大きく見えるのは、ヘッドライトのブラックアウトされた部分が小さいため、ではないでしょうか? 同じようなヘッドライトユニットなのに、デミオの“黒目”は大きくて、CX-3は逆に小さい。結果、デミオはコンパクトに見えて、CX-3は大きく見えるように思えます。そのように意図されているかは別として、CX-3のスタイリングはホントに上手。

ドアを開けてシートに座る時も、SUVにありがちな「ヨッコラショ」といったアクションは不要。何せデミオに近いプロモーションなので、カラダを持ち上げなくてもスムーズに腰が座面に乗ります。そしてインテリアの質感も、デミオと同じ。いっておきますが、デミオの内装は侮れませんよ。素材の選定から挿し色のチョイスに至るまで、吟味に吟味を重ねていますから、チープな印象はありません。

CX-3のエンジンは、クリーンディーゼルエンジン=“スカイアクディブ-D”の一択。なんなんでしょう、この潔さ。相当に自信がなければ、こうはいかないものですが、乗ってみるとよく分かります。1498ccの直列4気筒DOHC直噴ターボディーゼルは、1600回転から27.5kg-mのトルクを発生。アクセルを踏んだところからグーンと加速します。アクセルのオン/オフに対してもメリハリがあって、起伏に富んだ北海道の道を走るのが実に愉快。運転していて楽しいパワーユニットです。

エンジンサウンドは、ディーゼルであることを認識させてくれる音質。やや硬い音も混じっていますが、我慢を強いられるレベルではありません。バイブレーションとともによく抑えられています。高速クルージングでは、エンジン回転数を1700回転も回せば、ゆったりと巡行できます。旭川空港から目的地のトマムまで、2時間ちょっとステアリングを独占しましたが、全く疲れ知らず。目的地に着いてから元気に観光へと繰り出せるタイプのエンジンです。

サスペンションは、ドライバーがうれしくなる設定。得意とするスピードレンジが高い印象で、スピードが高まるにつれてシックリとフィットしてきます。安定感もあります。ステアリングにもキッチリ反応してくれるので、運転していてやはり楽しいのです。

その反面、同乗者には「硬い乗り心地だな」と感じられるシチュエーションが少なくないかもしれません。路面のギャップを拾うので、舗装状態の良い道路だとホッとさせられるのです。

この傾向が強いのは、4WDモデル。FFの2WDでは、サスペンションの突っ張った印象が薄まっていて、同乗者に「乗り心地、どう?」と聞いても、作り笑顔を強要することがない範囲に収まっています。ロングドライブの旅路も楽しい思い出になるでしょう。

エスクードやRAV4、CR-V、エクストレイル…。かつての“初代モデル”がヒットした時代は、SUVといえば4WDが基本。2WDが設定されているモデルでも、どこか「コレじゃない感」があって、2WDを選ぶのは逆に勇気がいるものでした。

今はもう2WDのSUVが珍しくなくなった、ということもありますが、そもそもCX-3はそういった固定概念にとらわれるのがナンセンスな存在。スタイリングの巧妙さも含め、CX-3はかつてないエポックメイキングなモデルであると、北の大地であらためて実感した次第です。

<SPECIFICATIONS>
☆XDツーリング Lパッケージ 4WD
ボディサイズ:L4275×W1765×H1550mm
車重:1330kg
駆動方式:フルタイム4WD
エンジン:1498cc 直列4気筒 ディーゼルターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:105馬力/4000回転
最大トルク:27.5kg-m/1600-2500回転
価格:302万4000円

(文/ブンタ、写真/小野光陽 GoodsPress編集部)

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